不安


「やっぱり…ルークを1人にするべきじゃなかったね…。」



医師の診察を終え、疲れて眠るルークを悲しげに見つめながらリチャードはそう呟いた。



「ルーク…。」



眠るルークの手をギュッと握るソフィも悲しそうに見つめていた。
そんなソフィの頭を優しく撫でたあと、アスベルが口を開いた。



「ルークは…不安なのかもしれない。」
「兄さん…?」
「信じていた師に裏切られ、仲間であるはずの彼女たちに責められ…、あげくに捨てられて…。
みんな、覚えているだろう?
ルークの元に向かった時…、ルークが強い不安に怯えていたこと。
無事で良かったと、体を震わせていたこと。」
「ええ…。
覚えているわ…。」
「あの時にルークが何を思って…何を感じていたのか、想像することしか出来ないけど…、また裏切られたり捨てられるのではないかと怖がっているのかもしれない。
もしくは、…俺たちがいなくなるのではないかと怯えているのかもしれない。
昔からルークは“独り”を怖がっていたし、不安がっていた。」
「そうだな。
とにかくルークの不安を取り除くためにも、ルークのそばにいて支えてやればいい。
それは難しいことではないはずだからな。」



マリクの言葉に全員が頷いた。



「私、今日はルークと一緒に寝るね。」
「えぇーっ!!
ずるーい!」
「パスカルは、反対側で寝たらいいよ。
私はルークの右側。パスカルは左側。
そうしたら一緒に寝られるよ?」
「その話、乗ったーーっっ!!」
「ソフィはともかく、パスカルは問題発言よ!」
「そんなこと言って、シェリアもルークと一緒に寝たいんでしょー?」
「な、な、そんなバカなこと言わないの!
どうしてもルークと一緒に寝たいって言うなら絶対にお風呂に入って!」
「えぇーっ!!めんどくさいなー…。
でも、それでルークと一緒に寝られるなら…今から入ってくるねー♪」



そう言うなり、パスカルは鼻歌を歌いながら風呂場へと向かった。



「さすがはルークパワーですね…。
あのパスカルさんがあっさり入浴をしにいくとは…。」



ヒューバートの言葉にその場にいる誰もが頷いた。



「ルーク。
一体、何に不安を感じているんだ…?」



ルークの頭をそっと撫でながら、アスベルはぽつりとそう呟いた。


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