―10―
「…離せ…よ!
…離せェエェェェッ!」
「抵抗しない方が身のためだぜ!」
「ジャリボーイが抵抗しても、マジックハンドの力も強くなるんだから☆」
「ぐう…ッ!
く…そぉ…。」
「サトシ!!」
「ピカピ!」
「サトシを離してっ!」
「やめろっ!」
苦しそうなサトシの声にシゲルたちは落ちた穴の中から悲痛な叫び声をあげた。
サトシも強い締め付けに耐えられず、そのまま意識を手放してしまった。
「ジャリボーイも気絶したみたいだし、いいカンジな今のうちに撤収だー♪」
「いつも欲張りすぎるから失敗するのだと、俺達は学習したのだ!」
「今日はとってもいいカンジだニャー♪」
サトシがマジックハンドに捕われたまま、ロケット団は気球に乗ってその場を撤収するために、空に浮かび上がった。
「サトシーっ!」
「ピカピー!」
「…ドンカラス、ゴッドバード。」
万事休すか、と誰もが思った時だった。
感情をあまり感じさせないような声が響いたのは…。
そして、突然現れたドンカラスはコジロウが持つマジックハンドの操作盤に向かってゴッドバードをお見舞いした。
「や、やばい…。」
「どうしたのよ、コジロウ!」
「…このマジックハンド…、操作盤に攻撃されたら…簡単に壊れる作りなんだよ…。」
「ちょっと!
聞いてないわよ!?」
「経費削減だニャー…。」
「こういう時に削減するバカがどこにいるのよ!?」
「ここにいるニャー…。」
ロケット団たちがもめている間に、マジックハンドに捕われていたサトシはそのまま地面に向かって落下していった。
「サトシが…!!」
「リングマ、受け止めろ。」
このままでは地面にサトシがたたき付けられてしまうと、ヒカリが慌てた。
しかし、またもや誰かの指示により、サトシはリングマに受け止められ、地面に激突する事態は避けられた。
むろん、リングマに受け止められたサトシは気絶したままだったが…。
「お前は!?
なんでこんなところに…!」
「…リングマ、はかいこうせん。」
「はかいこうせんなんて聞いてないわよ!?」
「ソ〜〜ナンスッ!」
「またあんたは勝手に出て来るんじゃないわよ!」
「そんなこと言ってる場所じゃないって!」
「やっぱり今日もいつもと同じだニャー!!」
リングマの破壊光線が放たれ、辺りに大きな爆発音が響き渡った。
「「「やな感じ〜〜〜!!」」」
「ソ〜〜〜ナンス…!」
爆発音の元はリングマがロケット団の気球に放ったはかいこうせん。
それは見事に炸裂し、ムサシたちはいつものように星になって消えていった。
「よかった…。
誰かは分からないけど、誰かがサトシを助けてくれたみたい…。」
「とにかく、俺達も早くこの穴から出るぞ。
それに…サトシを助けたのはもしかしたら…。」
サトシも無事に救出され、安堵するシゲルたち。
とりあえず、落とし穴からの脱出を優先にした。
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