07
モンスターボールから出てきたミルホッグとウルガモス。
キョウヘイはすぐに、地面に膝をつき…土下座した。
「ミルホォ!?」
「ウルガー!?」
キョウヘイの突然の土下座にミルホッグとウルガモスはすっとんきょうな声をあげた。
ミルホッグは、あわあわして落ち着かず、ウルガモスは周りを飛びながらキョウヘイに話しかけている。
どちらもキョウヘイのことを案じている様子だ。
そんな様子に、土下座しているキョウヘイは気付かぬまま、口を開いた。
「…僕…、ミルホッグとウルガモスに、ヒドイこと…言った…。
ミルホッグとウルガモスじゃ、サトシさんに勝てるはずがないって…、ミルホッグとウルガモスの強さを信じない言葉を…。
…あんなこと、言って…、呆れ果てると思う。
最低だと思うし、…見限られても文句は言えないと思う…。
でも、僕は…ミルホッグとウルガモスのことが大好きなんだ!!
…もっと一緒にいて強くなりたい。
……僕…、みんなに誇りに思ってもらえるようなトレーナーになるから…、これからも…友達でいてほしいんだ…!」
地面とお友達になるんじゃないかと思うほどの土下座をしながら、キョウヘイは伝えた。
ひどいことを言ってしまった。
大切な仲間に。友達に。
どんなに怒られたって、仕方ないことをしたのだ。
絶交されたって仕方ない。
けれど、自分の気持ちだけは伝えなきゃいけない。
サトシの言葉を聞いて、そう思った。
「…ミルホッ!」
「ウルガ!」
見限られてしまうのではないかと恐れていたキョウヘイの気持ちとは裏腹に、ミルホッグはキョウヘイの肩をポンポンと叩き、ウルガモスはキョウヘイの隣にそっと寄り添った。
「…許して…くれるの?」
「ミルミルホー!」
「ガモウルガー!」
戸惑いに瞳を揺らすキョウヘイに、ミルホッグとウルガモスは何でもないと言わんばかりにこくこくと頷いた。
「ミルホッグもウルガモスも、キョウヘイのことが大好きなんだってさ。
ミルホッグもウルガモスも、キョウヘイのそばから離れることなんて少しも考えてないんだよ。
むしろ、もっと強くなってやる!くらいに思ってるんじゃないか?」
「ミル!」
「ガモ!」
サトシの言葉にミルホッグとウルガモスは力強く頷いた。
「キョウヘイ、もっと自信もっていいと思うぜ?
ミルホッグもウルガモスも、キョウヘイのそばを離れるなんてこと考えられないくらい、キョウヘイのことが好きで、それはキョウヘイがポケモンたちと真剣に向き合ってきたことの証でもあると思う。」
「…ミルホッグ…、ウルガモス…!!
ごめん…!僕…、もっともっと強くなる!!
君達が僕と一緒にいて良かったって思えるくらいに…もっと…、もっと強くなるから…!!」
そう言いながら、キョウヘイはミルホッグとウルガモスをギュッと抱き締めた。
そして、そんな中…いくつかの足音が聞こえてきた。
「…キョウヘイ!!」
「良かった…!!」
「ここにいたのね!!」
複数の足音と共にサトシとキョウヘイの元に近付いてきたのはシューティーたちだった。
どうやら、シューティーたちもキョウヘイのことが気になって捜しに来たようだ。
「…ど、どうしたんですか?」
「どうしたんですか?じゃないよ!!
心配させるんじゃないわよ!!」
「キョウヘイ!アンタもドラゴンタイプのポケモンもってたなら言いなさいよ!!
バトルよ!バトル!」
「ラングレー、サザンドラは戦闘不能になったばかりなのよ?
すぐに戦えるわけないじゃない。
子供ねー。」
「はあ!?べ、別に今すぐにバトルなんて言ってないわよ!
そのくらいの常識くらいわきまえてるわよ!
シューティー流で言うなら、このくらい基本よ!基本!!」
「…基本が全てじゃないって理解したあとにそれを言われると自分が更に恥ずかしくなるから…やめてくれ…。」
「キョウヘイ、でも本当に大丈夫?」
「キョウヘイくん、あまり無理はしちゃダメだよ?」
「みなさん…。」
シューティーたちの言葉を聞いて、キョウヘイはようやく自分のことを心配して捜しに来てくれたことに気付き、感動を覚えた。
「キョウヘイ、どうする?」
「…えっ?」
そんな中、唐突にサトシに何かを問われ、キョウヘイは首を傾げた。
「バトル。
フルバトルだったろ?
シューティーみたいに最後までやるか?
それとも、やめとくか?」
「……ぜひ、バトルさせてください。
ミルホッグとウルガモスにも、見ててもらいたいので、あと2戦…お願いしてもいいですか?」
「分かった!!
じゃあ、バトルしようぜ!キョウヘイ!」
キョウヘイの言葉にサトシは嬉しそうに笑った。
「サトシ。
エニシダさんが、きっと戻ってくるだろうからって会場で待ってるみたいだから、バトルなら会場で再開出来るよ。」
「そっか。
キョウヘイ、行こうぜ!!」
「…はい!!」
サトシの言葉に導かれるようにキョウヘイは会場に向かって駆け出したサトシのあとに続いた。
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