一期一会
オールドラントを…世界を守るためにエルドラントでヴァン師匠を止めて、ローレライを解放して全てを終わらせるために旅を続けていた。
いつ消えてしまうのか分からない恐怖に怯えながら俺は戦って…ローレライを解放した。
それと同時に感じたのは自分という存在が希薄になっていくような感覚だった。
戻ると約束したけど、その約束は叶えられそうにない。
もどれなくてごめんと心の中で謝罪していた俺の意識はそのままブラックアウトした。
―――…死ぬのが怖いはずなのに、心のどこかで安堵していた俺は小鳥のさえずりと木の葉を風が揺らす音を聞いてゆっくりと目を覚ました。
「…え…?」
目を覚ました俺が最初に感じたのは「どうして?」という疑問だった。
俺は死んだはず。
なのに、日の光の温かさや風が頬や髪や肌を撫でるように吹き抜ける感覚も感じる。
「あれ?
こんなところに人がいるなんて珍しいな…。」
「あらら。
本当ねぇ。もしかして君は迷子かしら?」
「大丈夫ですか?」
呆然としていた俺は背後から聞こえてきた声に勢いよく振り向いた。
「……っ!」
だが、急に強い目眩を感じて、額に手をあてながらうなだれた。
それを見た少女が「大丈夫ですか!?」と言いながら慌てて駆け寄りルークに手をかざすと治癒術をかけた。
***
「体の調子はどうですか?
少しは楽になっていればいいのですが…。」
「だいぶ楽になったよ、ありがとう。
俺はルーク。ルーク・フォン・ファブレ。」
「私はエステリーゼ・シデス・ヒュラッセインと言います。
エステルって呼んでください。」
「おっさんはレイヴン。
よろしくね、ルーくん♪」
「僕はジュード・マティス。
ちょっとごめんね。」
エステルと名乗った少女の治癒術で強い目眩はだいぶ楽になった。
ジュードと名乗った少年はルークの腕をとると、脈をはかりはじめた。
乖離していることを知ったジェイドがいつもしていたことと同じことをしていたので、ルークはすぐにジュードが何をしているのか理解したが、年齢の割りには手慣れた様子で脈をはかる少年にルークは戸惑った様子でジュードを見つめた。
「ジュードくんはねー、医学校に通ってたんだってー。
その辺のヤブ医者より信頼できるから安心していいわよー。」
「そ、そうなのか…?」
「うーん…、ちょっと脈が弱いから心配なんだけど…。」
「それでしたら、私たちでルークのお家に送り届けましょう!」
「そうだね。
ルーク…って呼んでいいのかな?」
「あ、うん。」
「ルーク、君の家はどこ?送るよ。」
「…えっと…、ここはバチカルか?それとも、グランコクマか?」
「……ジュードくん、これってもしかしたらもしかするんじゃないの?」
「その可能性は高いね…。」
「…?何の話だよ?」
「…この世界はシャイスカ・ブァルナって言うんだけど…知ってる?」
「は?オールドラントの間違いだろ?」
「…やっぱり…。」
きょとんとした表情を浮かべながらジュードの問いかけに答えればジュードは小さくそう呟いた。
エステルもレイヴンもジュードと同じことを考えているようで、互いに顔を見合わせ頷きあった。
「ルーク。
落ち着いて聞いてほしいんだけど…、ここはルークの言うオールドラントとは違う世界なんだ。
…僕たちも違う世界から来たんだ。」
「はっ?
ちょ、何の冗談だよ?」
「…今、この世界は精霊が暴走している状態なんです。
私たちは微精霊たちから精霊たちの暴走を止めてほしいと頼まれてこの世界にきたんです。」
「きたっていうか、無理やり飛ばされただけなんだけどねー。」
「……ってことは…ここは異世界ってことなのか?」
ルークの言葉に3人は深く頷いた。
予想だにしていなかった突然の出来事にルークは戸惑いの中から抜け出せずにいた。
「…俺は…どうすれば…。」
「私たちと一緒に行きませんか?
私たち以外にも同じ境遇に立たされて、共に行動している仲間がたくさんいるんです!」
「そうだね。
異世界にたった1人放り出されたら不安でたまらないと思うけど…安心して!みんないい人ばかりだから!」
「ささっ!そうと決まったら行くわよ、ルーくん♪」
「ちょ、えぇ!?
いや俺はまだ何も言ってな…」
「ダメです!
ルークはまだ小さい子供なんです!こんなところに置いていけるはずがありません!」
「誰が小さい子供だ!!」
ジュードとエステルに手を引かれ、レイヴンに背中を押されながらルークは小さい子供というフレーズに真っ向から反発した。
「え?だって…子供じゃないの?ルーくん。
どう見ても7歳くらいの子供じゃない。」
レイヴンがそう言いながら一体どこから出したのかツッコミを入れたくなるような大きな手鏡を向け、そこに映った自分の姿にルークは思わず叫んだ。
「なんじゃこりゃーーーーーッッ!?」
叫ばずにいられるはずがない。
縮んでいたのだから。
低い身長がコンプレックスだったルークは身長が伸びるどころか縮んでしまったことにただただショックでフリーズした。
放心状態のルークはこのままジュードたちに連れられ、彼らのアジトに招かれた。
そして、そこでルークはあたたかい仲間との出会いや絆を教えてもらい、たった1人で、抱えていた苦しみから救われることになるのだが…その時のルークはそうなるとは微塵も感じていなかった。
End
※※※
…2周年記念に慌てて当日に書き上げたものなので設定もなにもあったもんじゃないのですが…。
個人的な希望で他の仲間たちから甘やかしてもらいないなーなんて思ったり。
7歳児にしたのは完全に私の趣味です。
このあと、ユーリやヒスイ、クレスあたりに兄貴分になってもらってシングやカイル、ロイドあたりと友達…というか親友みたいなカンジになってもらったり…そんな風になったらいいなーとか妄想してみたり。
短時間でガーっと、書き上げた駄文をフリーにしてしまう私を許してください…
(;^_^A
とにかく!
ありがとうございます!!
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