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「マーズ…、何をしている?
例の子供は捕らえてこなかったのか?」
「接触はしました。
こちらに自分から協力させるために。」
「その必要はない。」
「…どういうことでしょうか?」
「我々は“赤い鎖”を持っている。」
ギンガ団のアジトへ帰ってきたマーズはギンガ団のボス…、アカギに声をかけられ自分の行動を報告した。
自分から協力させるために、追い詰めるように仕向けてきたのだと。
しかし、アカギはその必要はないと言った。
その意味が分からず、マーズは訝しげに眉を寄せた。
「赤い鎖で操ってしまえばいいだけのこと。」
「赤い鎖は…アグノム、ユクシー、エムリットを従わせ、パルキアやディアルガを捕えるためのものでは…?」
「それが、文献を解読していったら赤い鎖を用いれば、“伝説の御子”を操ることも可能だって記されていたのよ。
ツメが甘いわね、マーズ。」
「ジュピター…!
では…、再び捕らえに…。」
「いや、いい。
ジュピター、今度はお前が行け。」
「了解!」
「お待ちください、アカギ様!
私が行きます!」
ジュピターにサトシを捕らえるよう命じたアカギにマーズは自分が行くと申し出た。
そんなマーズにアカギは眉を寄せながら睨みつけ、口を開いた。
「…私は捕らえてこい、と命じたはずだ。
…どこかで、“伝説の御子”の力を知られでもしたら…どうするつもりだ?」
「それは…っ!」
「アカギ様!
大変です!
例の子供…、どうやらロケット団に捕まったようです!」
「…言ったそばからこれだ。
分かったか?
お前の判断ミスでこうなった。
余計な手間が増えた…。
マーズ、…次はないと思え。」
「……申し訳ございませんでした…。」
サターンから告げられた事実にマーズは返す言葉を見つけられず、悔しそうに顔を歪めた。
それを一瞥した後、ジュピターは数人の部下と共に、アジトを後にした。
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テーマ「人外ファンタジー」
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