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「負けるな、ピカチュウ!!
お前の気合いを見せてやれ!!
“エレキボール”!!」
「ルカリオ!こっちも気合い入れて行くよ!!
“はどうだん”!!!」
「まだまだぁ…!!」
「それはこっちのセリフです!」
技と技の応酬。
互いに相手の隙をつこうと作戦を捻り、攻撃をしては躱され、相殺され。
これまでと違い、最後のバトルはポケモンバトルでは珍しい長時間に及んだ。
もうピカチュウとルカリオがバトルを始めてから15分は経つ。
だが、最後のバトルでサトシにとってもキョウヘイにとっても一番のパートナーでのバトル。
これまで以上に一歩も引かないバトルがそこにあった。
「サトシもキョウヘイも楽しそう…。」
「不利なのはピカチュウだけど…、サトシの柔軟な指示がそれをモノともしてない。
田舎者だとか、基本がなってないとか言ってきたけど、バトルはトレーナーがいかに冷静に対応出来るかが求められるんだな…。
本当に勉強になったよ。」
「あれだけタンニンのきいたことしか言ってなかった癖にずいぶんと考え方が変わったわよね?」
「それは君だって同じだろう?」
「うっ、うるさいわね!!
まさかあんなに強いなんて思ってなかったのよ!!
総取っ替えできるくらいポケモンゲットしてるくせに、隠すからいけないのよ!」
「でも、あんなにたくさんポケモンをゲットしてるのに、みーんなサトシくんのことが大好きで心から信頼してるのが、とってもよく分かったよね!スゴイね!サトシくん。」
「トレーナーと離れてたりすると信頼関係が薄れたり、弱いから連れていってもらえなかったんだとか、不安に思われたりすることがあるんだけど…、サトシのポケモンたちはそういった不安は感じてない。
これもサトシだったらそんなことしないって心から信じてるからなんだよね。」
「ぜひともサトシのポケモンをじっくりテイスティングさせてもらいたいよ!!」
「長くなるし、疲れるからやめて。」
「いろんなバトルを見せてもらったし、いい作品が出来上がりそうでテンションがあがるよ!」
「かくとうタイプとまたバトルしたいぜ!!」
サトシとキョウヘイのバトルを見ながらシューティーたちはそれぞれの心境を語りつつ、バトルに魅せられていた。
「終わって欲しくないな…。」
そう呟いたのは観客の誰かだった。
それほど決着が着いて終わりを迎えることが惜しまれるバトル。
けれど、いつかは決着がつくのがバトルだ。
ピカチュウもルカリオも長い時間のバトルをしていたために、体力は限界だった。
互いに荒い呼吸をそのままに、それでもその目からは強い気迫を感じさせる。
気迫は薄れていなくとも体力は限界だ。
だからこそサトシも、キョウヘイも分かっていた。
次の攻撃が決着をつけることになるということを。
「勝つぞ!ルカリオ!!
これで決める!!
“はどうだん”っ!!」
「ピカチュウ!俺たちは今まで気合いでたくさんのバトルに挑んで勝ってきた。
このバトルも、絶対勝つぞ!!
“エレキボール”!!!!」
「わうっ!」
「ぴっか!!」
パートナーの指示を聞き、ルカリオもピカチュウもパートナーの思いを乗せて攻撃を放った。
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