泣いてもいいんだよ






最初は…ただの玉の輿だとか、ワガママなお坊ちゃまとしてしか見てなかった。



人を殺して震えていた姿を見ていても、それはルークが弱いからだとしか思ってなかった。









でも、


違ったんだよね。



ルークは…本当はすごく優しい人。



命の重さを分かってる人。




人の痛みを誰よりも分かってる人。








ルークは
『変わる』
って言ってから自分のことは二の次にして必要以上に他人を気遣うようになったよね。



他人を気遣うってことなんて、誰にでも出来ることじゃない。






人って結局は自分が1番可愛いから、他人を気遣うフリをしていたって、最終的に自分が苦しくなったりしたら、すぐに自分のことを優先する生き物だって。



そう思ってたんだ。





…だから私は他人に本当の意味で心を許すことなんて出来なかった。





…でも、イオン様が私のせいで消えちゃって…。


ルークの胸の中で泣いてる時に…私はそれが間違いだったんだってようやく気付いた。









私は他人のせいにして他人を信じることから逃げてただけだった。


それを教えてくれたのはイオン様とルークだったんだよ。







他人と歩み寄って生きていきたい。


そのためには私から他人の中に飛び込んでいかなきゃ、そう思えた。




“人を気遣う”

簡単なようで難しいことだけど…。

でもね、私も変わりたい…そう思いながらずっとルークが頑張ってる姿を見てたから…私…、気付いちゃったんだよ。







瘴気を中和した後からルークの本当の笑顔が見られなくなったこと。


当たり前のことに今まで以上に感動して…悲しそうに空を見上げるようになったこと。









…時々、ルークの体が何かに怯えるように震えていること。












━━ねぇ、ルーク…。

ルークまでイオン様みたいに消えちゃうなんてこと、ないよね?

もう…誰かが消えていくところなんて見たくない。

見たくないんだよ?






そう思ってても、ルークに直接聞くことが出来ない…。


もし…、ルークがそれを否定してくれなかったらって考えるだけで…本当に怖い…。






そっか…。


私の中でルークの存在ってこんなに大きくなってたんだ。







ルーク…大好きだから、もうイオン様みたいに消えないで…。












強がって笑わないで。



泣いてよ…。

泣いても…いいんだよ?


いっぱい泣いて…、そして消えないで…。



ルークが私に胸を貸してくれたみたいに、今度は私がルークの泣ける場所になるから。







いつからだろう?
ルークが私達に涙を見せなくなったのは…。




私は…涙を隠して笑うルークを見ていたくないんだよ。

無理をしてほしくないんだよ。






ねぇ…ルーク…。


泣いてもいいんだよ。



私達は…ずっとルークのそばにいるから…。







涙を隠さないで…━━。




そして…━━どうか生きてください。


生きて…私の胸の中で泣いてください。




END


※※※

アニスがエルドラントで、「知ってたよ。ガイみたいな確信じゃないけど」って言ってたのは、やっぱりルークの雰囲気が変わったのを感じ取ったからじゃないかな、と思ったので書いてみました。

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