ケンカするほど…。





「このクズレプリカが!!」
「クズって言う方がクズなんだよ!バーカッ!」
「なんだと!?
貴様…!誰がクズだ!?」
「俺の目の前にいるデコニワトリのことに決まってるだろ!?」
「貴様…!
消し炭にしてやる!表に出ろ!!」
「表も何も、もう外に出てるっつーの!
あぁーッ!こんなのが俺の被験者なのかよ!?マジで冗談じゃねーよ!」
「我慢の限界だ!
ぶった斬ってやる!」
「返り討ちにしてやるぜ!」









ベルケンドに立ち寄ったルークたちは偶然、アッシュと会った。
そこまでは良かったのだが、会って早々、アッシュとルークは口喧嘩を始めてしまった。
それはいつものことなのだが、互いをけなしあう2人の後を歩くこっちの気持ちも考えてほしい。


呆れ果てた表情を浮かべながらアッシュとルークを見るガイたち。


そろそろ仲裁した方がよさそうだと判断したガイは口を開いた。


「ほら、アッシュもルークもその辺に…、……!
ちょ、…前!!前を見ろ!!2人とも…ッ!」



「なに…?」
「へ…っ?」




仲裁に入ろうとしたガイは途中で慌てて声をあげた。

ケンカに気を取られすぎていたアッシュとルークはその先に階段があることにも気付かず…、足を踏み外したかと思えば、そのままガイたちの視界から消えてしまった。





「おや、ルークはともかく軍人のアッシュが階段から落下するとは…。
あれで六神将とは聞いて呆れますねぇ。」
「暢気なことを言ってる場合かッ!!
何気に旦那も言ってることがヒドイじゃないか!

いや、それよりも大丈夫か!?ルーク!ルークは無事か!?
心配なのはルークの安否だ!

ああ、それとアッシュも無事か!?」



慌てて階段を下りるガイ。
そしてそれを見たアニスは思わず苦笑しながら口を開いた。



「ガイの方こそ、何気にひどくない?
完全にアッシュはついで扱いじゃん。」
「でも、2人が心配だわ。
…ほら、階段から落ちて意識を失っているわ。」
「すぐに診てもらいましょう!
幸い、ここはベルケンドですもの。」





階段から落下し、意識を失ってしまったアッシュとルークをジェイドとガイが担ぎ上げ、すぐさまシュウ医師がいる医務室へと運ばれた。













***


『大きな外傷もないようですし、問題はないかと思います。
2人とも少し頭を打ち付けたようなので脳に何らかの影響を受けている可能性はありますが現時点では目を覚ますのを待つだけですね。』







ベリケンドで診察してもらったところ、2人とも特に大きなケガはなかったようでガイたちは安堵の息をはいた。



「無事でよかったね。」
「あとは2人が目を覚ますのを待つだけね。」
「一緒に階段から落ちるなんて、さすがは完全同位体ですわね!」
「とにかく、2人がいる病室に様子を見に行ってみよう。」




医師から話を聞くためにルークとアッシュが眠る病室から離れていたガイたちは様子を見に行くために、2人がいる病室へと向かった。



その病室で、奇妙な事が起こっていることを知らぬまま。














***


「あ、あの…。
…お名前を…お伺いしてもよろしいでしょうか?」



扉を開けようとしたガイたちはルークの声を耳にして思わず固まった。
中に普通に入ることに戸惑いを覚えたガイたちは、病室の扉を少しだけ開けて様子を伺うことにした。
それは、ルークが普段使わないような言葉遣いだったからだが、そのあとのアッシュの言葉遣いにも驚かされることになる。



「名前…、ですか…?

名前…、名前…。
あ、どうやらアッシュという名前らしいです。」



アッシュまでも普段なら絶対に使わない言葉遣いで返答を返したのだ。
更に名前を聞かれたアッシュはまるで自分の名前を指し示すものがないかどうか自分の周りを見回し、ベッドの上の方に“Acsh”と記されたのを見てルークの質問に答えた。


「あ、あの差し支えなければあなたの名前をお伺いしても…?」
「えっと…、ルークらしいです。」



更に同じ質問を返されたルークまでもがアッシュと同じようにベッドの上の方に記された“Luke”という文字を見ながら言葉を発した。


「ルーク…、とても素敵なお名前ですね。」
「そ、そんな…!
アッシュさんこそ、素敵なお名前だと思います。」
「あ、ありがとうございます…。
あ、…すいません…!
いきなりルークなんて呼んで馴れ馴れしかったですね…。」
「そんな、お気になさならいでください!
むしろ、ルークと呼んでください!」
「あ、それでは私のこともアッシュとお呼びください。」
「は、はい…!」











「ちょっと…、あれ…どういうことなの…?

大佐、また2人に何かしたんですか…?」
「おや、聞き捨てなりませんね。
その言い方ではまるで私がいつも2人に何かをしているように聞こえますが?」
「実際してると思いまーす。」
「アニース?
何か言いたいことがあるならじっくり聞きますよ?
じっくり、ね?」
「え、遠慮しまぁす。

…それにしても…、ルークはともかく…、アッシュ気持ち悪ッ!気色悪ッ!」
「確かに…、異常すぎる光景…だな。」
「…とにかく、2人をもう一度診察していただいた方がよろしいのではありませんの?」
「そ、そうだな…!
先生を呼んでくるよ…!」





異常すぎる光景に鳥肌を立て、強く戸惑うガイたちは、ひとまずもう一度診察してもらうことにしたのだった…。

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