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「ドダイトス!空中に連続で“エナジーボール”!!
ムクホーク!“エナジーボール”に“インファイト”!!」
サトシの指示でドダイトスは空中に“エナジーボール”を放ち、ムクホークは空中の至る所に浮かぶ“エナジーボール”に“インファイト”を放つ。
いくつも浮かぶ“エナジーボール”はある程度の高さまで打ち上げられたあと、落下していくのだが、ムクホークは無駄もなく、更に素早く空中を飛び回り、舞うように動く。
そしてムクホークによって壊れた“エナジーボール”はパンと弾け、観客に光の雨を降らせる。
その美しさに観客は感嘆の声を漏らしていた。
「フィニッシュだ!
ドダイトス、“エナジーボール”を食べた後にムクホークに向かって“リーフストーム”!!
ムクホークはその中で“ブレイブバード”!ドダイトス、その後に“エナジーボール”!」
サトシの指示でドダイトスは“エナジーボール”をパクリと食べる。
その行動に誰もが驚く中、ドダイトスは“エナジーボール”のパワーを取り込み、体は淡い緑色に光る。
そして淡い緑の光を纏った“リーフストーム”をムクホークに向かって放ち、ムクホークはその中を悠々と飛ぶ。
それは“リーフストーム”を纏っているようだ。
そして“ブレイブバード”のエネルギーで“リーフストーム”の葉は緑だけでなく様々な色で光り始める。
ムクホークはそのままクルクルと体を回転させていた。
最後にドダイトスが打ち上げた“エナジーボール”がムクホークの背後でパンッと弾け…、それと同時にムクホークも“ブレイブバード”のエネルギーを弾けさせた。
すると、葉がキラキラと虹色に輝き…静かに会場内に降り注いだ。
スピードとパワーの織り成すパフォーマンスに観客たちは言葉を失った。
それはまるでオーロラのようで、フィナーレを飾るにふさわしい光景に誰もが言葉を失った。
「今回の俺のパフォーマンスはコーディネーターとして活躍してる人達と比べたら魅せる演技としてまだまだですが、違う夢を持つ仲間との旅は俺や俺のポケモンたちを成長させてくれました。
……旅の中でポケモンに酷い事をしたり、人間に傷付けられて心を閉ざしたポケモンに出会ったりもしました。
そんな時、いつも思います。
人とポケモンは気持ちが一方通行じゃいけない、ポケモンと仲良くなるために俺はポケモンたちのことを信じて、ポケモンたちの力をもっともっと引き出せるような、そんなトレーナーになりたいって。
俺のポケモンたちの中にも何体かは弱いからと捨てられてしまった奴もいます。
でも俺は弱いポケモンなんていないって思ってます。
一緒に強くなろうとしないからダメなんだって。
弱いって決めつけたらそれ以上強くなることなんて出来ない。
自分のポケモンのことを信じてください。
弱いとか役立たずとか…決めつけないでください。
ポケモンたちはトレーナーが心から信頼すれば絶対に応えてくれます。
俺はそう信じています。
今回のバトルを通して、会場のみんなにも自分のポケモンたちと強い絆を結んでもらえたらって思います。
俺も、もっと…もっとポケモンたちと強い絆を結んでいきたいと思っています。
何か…偉そうに語ってすいません。
でも、今の俺の気持ちなので聞いてもらいたかったんです。
最後に…、ここまでお付き合いいただいて、本当にありがとうございました!!」
『ワアァァァァァアー!!』
自分の思いの丈を語ったサトシは最後に深々と頭を下げた。
サトシが頭を下げた途端、会場はスタンディングオベーションとなった。
大きな歓声と拍手はサトシがフィールドを後にしてもしばらくやむことはなかった。
***
「サトシ、お疲れ様!!」
「みんな、ありがとう。」
控え室で長時間のバトルの疲れを癒していると、デントたちが顔をだしにやってきた。
「サトシ、いいバトル本当にありがとう!!」
「まだまだ知らないことがたくさんあるんだって改めて教えてもらえて本当に良かったよ。」
「ポケモンとの絆の強さに限外なんてないんだってのも教えてもらえたよな!」
「強くなれるか、弱いままかはトレーナー次第ってのも知ったよな!!」
サトシとのバトルの手応えを言葉にするイッシュメンバーたち。
その表情はどこかふっきれたようにも見える。
イッシュメンバーの言葉にサトシは戸惑いながらも笑った。
「サトシさん!」
「キョウヘイ、バトルありがとな!」
「そ、そんな…!!
それはこちらのセリフですよ!!
サトシさんとバトルなんて夢のまた夢だと思っていたので現実にバトル出来て終始落ち着かなくて見苦しいところしか見せられなくて…恥ずかしいです…。」
「そんなことない!
キョウヘイとポケモンたちの絆の深さが本当に強く伝わってきて俺も…もっとポケモンたちと仲良くなるために勉強しないといけないなって思えたんだ。
ありがとう。」
「サトシさん…。
……僕の見る目は間違ってなかった。
僕、これから旅をして色んな人に出会ったとしてもサトシさんは僕にとって憧れでずっと目標だってことは変わらないです。
でも、次のバトルはサトシさんに勝てるようにルカリオたちともっともっと強くなります!
だから…その時はまたバトルしてくれますか?」
「もちろん!!
売られたバトルは買う!これは礼儀だしな!!
俺だって負けないからな!!」
「…ふふっ。」
「…ははっ!」
負けない!!とお互いに譲らない決意を言葉にしていたサトシとキョウヘイだったが、少しの間の後、お互いに笑い合った。
「(サトシさんとバトル出来て本当に良かった。
まだまだこの人には敵わないけど…、でも…いつかはこの人を超えたい…!
その為にまた頑張らなきゃ…。)」
サトシとのバトルを通して誰もが何かを感じ取り、気持ちを新たに旅を続けることを誓った。
サトシとサトシのポケモンたちのように離れていたとしても心が繋がっているような、そんな信頼関係を築けたら…。
誰もがそう思えるようなイベントとなった。
そしてイベントをきっかけにイッシュ地方にもポケモンコーディネーターという職が知られ、トップコーディネーターを目指すトレーナーが増えたことをサトシは知らぬままカロス地方を旅をすることになる。
更にたった1度のイベントだったのにも関わらず、イッシュ地方にサトシファンクラブなるものまで出来、サトシの影響でイッシュ地方のトレーナーの多くがカントー地方を訪れ、特にマサラタウンに必ず立ち寄ることになったり、サトシのポケモングッズなるものまでイッシュで売り出され、大人気となっていることを本人はまだ知らない…。
もちろん、イッシュで売り出されたサトシグッズをキョウヘイが全種類買い揃えている。
end
※※※
ようやく完結しました。
このあと、イッシュ地方はサトシくんフィーバーがおきてると思います。
というか、そうだといいなーなんて願望が…。
イベントを見に来ていない人も映像としてルークがまとめて見られるようにしてるので、口コミで知られ…空前のサトシくんブームを迎えるといいなー。
そんでもってそれを知らないサトシくんが、たまたまカロス地方に来てたモブキャラとかに「ファンです!」なんていってキャーキャーされて知らされると萌える…。
あくまでテキトーすぎる妄想なので、このあとの妄想は皆様の脳内でお好きに変換してください☆
最後までお付き合いいただいた皆さま、本当に本当にありがとうございましたっ!!
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