―4―
「サートシくんは、本能の赴くままに突っ込みすぎなんだよ。
そんな調子でいけば、近いうちにこてんぱんにやられるよ?」
「う、うるさいなっ!」
「実は少し前にこてんぱんにやられたばかりだったりして。」
「ヒカリッ!余計なこと言うなよ!」
爽やかな風が吹く草原でポケモンたちと共に一休みしていたサトシたち。
久しぶりにサトシとバトルしたシゲルはバトルの後、サトシに熱くなりすぎだ、と指摘した。
今のままでは、こてんぱんにやられてしまうという忠告と共に。
しかし、すでにやられた後だと言うヒカリにサトシは腹を立てた。
「それは初耳だね、誰に負けたんだ?」
「シンジって言うトレーナーなんだけど、サトシは手も足も出なかったの。」
「シンジ…?」
「…強さだけを求めるトレーナーなんだ。
弱いポケモンには興味はないってカンジかな?」
「なるほどね…。
それはサトシが反発するわけだ。」
「…もうその話はいいだろ?」
シゲルに自分が負けた話をしたくないのか、サトシは話題を変えたがった。
「サトシと仲がいいトレーナーなのか?」
しかし、シゲル自身はシンジという新たな人物の名に興味を抱いたのか、更にシンジのことを問いかけた。
「仲がいい…とは言えないわよね?」
「仲がいいというよりは、ライバルと言った方がいいんじゃないか?
…シンジの方はサトシをライバルとして見てるかは微妙なところだけどな…。」
「サトシはあまり相手にされてないカンジよね?」
「…会ってみたいな。」
タケシとヒカリからシンジのことを聞くうちにシゲルは興味を持ったのか、会ってみたいと言い出した。
さすがにその場にいる誰もが驚いたようにシゲルを見つめた。
「強いんだろう?
それもサトシとはまた全然違うタイプのトレーナーみたいだしね。」
「…シゲルはシンジのやり方でもいいって言うのかよ?」
「そうは言ってないだろう?
探究心、ってのは研究者にはなくてはならないものなんだよ。」
「……勝手にしろよ!」
シゲルの言葉にサトシはすっかり機嫌を損ねてしまったのか、いきなり立ち上がり、仲間たちに背を向けて歩きだしてしまった。
「ピカピ!」
「ウッキャー!」
「ハガッ!」
「ブイブイッ!」
「ムクホー!」
「グライオーンッ!」
怒ってしまったサトシにピカチュウたちは慌ててサトシの後を追いかけた。
「サトシの機嫌を損ねたかな?」
「…サトシって本当に子供なんだから!」
「…君達に少し聞きたいことがあるんだけど…いいかな?」
「なんだ?」
サトシがタケシたちから離れたのを見て、シゲルは真剣な表情を浮かべるなり、タケシたちに聞きたいことがあると言った。
いきなりシゲルの纏う雰囲気が変わったことに気付いたタケシもヒカリも互いに顔を見合わせた後、シゲルの次の言葉を待った。
「…サトシは…最近、眠れてるのか?」
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