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「ちょっと研究したいことがあってね、そのためにはサトシたちと行動を共にした方がいいから…しばらくは一緒に行動させてもらうよ。」
「それは構わないが…、まさかここでシゲルに会うとは思わなかったから驚いたな…。」
「いいじゃない!
旅はやっぱり賑やかな方がいいし!」
「よろしく頼むよ。」
「それで…サトシは?」
「ああ、サトシならそろそろ…。」
「シゲルーッ!」
「ほら、来た。」
タケシとヒカリに旅の同行をしたいと申し出たシゲル。
タケシとヒカリも特に反対することなく、シゲルが共に行動することを了承した。
そして、サトシの姿がないことに気付いたタケシはシゲルにサトシの居場所を問いかけた。
タケシの問いかけにシゲルはちらりとロビーの方に視線を向けた。
それと同時にサトシがシゲルの名を呼びながら、ピカチュウと共にシゲルたちの元へと駆けてきた。
「2人から許可ももらったし、これからよろしく頼むよ、サトシ。」
「……本当にいつもいきなりだよな…。
…でも、シゲルと一緒ってのも久しぶりだから、何か…嬉しいな!」
「…そうだったかな?」
「久しぶりなんだよ!
本当にシゲルはそういうことには無関心だよなー。」
ははっ、と笑うサトシにシゲルは微笑みを浮かべた。
そして、サトシたちは次の街に向かうため、荷物をまとめはじめた。
それをシゲルはただジッと見つめていた。
シゲルがサトシたちの旅に同行したいと申し出た理由は研究のためなどではない。
外でサトシと再会した時にシゲルはすぐに気づいた。
サトシの様子がおかしいことに。
…否、サトシが纏う空気が以前と変わったように感じたのだ。
サトシの本質は変わってはいない。
ただ、サトシの中にある“何か”が変わったように感じられたシゲルはしばらくの間、サトシと行動を共にすることを選んだ。
昔からサトシは無茶ばかりする奴だ。
それをいつも見てきたシゲルは気付いたらサトシのことが気になって仕方がなくなっていた。
別々で旅をしていた時でさえ、サトシのことばかり気にしていた。
その時に思ったのだ。
もし、サトシに何かあった時…自分がサトシを守るのだと。
だからこそ、サトシたちの旅に同行することを望んだ。
近くにいて、サトシを守るために。
だが…━━、シゲルは知らなかった。
サトシには重く、苦しい運命が待ち受けていることを。
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