繋がり


「ルーク。
一応…最後に確認しておく。
ラムダの話だと俺たちの世界に一緒に来たらもう二度とこの世界…オールドラントには戻れない。
本当に大丈夫か?後悔…しないか?」



ぎゃいぎゃい騒ぐ中、アスベルは改めてルークを見つめ、問いかけた。
アスベルはこれ以上、ルークに傷ついてほしくなかった。

アスベルたちは、自分達の生まれ育った土地に帰れることが楽しみではある。
だが、ルークだけは違う。

人間の勝手で生み出されたとはいえ、オールドラントはルークが生まれ育った故郷だ。二度と帰れなくなることを知ってもなお、後悔しないのか問いかけておくべきだと思った。

そして、他の仲間たちもアスベルの考えていることを察しているのか、特に止めることもなく、ルークの答えを待った。


「俺は…アスベルたちのそばにいたい。
アスベルたちだけだったんだ。
俺のことをレプリカだって知っても関係ないって言ってくれて、変わらない態度で接してくれてたのは。
…だから、俺はアスベルたちのそばにいたい。俺の居場所はアスベルたちのそばだから。」



だから後悔なんてしないと、そう言い切ったルークの目には迷いや戸惑いは感じられなかった。



「そうか。
それを聞いて安心したよ。」
「それで…私たちはいつ頃、帰れるのかしら?」
「ラムダの話だとあと3日くらいで、帰ることになりそうだって。」
「それじゃあ、…それまでの間はオールドラント最後の旅を楽しみましょう♪」
「そうだね。僕もシェリアさんの意見に賛成だよ。
ルークと旅をするって約束はまだ果たせたとは言えないからね。」
「ルーク、私たち…これからも一緒にいようね。」



残りは気ままに旅を続けようと言ったシェリアの提案に全員が頷き、ソフィは嬉しそうに笑いながらルークの手を握った。



「ルークが私たちの世界に来たら私はルークのお母さんになってるんだー。
これで抱きつき放題だね♪」
「ちょっと待って、パスカル!
ルークは私の養子になるんだから、勘違いしないで。」
「聞き捨てなりませんね。
何度も言いますが、ルークはオズウェル家の養子になるんです。
いい加減に諦めてください。」
「待て待て!ルークも俺の養子にするんだ!」
「何を言ってるんですか、兄さん!
兄さんはソフィを養子に迎えてるんですからここは自重してください。」
「そうよ!」
「そうだよー!」
「いや、これだけは譲れない!」
「兄さんは昔からそうです!ガンコというか…融通がきかないというか…。」
「それを言うならヒューバートだって!」

「…また始まってしまったね…。」
「こういうところは変わらないな…。
それ以前にルークがどこかの家の養子になるのは決定事項になってるな。」
「そうですね…。」



ルークをどこの家の養子にするかで揉めるアスベル、ヒューバート、シェリア、パスカル。
そしてそれを見ていたリチャードとマリクは苦笑して見つめていた。



「みんな、暖かくて優しいところはずっと変わらないんだな…。」
「ルーク…。」



そしてそれを見つめるルークは切なそうに見つめていた。
それを見たリチャードはルークの肩を優しく叩いた。
それに気付いたルークはリチャードの顔を見上げた。



「ルーク。
本当は自分も一緒に行っていいのかどうか、不安に思っているんじゃないかい?」
「……っ!!」



リチャードの言葉にルークは図星をつかれたのか、びくりと体を震わせた。



「ルーク。
君もそばにいたいと感じてくれてるように僕たちもルークと一緒にいたいんだ。」
「…俺みたいな…ワガママで傲慢な奴をか?」
「僕たちはそうは思ってないよ。
君の時折見せる不器用な優しさを知ってる。
本当にワガママで傲慢な人はそんな優しさを見せたりしないと思う。」
「…一応言っておくが…。
俺もあの中に加わってルークのことを養子にしたいと思っているからな。」
「えっ!?教官が…?」
「…実は…僕も…。」



マリクまでアスベルたちの口論の中に加わりたいのだという発言を聞き、ルークは驚きを隠しきれない表情を浮かべた。
更に少し恥ずかしそうにしながら、リチャードまでも同意見だと言い出す始末。
ルークは目を丸くするしか出来なかった。



「ルークはレプリカだということに負い目を感じているし、自分は他のみんなと違うんだって心の奥底で一線をひいてしまっている。
それは無意識のことでなんだろうけど…そうじゃないんだってことをアスベルたちは証明するためにまず、繋がりを作りたいんだと思う。」
「…繋がり…。」
「もちろん、誰かの家の養子になったところでそれが確固たるものになるとは言えない。
…だけどね、僕たちは少しずつ形にしてルークに示していきたいんだ。」
「リチャード…。」



僕たちは仲間なんだから。
そう言って優しく笑うリチャードにルークは俯き…、小さく頷いた。



「ルーク。」
「ソフィ…。」
「エフィネアに帰ったらたくさん花の種を植えよう。
キレイに咲くとすごく嬉しいんだよ。」



ふふっ、と笑うソフィにルークは握られた手をギュッと握り返した。

大丈夫。
みんながいてくれる。
それだけで、心が満たされる。

アスベルたちとの繋がりなら信じられる。

少し前まで不安で押し潰されそうだったのに、今はその不安がウソのように消えた。



「そう、だな。
きっとみんなと一緒なら俺は…何でもできる気がする。」
「うん。」



ソフィと手を繋ぎ、ルークはとても幸せそうに笑った。



━━━…そして、その後ルークやアスベルたちの目撃情報はぱたりと途絶えた。
まるで神隠しにでもあったかのようにその姿を見た者は誰もいないという。



End

※※※

ということで完結です。
ルークはアスベルたちと共にエフィネアに旅立ちました。

何年かオールドラントにいたアスベルたちが 、エフィネアに戻ったわけですが…オールドラントに行ってから戻ってくるまでエフィネアでは1日しか経っておりません。

はい、ご都合主義です★

そうでないといきなりアスベルたちが何年も行方不明とか…パニックになっちゃうもの。

機会があったら番外編的なものも書いてみたいなー。

どこの家の養子になったのかはご想像にお任せします♪

終わりがグダグダになってしまってごめんなさい。

閲覧、ありがとうございました♪


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