―12―
「ジョーイさん!部屋を貸していただけますか?」
「何かあったの?」
「…仲間がロケット団に襲われて…。」
「休む部屋を手配すればいいのね?
案内するわ。ついてきて。」
「はい!
シゲル、行きましょう!」
慌てた様子でポケモンセンターの中へと駆け込んできたヒカリはジョーイに部屋を貸してほしいと頼んだ。
ジョーイもすぐに事情を察したのか、部屋に案内すると告げ、足を進めた。
そのあとに続き、案内された部屋のベッドに意識のないサトシをそっと横たえた。
サトシをベッドに横たえた後、シゲルたちはある疑問について話し合っていた。
「…それにしても…、ロケット団は何故ピカチュウではなく、サトシを狙ったんだろう?」
「…それが全然わからないのよ。」
「最近、ロケット団はピカチュウではなく、サトシを狙っていたのかい?」
「いや。
昨日まではいつものようにピカチュウを狙っていた。」
「それなら…どうして…?」
「…ロケット団は私達の知らない何かを知ってるってこと?」
「……情報が少なすぎて推測しかできないな…。」
「…コイツから話を聞けばハッキリすることだろう。」
今まで壁に背を預けたまま、シゲルたちの会話を聞いていたシンジはおもむろに口を開いた。
「…問いかけて簡単にサトシが答えてくれるならこんな苦労はしてないよ。
…サトシは…、他人を気遣いすぎるあまり、問われても答えないことが多いんだよ。
いつも…他人やポケモンたちのことを最優先にしてしまう節がある。」
「無理矢理にでも言わせればすむことだ。」
「…それをサトシが望んでいない以上、僕は無理強いをするつもりはない。」
「…使えないな…。
状況を考えろ。」
「……。」
会話を交わせば交わすほど、シゲルとシンジの間には険悪なムードが漂っていった。
ヒカリはそれを感じ取り、深いため息をついた。
「シゲルもシンジも、怪我人がいることを忘れてるのか?
大きなケガはないとはいえ、サトシには安静が必要だ。それが出来ないなら2人とも部屋から出て行ってもらうぞ。」
ヒカリと同じように深いため息をつきながら、タケシは少し怒りを含んだ口調で2人に忠告した。
タケシの言葉にシゲルもシンジも口を閉じ、黙り込んだ。
「…ぴかぴ…。」
シゲルとシンジがサトシの眠るベッドへと視線を向けると、その枕元にはピカチュウがいて、己の主人を心配そうに見つめていた。
ここにいる誰もがサトシを心配している。
そして、シゲルたちは自分たちも知らない大きな真実が隠れていることに気付いていたが、それが何かが分からず、焦燥にかられていった。
「…う……。」
━━その時だった。
サトシが小さなうめき声をあげたのは。
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