我らがアイドル!

『みんな、紹介するまでもなく、この子が誰かは分かると思うけど…、小さくなったサトシだよ。』



久々にピカチュウと共に旅に出ていたサトシが帰ってきた。
会えるのを今か今かとそわそわしながら待っていたピカチュウを除くサトシのポケモンたちはフリーズした。

ピカチュウと手を繋ぎ、にっぱーと笑うのは我らの愛すべきマスター…サトシ。
しかし、そこにいるのはいつものサトシではない。

そう、小さいのだ。

つまりはちびっこサイズのサトシ。
シンオウ組は以前にも見たことがあるために、嗚呼…また小さくなったんだなーとあっさり納得して頷いている。


『か、可愛いー♪
さすがは私のサトシ♪小さくなったら王子様から天使になるのね!』
『へえ〜!そっか!サトシは進化前は天使で、それから王子様に進化するんだー!』



最初に立ち直ったのはベイリーフ。
ハート乱舞で発狂している。
そしてベイリーフの言葉にそうだったのか!とけたけた笑うのはワニノコだ。



『進化って…サトシは人間だ。
進化するわけないだろ。』
『進化する云々は抜きにしても…あながち間違ってないと思うがな…。』
『えっ!?オオスバメはサトシのことを王子様か天使だと思ってたのか!?』
『何言ってるんだ?
あの愛くるしい笑顔を見てみろ。
天使以外に何に見えるというんだ?』
『あー…、まあそれは否定できないなぁ…。』



ジュカインが白けた視線と共に何をバカなことを…と呟けば、ガマガルが驚きの声をあげた。
オオスバメは否定するどころか肯定し、そしてマグマラシがうんうんと納得したように頷いた。



『サトシが天使から王子に進化したら俺が白馬になるぜ!』
『バカ言うな!俺が白馬になる!』
『ああ!?サトシの白馬に相応しいのは俺だ!!』
『そんな気性の荒い馬がいるか!
俺が一番相応しいんだよ!!』
『なんだと!?だったら、誰が白馬に相応しいか研究所を一周して一位だった奴がサトシの白馬になるってのはどうだ!?』
『その勝負のった!!』
『俺も!』
『俺もだ!!』



サトシの白馬に相応しいのは誰かと揉めに揉めるのはケンタロス30体。
しきりに俺だ!!俺だ!!と言い合っていてただうるさいだけだ。

フシギダネが怒りの“ソーラービーム”をお見舞いしようとすると、その前に勝手に勝負方法を決めたケンタロスたちはドドドド!!と大きな音と砂埃をたてていなくなった。

まず、ケンタロスは白馬ってガラじゃないだろ。と呟いたのはムクホークだ。



『サトシ、とっても可愛いです!』
『…まあ、可愛いとは思うわよ。』



のほほんと笑顔を浮かべながらサトシを見つめるのはケンホロウ。
そしてツタージャも気のないそぶりをしつつも、ちらちらとちびっこサトシを見ている。

その言葉に即座に反応したのは言わずもがな、サトシに一生の恋をするベイリーフ。



『ちょっと!!
私のサトシに色目使わないでよ!』
『ええっ!?
つ、使ってるつもりはなかったんですけど…私、色目使ってました!?
確かにサトシは可愛くて素敵ですけど…!!』
『ケンホロウ。
醜い女の嫉妬よ。
放っておきなさい。』
『サトシのためなら、いくらでも醜くなるわよ!!』
『…その心意気は買うわ。』
『えっ?そ、そう?
だってサトシへの愛は醜いなんて言われても揺るがないわよね!!』
『あっ!私もそれは分かります!
サトシって本当に素敵ですもんね!』
『そのくらいの心意気がないと、サトシには相応しくないわよ。』



メス同士の白熱バトルへと展開するのかと周りがヒヤヒヤしているのも知らず、ベイリーフたちは途中からサトシへの深い愛について語り始めた。

ずいぶんと楽しそうに交わすガールズトークの中に入る勇気のあるオスポケモンはいない。



『サトシの頭はかぶりつきやすいんだぁ。』
『とびつきやすい…というか飛び付いても受け止めてくれるんだよね!』
『小さいサトシにかぶりついてみたいなぁ。』
『今のサトシに飛び付いたらどう受け止めてくれるのかなぁ?』
『フ、フカマル!グライオン!今のサトシじゃフカマルやグライオンのことを支えきれないだろうし、転倒しちゃうと思うから止めてくれ!』
『…ケガでもさせようものなら、容赦なく制裁を加えられると思うから、それも覚悟しておいた方がいいぞ。』



フカマル、グライオンもサトシのよさについて語るも、途中で噛みつきたい欲望と飛び付きたい欲望にかられたのか、サトシの方へ視線を向けながらうっとりしている。

慌ててゴウカザルとドダイトスが止めた。

ちなみに今、サトシはベトベトンに抱き締められてきゃーきゃー言いながら喜んでいる。

そこへ現れたのはヘイガニだ。



「なあに?」
「ヘイヘーイ♪」
「へいへーい♪」
「ヘイヘイヘーイ♪」
「へいへいへーいっ♪」
「ワニワ!ワニワニワー♪」
「わにゃわにゃにゃー♪」
「ミジュミジュー♪」
「みじゅじゅー♪」



サトシの元に近付いたヘイガニはハサミを上下に振りながら、サトシの気をこちらに向けようとしている。

ヘイガニに策略にあっさりハマったサトシはベトベトンから離れると、ヘイガニの横で両手を上下に振りながら楽しそうに踊り始めた。
すると、ワニノコや、ミジュマルも参戦。

1人と3匹は楽しそうに踊っている。

ベトベトンが顔に似合わず不貞腐れているが、誰もそれに気づかない。



「ゴ、ゴキゴキー!」
「ごきょー♪」



ならば自分も!とぎこちない躍りを見せるのはキングラー。
ぎこちない躍りではあったが、やはり我らの愛するサトシだ。
それにのってくれた。

キングラーはそれが嬉しいのかノリノリだ。
…ぎこちなさは抜けないが。



「ヨルー!」
「わあっ!!すごーい!!おれ、そらをとんでるー♪」



そしてそれを邪魔したのはサトシのポケモンの中でも知能の高いヨルノズク。
“じんつうりき”でサトシの体をふわりと浮かせて、みずポケモンたちとサトシの楽しいダンスショーを妨害。

更に宙に浮かせてしまえば、サトシを奪い返すことも難しくなる。

躍りを楽しんでいたポケモンたちに怨めしそうな視線を向けられたが、ヨルノズクは華麗にスルー。



「ヘラクロー♪」
「ひゃあっ!!
あははっ!くすぐったーい♪」



さあ、このままサトシと共に空中散歩に洒落こもう!と満足げなヨルノズクの策略はへラクロスによってあっさり終わりを迎えた。

意気揚々とサトシの元に飛んできたヘラクレスはサトシへ愛の“たいあたり”をしたあと、その衝撃でサトシが地に足をつけた瞬間に頭にかぶりつく。

すると、サトシはくすぐったそうに身を捩りながら笑った。

ヨルノズクがチッと舌打ちしたのを聞いたのはガントルだけだ。



『ズルーイ!噛みついていいなら噛むー!』
『一応言っておくが、袋叩きにあいたくないなら、加減しろよ…。』
『そのあとに飛び付くー!』
『だから袋叩きにあいたくないなら、2人とも加減しろよ?』



かぶりつくヘラクレスにフカマルとグライオンも自分もやる!と慌ててサトシの元に駆け寄った。

一応、ジュカインが忠告をしたが、聞こえているかも微妙なところだ。



『…度が過ぎるようならサトシを救出しよう。』


そう呟いたのはジュカインの隣にいたフシギダネだ。
ジュカインもその言葉に、頼むとだけ返した。



『リザードンは行かないの?』
『俺はあんな風にはしゃぐタイプじゃない。
だが、サトシにケガでもさせたら、“かえんほうしゃ”をくれてやるつもりだ。』
『だったら、一緒に“かえんほうしゃ”攻撃しようっ!』
『ああ。』



少し離れたところから見守るのはリザードン。
サトシの元へ行かないのかと問いかけたチャオブーは、サトシの警備をしていることを知り、自分も参加を申し出た。



『おなかいっぱいだー…。
あ、…それは俺のデザートだぞ!』

「わあっ!ばふばふーっ!!」



リザードンやチャオブーが警備をしているとも知らず、ヘラクレスたちと戯れていたサトシの次のターゲットはこんなに騒がしい中でも爆睡し続けるカビゴンだ。

サトシはカビゴンのお腹に乗ってぴょんぴょん跳ねて遊んでいる。
トランポリンのように遊ばれているのにそれでもカビゴンは鼻ちょうちんを膨らませて眠っている。



「うぅー…。
…なんか、おれ…ねむい…。」



カビゴンの寝顔を見ていたからか、これまではしゃいでいたからか、途中でうとうとし始めたサトシ。



『みんな!静かに!サトシが眠そうだ!』



そう言って、静かにさせたのは顔に似合わず、サトシの様子をそーっと伺うオニゴーリだ。
オニゴーリの言葉にサトシのポケモンたちはすぐに静かになった。



『サトシ…、可愛い…。』
『いつものサトシも可愛いけど、小さいサトシも可愛いよね!』
『なんか…俺も眠くなってきた…。』
『俺も…。』
『ボクも…。』



サトシの寝顔を見て眠くなったのか、ポケモンたちはあくびをすると、それぞれが眠りにつき始めた。

サトシの周りに集まって眠るポケモンたちの表情はどれも、穏やかなものだ。

しかし、その後に健康診断のためにその場にいなかったコータスが仲間外れにするなんてヒドイと大号泣し、全員が起こされた。

目覚まし時計…否、目覚ましコータスのせいで全員が飛び起きることになり、コータスはみんなに怒られ…、更に大泣きしたのはまた別のお話…。


End

※※※

miki様…、まずはごめんなさい!!
さすがに全員を出せませんでした…orz

こうして見ると本当にサトシはポケモンがいっぱいいるなあと改めて思い知らされました。

みんな、サトシのことが大好きです♪

最初はケンジたちも交えて…と思ったのですが、そうするともっと出てくるポケモソたちが減るのでポケモソたちに会話してもらいながらの方にしちゃいましたけど…大丈夫でしたかね?

もし機会があったらこの設定でじっくり買い手みたいなーなんて思っちゃいました♪

こんなものでよろしければお受け取りください!

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