カイウスたちといっしょ!


「カイにぃーっ!」
「おわっ!
なんだ、ルークか…。
どうかしたのか?」
「カイにぃ、わんわんになれるってホント?」
「へっ?」



バンエンティア号内にあるカイウスとルビアの部屋に遊びに来たルークはベッドに背を向けて眠っていたカイウスに飛び付いた。
飛び付かれたカイウスは強制的に眠りを妨げられ、飛び付いてきたルークを見て目を丸くした。


開口一番に『わんわんになれるってホント?』なんて聞かれ、寝起きのカイウスは対応に遅れた。



「わんわんになれるの?」
「えっと…、獣人化のことか?」
「じゅーじんか?
わんわんじゃないの?」



カイウスの言葉にこてんと首を傾げたルーク。
大きな目をぱちぱちさせるルークに苦笑しつつも、カイウスは獣人化してみせた。



「わんわんだっ♪」



獣人化したカイウスを見た途端、ルークは瞳をキラキラと輝かせた。



「カイにぃ、わんわんっ!」
「…わんわんって…。」
「カイウス?
何をしてるの?」
「ルビア!」



獣人化した自分にべったりひっつくルークに苦笑していたカイウスは部屋に入ってきた少女を見て、思わず声をあげた。



「ルーク。
遊びに来てたのね。」
「うんっ♪
カイにぃ、わんわんっ!」
「わんわんって…犬?
カイウスが犬?
ぷっ…。」
「なに笑ってるんだよ!!」
「…だって…、カイウスが犬みたいにオテとかオスワリとかしてるところを思わず想像しちゃったんだもん。」
「だれがするかっ!」
「想像しただけだって言ってるでしょ!」
「想像すんなよッ!!」
「なんでそこまで指図されなきゃいけないのよッ!」
「なんだと!?」
「カイにぃも、ビアねぇも、ちわゲンカはダメだよっ!」
「「痴話喧嘩じゃない!!」」
「……。」
「あ…っ!」
「ごめんね、ルーク。
別に私たち…、」
「ジェードにぃのいったとおりだぁ♪」



つい強めの口調で否定してしまったカイウスとルビアは慌ててルークに怒ったわけじゃないと説明しようとした。
だが、予想に反してルークは『ジェイドの言った通りだ』と感心している様子でカイウスとルビアは目を瞬かせた。



「あのねっ、ジェードにぃがね!
カイにぃとビアねぇがしてるのは“ちわゲンカ”だから、ダメだっておしえてあげるといいですよって、いってたの!
それでね、そういったらね、カイにぃとビアねぇが『ちがう!』ってすぐにいうからって、いってたの!」
「「……………。」」



ルークの言葉にカイウスとルビアは顔を見合わせ、ため息をついた。
ジェイドの思った通りの行動をしてしまったことに少しの恥ずかしさを感じてしまった。



「でもねっ、ケンカするとね、かなしいよ?」
「ルーク…。」
「みんな、なかよくして、ニコニコがいちばんだよっ!」
「そうだな…。」
「ルークの方が大人ね…。」
「えへへっ♪
おれ、おとな?」
「俺たちよりずっとな。」
「あのねっ、カイにぃの、わんわん、おれはすき!!
やさしいカンジのわんわんっ!」
「まったく…、ルークには敵わないな…。」



リカンツであるカイウスは周りから冷たい目で見られることも多かった。
アドリビトムのメンバーでそんな人間はいないが、それでもクエストに言った先で蔑まされることがあって、カイウスは悲しかった。

だけど、目の前にいる小さな子供は“優しい”と言ってくれた。
それがとても嬉しかった。
アドリビトムのみんながルークを可愛がる理由がとてもよく分かった。



「よしっ、決めた!
今日は1日中ルークと遊ぶぜ!」
「ほんとっ!?」
「いいの?カイウス。」
「ああ!
今日の分は明日、しっかりやる。
今日はルークと遊ぶ。」
「わーいっ♪
カイにぃ、だいすきっ!!」
「アッシュがクエストに出てて、寂しい気持ちが少しでも和らぐように派手に遊ぼうぜ!」
「うんっ!!」



カイウスの言葉にルークは満面の笑みを浮かべた。




***



「ルーク、帰ったぞ。」
「あーっ!アシュにぃ!!」



カイウスと遊んでいたルークはアッシュが帰ってきたことに気付くと嬉しそうに駆け寄った。



「ルーク、今日の分のクエストは終わった。
このあとはずっと一緒にいられるぞ。」
「ほんとっ!?アシュにぃ、あそぼっ!!」
「ああ。」



嬉しそうに笑うルークの手を引きながら自室に帰ろうとしたアッシュは途中で立ち止まり、カイウスの方を振り返った。



「…?
どうした?」
「…ルークと一緒に遊んでくれていたようだな。
………感謝する。」



振り返ったアッシュを不思議そうに見つめるカイウス。
そんな視線を感じながらアッシュはカイウスに感謝の意を示した。
アッシュの言葉に目を瞬かせていたカイウスは途中でニカッと笑うと「気にするなよ!俺も楽しかったしな!」と言った。
それを聞いたアッシュは何も言わず、そのまま立ち去った。



「なんだかんだ言いながらも、やっぱりアッシュはルークの兄貴なんだな。」
「そうね。」



カイウスの呟きを聞いたルビアも穏やかな笑みを浮かべながら頷いた。





※※※

あれ?
アッシュ兄ちゃんが情けなくない…!


ま、まあ、たまにはこんな日があってもいいよね…?

お次はロイドたちのターン!…の予定。

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