繋いだ手



「さあ、ルーク。
行こうか?」
「えっ…?
行くって…どこに?」
「ルーク、忘れちゃったの?」
「ルークが外に出られるようになったら一緒に旅をしようって約束したはずだが?」
「あ…。」



マリクの言葉にルークはハッとした表情を浮かべた。



「忘れてたの〜?
ひどいよ、ルーク!!
私なんてルークに抱きつける日を楽しみにルーくん抱きつきたい君7号でずっと我慢してたって言うのに。」
「パスカルはいつか抱きつき魔の称号を手にしそうだな…。」



ほら、と言いながらパスカルが取り出したのはルークの形の抱き枕…のような機械だった。
それを見たアスベルは苦笑しながらそうこぼした。



「おれ…、みんなといていいのか…?」
「どういう意味ですか?」
「おれ…、 レプリカで…偽者で…。」
「ルークのどこが偽者だと言うんだい?
僕からしたらあの短気な赤毛の方が偽者だよ。」
「そうね。
本当にあの人から生まれたのか不思議なくらい似てないもの。」
「リチャード…、シェリア…。」
「行きましょう、ルーク?
旅はいろんなことを経験できるわ。
楽しいこと、大変なこと。
そして、それは自分を育てていくわ。」



行こう、というシェリアはルークの手を優しく握った。



「シェリア、ずるい。
私もルークと手をつなぎたい。」
「じゃあ、ソフィは反対の手ね?」
「うん。」



ルークと手を繋いだシェリアを見たソフィはズルいと言いながらルークとシェリアの元に駆けていった。
右手をシェリアが、左手をソフィが握った。



「私も繋ぐーっ!!」
「ムリよ、パスカル。
手は2つしかないんだから。」
「じゃあ抱きつく!!」
「そんなことしたらルークが歩けなくなるでしょ?」
「じゃあ、シェリア〜。
譲って?」
「ダーメ。
早い者勝ちよ。
ね?ソフィ?」
「うん。
今日は私とシェリアがルークと手を繋ぐの。
そしたら、ルークも寂しくないよ?」
「ソフィ…。」



首を傾げながらルークに笑いかけるソフィにルークは俯き、無言で頷いた。

それを後ろから優しい笑みを浮かべながら見つめるアスベルたち。


だが、アスベルたちはまだ気付いていなかった。
ルークの心は深く傷つき、ある異常をきたしていたことを…━━━。

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