―9―
「いった〜い…。」
「…大丈夫か?ヒカリ…。」
「うん…。
ありがとう、サトシ…。」
「落とし穴…ということは…。」
“落とし穴=ロケット団”という方程式が成り立つのはタケシたちからすれば、当たり前のことで、タケシは落ちた穴の中から上を見上げた。
「やはり狙いはピカチュウか!?」
「いつもいつも、ワンパターンなのよ!」
「そのワンパターンにはまってるのは、どこの誰だニャー?」
「コジロウ、マジックハンドで捕まえちゃってー!」
「アイアイサー!」
落とし穴を覗き込み、嬉しそうに笑うロケット団にヒカリはかなり腹を立てている様子だった。
「…!
危ない、ピカチュウ!
早く逃げ…」
「うわあぁあぁあッ!!」
腹を立てるヒカリを放置し、マジックハンドを穴に向けて放ってきたのに気付いたタケシはピカチュウに早く逃げるように言った。
ロケット団の狙いはピカチュウだとふんでのことだった…。
しかし、タケシの予想を裏切り、マジックハンドが捕らえたのは…━━。
サトシだった。
予想外の出来事にシゲルたちも驚きに目を見開いた。
「…はなせよッ!」
「ジャリボーイ、ゲットでチュー♪」
「暴れても無駄だニャー。
おミャーの力で逃げられるようには出来ていないのニャー。」
「どういうことだ、ロケット団!?
狙いがピカチュウでないにしろ、ポケモンでも食べ物でもない、人間の…サトシを狙うなんて…!」
「…どうやら、あいつらはジャリボーイから話を聞いていないみたいだな。」
「それなら都合がいいんじゃない?」
「ムクホー!」
「グライオーン!」
にやにや笑うロケット団にボールから出ていたムクホークとグライオンが怒りを露にしながらロケット団を睨んだ。
自分達の主人を傷つけるのは許さない、とでも言わんばかりに。
「…ッ。
ムクホーク…、マジックハンドにつばめがえしだ!」
「ムクホー!」
マジックハンドに捕われ、苦しそうにしながらも、サトシはムクホークにつばめがえしを指示した。
ムクホークもサトシの言葉に強く頷き、マジックハンドに向かって、つばめがえしをした。
「うあぁあぁあぁッ!!」
「Σ…ムクホ!?」
しかし、ムクホークが攻撃した瞬間、サトシを掴むマジックハンドがサトシを離さないとでも言わんばかりにその力を強めた。
強く締め付けられたサトシは痛みに顔を歪めた。
「なーっはっはっはっ!」
「無駄ムダー♪
対策もバッチリなのよ☆
マジックハンドに攻撃すればするほど、ジャリボーイを掴むその力は強くなるのよ!」
「それでもいいなら攻撃するんだな!」
「にゃーっはっはっは!」
ロケット団たちの言葉にシゲルたちは悔しそうに歯を食いしばった。
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