04
「あっ、サトシ!」
ポケモンセンターへ向かうと、予想していた通り、デントたちがいた。
サトシに気付いたデントがすぐさま駆け寄ってきた。
「サトシ、大丈夫?」
「え?」
「ほら、強引に連れていかれたみたいだったから、心配してたんだよ。」
「さっきの人は知り合いなの?」
「あ、ああ。
エニシダさんって言って、まあバトルフロンティアのオーナーって言うか…」
「ええ!?
そうだったの!?」
「なんで、そんな人と知り合いなのよ?」
「あー…、えっと…。」
「サトシ!説明して!!」
ぐいぐい迫ってくる馴染みの面々の迫力におされたサトシは後退りした。
「(エニシダさんの時といい、今といい、なんか今日の俺って迫力におされっぱなしじゃないか…。)」
精神的な疲れを上乗せされたサトシは心中でため息をついた。
しかも、デントたちはある程度の説明をしなければ納得しそうにない。
説明したいところではあるが、エニシダに“他の人たちには黙っていてくれ”と釘を刺されている以上、全てを話すわけにもいかない。
「(えっと、つまり…俺がフロンティアブレーンとしてバトル大会に出るってことを黙っていればいいんだよな…)」
普段、難しいことを考えないサトシは必死にエニシダの忠告を守りつつ、デントたちを納得させられる言葉を探した。
早く話してしまわなければ、デントが裁判ソムリエになりそうだ。
現に、荷物を漁って裁判ソムリエセットはどこにしまったかな?なんて呟いている。
サトシは考えに考え、ようやく口を開いた。
「前に、フロンティアブレーンにバトルを挑んでフロンティアシンボルを集めるための旅をしてて、その時にエニシダさんに会ったんだよ。」
「四天王に匹敵する人たちにバトルを申し込んできたの!?
すっごーい!!」
「……そのフロンティアブレーンってのも大したことなさそうだね。」
挑戦してたことくらいなら話しても支障はないだろうと考えた結果、出た言葉に今まで黙って聞いていたシューティーが、おもむろにそんな言葉を発した。
さすがにサトシもその言葉を聞き逃す訳にもいかず、眉を寄せた。
「どういう意味だよ?」
「どうも何も、そのままの意味だよ。
君みたいに基本も何も出来ていないトレーナーが挑むようなら、そのフロンティアブレーンっていう人も大したことはない。
だいたい、そのフロンティアブレーンって言うのも田舎者たちの集まりなんだろう?」
「…基本に拘ってたらそれ以上、強くなれないぜ。」
「基本も出来てない君に、僕より弱い君に、説教されたくないな。
基本が出来て初めて、基本を基盤に応用をきかせていくものだ。
強くなるためには進化をさせるのが基本だ。
にも関わらず、君のポケモンたちは進化していない者が多すぎる。
ピカチュウとツタージャ以外は弱すぎて相手にもならなかった。
強くなるためにはさっさと進化させるべきだっていうことにも気付けないそんな君が偉そうに僕にモノを言える立場にいると本気で思ってるのか?」
フン、とバカにしたように鼻で笑ったシューティーにサトシはギュッと拳を握りしめた。
「ちょっと言い過ぎじゃないかな?」
「僕はありのままの事実を言っただけです。」
デントに言い過ぎだと諌められても、シューティーは全く悪びれる様子もなく、そう言い放った。
「そりゃ、サトシは子供なところたくさんあるけど!!
それでも君がそこまで言う権利は…」
「……いいよ、アイリス。
…シューティー。そんなに言うならフロンティアブレーンとのバトル大会でそれを証明してみろよ。
基本に拘ることがそんなに大切だって言うなら、俺はそうじゃないってことをバトル大会でお前に見せてやるよ。」
「君みたいな基本が全く出来てないトレーナーじゃ、いくら田舎出身のフロンティアブレーンでも簡単に倒されるに決まってるよ。」
「………。」
庇おうとしたアイリスのことを止めたサトシはバトル大会でそれが正しいことを証明するように言ったが、それでもシューティーはフロンティアブレーンのことを下に見ているようで、更にサトシはその下に見ている姿勢を正すことはなかった。
サトシはシューティーの考え方が間違っていることを証明するためにも絶対に負けられないと、拳に力を込めたのだった。
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