―14―
「シンジくん。
もう少し言葉を選んであげるべきだったわね。
サトシくんも何かに苦しんでいたみたいだし、落ち着いてゆっくり聞き出してあげなきゃ。」
「…すいません。」
「シンジくんもサトシくんが心配で言ったことは分かるわ。
…でも、次からはさっきみたいなことは…ね?」
「…はい。」
ラッキーの“うたう”で強制的に眠りについたサトシ。
サトシをそっとベッドに横たえながらジョーイはシンジを諭すように口を開いた。
目を閉じるサトシの顔は青白く、見ていて痛々しくてならなかった。
ジョーイの提案でサトシの眠る部屋とは別の部屋に移動したシゲルたち。
その部屋は重苦しい空気が流れていた。
シゲルはシンジへと視線を向けていた。
その瞳には怒りが宿っていた。
「だから言っただろう。
無理矢理聞き出すのはよくないと。」
「……そんなことは、分かっている。」
「━━…ッ、わかってないからサトシが…!」
「待て、シゲル。
今、そんな言い争いをしても無意味だ。
一体何に悩んで…、苦しんでいるのかをサトシ本人から聞き出さなきゃならないんだ。
言い争いをしている場合じゃないことくらい分かるだろう?」
「「………。」」
シゲルとシンジとの間に険悪なムードが漂う中、タケシが2人の間に割って入った。
今、言い争いをしたところで何も解決しないと。
その言葉にシゲルもシンジも押し黙った。
沈黙が辺りを支配する中、ヒカリが静かに口を開いた。
「…でも、これでハッキリしたわね。
…サトシは何かに悩んでいて…、それを私達に相談できずに苦しんでいるってことが…。」
「…サトシは『こんな力があるなんて言われて』って言ってたな…。」
「…力って一体なんの力のことなんだ?」
「……結局、それも本人から聞き出すしかないことに変わりはない。」
「……………。」
「…いや、他にも知ってそうな奴がいるんじゃないか?」
結局、サトシ本人から聞くしか方法はないのかと困惑した表情を浮かべるタケシたちだったが、他にも事情を知っている者がいるということに気付いたシゲルはハッとした表情を浮かべながらそう言った。
「他に一体誰が…?」
「!!
あ、まさか…。」
「そう。
そのまさかさ。
彼等なら何か知っているとみてほぼ間違いはないと思うよ。」
「……ロケット団、か!」
シゲルの言葉にタケシたちも、その意味をようやく理解した。
サトシを狙ってきたロケット団なら事情を知ってるはずだと。
「決まり、だな。
ロケット団と接触をはかろう!」
シゲルの言葉に賛同するようにその場にいる誰もが強く頷いた。
━━━…ドンッ!
「ピカピ!!」
そんな時だった。
衝撃音と共にサトシの眠る部屋にいたピカチュウの声が聞こえたのは…。
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