いつかは…


「おれなんて…いないほうがいいんだ!
さいていなんだっ!!」
「そんなことない!!
ルークのこと、私もみんなも大好きだよ!大切に思ってるよ!」
「いやだ…!
あんな冷たい目を向けられるの…こわい…!
いやだいやだ!!」
「ルーク、落ち着くんだ!!」
「アスベルたちもいつかいなくなるんだ!!
おれ…また冷たい目を向けられるところにいくんだ…!!そんなのいやだ…!」
「行かないよ!
だってそんなことしたらルークのこと、抱き締められなくなるじゃん!」
「ウソだ…っ!
だって…アスベルたちはこのせかいとは違う世界に、帰るんだろ!?
いつか帰るんだろ!?
いなくなるのといっしょじゃないか!」



部屋へと戻ったヒューバートとマリクは驚きを隠しきれなかった。
錯乱したルークはアスベルたちの制止の声も聞き入れず、暴れていた。

ルークにとってアスベルたちは昔のルーク…アッシュと比べず、1人の人間として見てくれる心を許せる存在だ。
アスベルたちがこことは違う世界から来たことを知っているルークはいつかアスベルたちは自分達の世界に帰ってしまうのではないかと不安でたまらなかった。
そんなことになったらルークは耐えられない。



「…そうだな。
俺たちはいつか、自分達の世界に帰ることになるんだと、思う。」
「……っ!!」
「アスベル!」



ルークの言葉を肯定したアスベル。
その言葉にルークはびくりと体を震わせ、シェリアは何を言うんだとアスベルの名を呼んだ。



「…みんなも、感じてるはずだ。
自分の存在そのものが薄れているような感覚を。」
「それは…。」



アスベルの言葉に全員が言葉をつまらせた。
アスベルの言う通り、数ヶ月前からアスベルたちは不思議な感覚に襲われていた。
自分と言う存在が薄れているようなそんな感覚を覚えることが増えてきたこと。
まるで何かに引き寄せられるかのようなそんな感覚だ。



「ラムダがエフィネアに俺たちが引き寄せられていて、直に俺たちはエフィネアに戻ることにもなるのだろうと言っていた。」
「だからルークをこのまま置いて帰れることを喜べと?」
「そんなわけないだろう。」
「え…?」
「兄さん…?」



ヒューバートの言葉をあっさりと否定したアスベル。
当たり前のように否定したアスベルにルークとヒューバートは目を瞬かせた。
他の面々もアスベルが何を考えていっているのか分からないようで、無言でアスベルを見ている。



「ルーク。
1つ…、聞いておきたいことがあるんだ。」
「なんだ…?」
「ルークは…俺たちの世界に一緒に来る気はあるか?」
「…え…?」
「ルークのいる世界と俺たちの世界とでは地名もそこに住んでいる人たちも全く違う。
ルークは俺たちのことしか知らない。
…そんな世界に…一緒に来る気はあるか?」
「おれ…、アスベルたちと離れたくない。
一緒に行けるなら…一緒に行きたい…。」
「わかった。
それなら一緒に行こう!」
「ちょっと待ってください、兄さん!!
何を簡単に言っているんですか!?
僕たちはともかく…ルークを、どうやって一緒に連れていくつもりなんですか!?」



アスベルの言葉に信じられない様子でヒューバートはそう言った。

[*←前] | [次→#]







「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -