―6―
「━━…ッ!
誰だ!?」
予想もしていなかった第三者の声にサトシとピカチュウたちは警戒心を露に、声のした方を振り返った。
「まさか、お前だとは思ってもいなかったわ…。」
「お前たちは…!」
振り返った先にいた複数の人物にサトシは目を見開いた。
そこにいたのは、自分が旅を続ける中で会ったことのある人物。
「ギンガ団…!!」
…そう、ギンガ団だった。
***
「ちょっと…!
あいつら…ギンガ団じゃない?」
「いつも俺達を邪魔する集団だな!」
「でも、ジャリボーイに何の用だニャ?」
「「…さあ?」」
「このまま隠れて話を聞くニャー!」
少し離れた場所でギンガ団と対峙するサトシを見るのは、ピカチュウゲットの機会を伺っていたロケット団。
サトシの元に姿を現した理由が分からないため、2人と1匹は様子を伺うことにした。
***
「…何の用だ?」
「我らと共に来てもらうぞ」
「なんで、お前たちのところに行かなきゃいけないんだ!?」
警戒心を露にギンガ団を睨むサトシを見て、ギンガ団の1人…、マーズが不適な笑みを浮かべながら口を開いた。
「それは、自分が1番わかっているはずよ。」
「…な、に…?」
「お前の…“伝説の御子”の力を我らギンガ団のために役立てる…。
そのためにお前を捕らえにきた。」
「Σ…なッ!?」
「…その反応…、どうやらお前で間違いないようね。」
「な、…なんの…ことだよ。」
「“伝説の御子”…。
伝説と呼ばれるポケモンを引き付け…、意のままに操ることも可能な世界にただ1人の存在…。
お前さえいれば伝説のポケモンたちを捕らえることも、操ることも簡単なこと…。
…もちろん神と呼ばれるポケモンたちも例外ではない…。」
「…だから…、何の話だよ!?」
「とぼけるつもり?
…まあいいわ。
よく考えることね。
そして…お前が我らの元に来なければ…、お前の大切なものが傷つくということを………忘れないことね。」
そう言うとギンガ団たちはサトシに危害を加えることなく、その場から立ち去った。
「…ぴかぴ…?」
ギンガ団が立ち去った後、ピカチュウはサトシの元にそっと近付くと、サトシを見上げながら気遣うようにその名を呼んだ。
「……やっぱり…、夢の通りなのか…?」
「ハンガ?」
「ムクホー…。」
「グライオ?」
「…ブイ…?」
俯くサトシに少し後ろにいたハヤシガメもムクホークもグライオンもブイゼルもそっとサトシに近付いた。
俯くサトシの表情は苦悩で歪んでいて、ピカチュウたちはかける言葉を見つけることが出来なかった。
***
「よろしかったのですか?」
「…何の話だ?」
そして、サトシの前から姿を消したギンガ団の1人がマーズに向かってそんな言葉を投げかけた。
「あの場で捕らえることも、可能だったはずです。」
「自ら協力させるように仕向けた方が何かと都合がいいわ。
…あの様子ならこちらの期待を裏切ることはなさそうだしね。
フフフ…。」
サトシは知らない…。
サトシが考えていることなど、お見通しだということを…。
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