―13―
「サトシ!」
「俺達がわかるか?」
サトシが意識を取り戻しかけていることに気付いたヒカリとタケシはサトシの眠るベッドに駆け寄りながら、声をかけた。
「……ぴかぴ…。」
「ピカチュウ…?
それに…みんな…。」
「よかったぁ…。
心配したんだから!」
「どこか痛むところはないか?」
「…うん…。
大丈夫…。」
安堵するヒカリとタケシにサトシは大丈夫だと言いながらゆっくり体を起こした。
「…ここは…?」
「ポケモンセンターだ。」
「あ…そっか…。
俺…、ロケット団に…。」
「おい、何故あいつらに狙われていた?」
「待て!
サトシはまだ目を覚ましたばかりなんだ。
もう少し落ち着いてから聞くべきだ!」
「…シンジ…?
なんで、シンジがここに?」
サトシが目を覚ますなり、ロケット団に狙われていた理由を問いかけたシンジにシゲルはもう少し後にするべきだと声を荒げた。
しかし、サトシはシンジがこの場にいることに驚いているようで、きょとんとした表情を浮かべながらシンジを見た。
「ロケット団に捕まったサトシを助けたのはシンジなのよ。」
「そうなのか?」
「……あんな雑魚に捕まるなんて…、レベルが低いな、お前。
使えない奴。」
「ちょっと!そんな言い方しなくたっていいじゃない!
だいたいロケット団はいつもポケモンや食料を狙ってて、サトシを狙うなんて誰が想像できるって言うのよ!」
「シンジ、サトシも目を覚ましたばかりだ。
あまり刺激するようなことを言うな。」
「使えない奴に使えないと言って何が悪い?」
「君は…もう少し言葉を選べないのかい?」
「フン。
俺は間違ったことを言ってるとは思わない。
お前もポケモントレーナーの端くれなら、あんな雑魚どもくらい、自分で何とかしろ。」
「…関係…、ないだろ…。」
シンジの言葉に反発するシゲルたち。
シンジは途中でサトシに向かって自分であれくらいは対処しろと言った。
そんな中、ぽつりと呟かれた言葉。
自然にシゲルたちの視線は言葉を発した声の主…、サトシに集まった。
「サトシ…?」
「関係ないだろ!?
俺が…誰に狙われていようが…、シンジに関係ないだろ!?」
「サトシ、まだ安静にしてた方がいい。」
「放っておいてくれよ!
俺に構うなッ!関係ない奴に…口出しされたくない!」
「サトシ…、落ち着け…!
どうしたんだ?!」
「俺だって…混乱して…、ぐちゃぐちゃなんだよ!
いきなりこんな力があるなんて言われて…狙われて…。
俺だって訳が分からないんだよ!」
「サトシ…、今はいいから冷静になれ!」
「もう…、いやだ!放っておいてくれ!
触るな…、誰も触るなッ!
俺に構うなッッ!」
落ち着かせようと必死に声をかけるシゲルたち。
しかし、興奮して暴れるサトシはシゲルたちの手を払いのけ、手がつけられない状態だった。
「ラッキー、“うたう”よ。」
「ラッキー!」
そんな中、第三者の声が部屋の中に響き、眠りを誘う声が部屋の中を包み込んだ。
それがサトシの様子を見に来たジョーイとラッキーのものだとシゲルたちは、すぐに気付くことになる。
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