04
「ゴウカザル、“マッハパンチ”!!」
「“アイアンヘッド”で受け止めるんだ!!」
先制攻撃をしかけたサトシ。
それに対し、キョウヘイは避けさせるよりも受け止めさせることを選んだ。
バンギラスではどう足掻いてもスピードが劣る。
更にサトシのゴウカザルの強さを知っているからこそ、ただ受け止めろと指示するのではなく、“アイアンヘッド”で受け止めるよう指示した。
サトシは本当に強い。
少しでも自分に過信があれば簡単に負けてしまう。
バンギラスはゴウカザルに有効な攻撃技を覚えている。
だからこそ、少しでもゴウカザルに攻撃を当てるための隙をつくしかない。
キョウヘイはそう考えた。
「バンギラス!“ストーンエッジ”でゴウカザル様を引き離すんだ!!」
「バンギ!」
「ゴウカザル!避けろ!!」
「ウキャ!」
至近距離から“ストーンエッジ”をくらえば、ゴウカザルとてタダではすまない。
サトシの指示で距離を取るゴウカザル。
「ウキ。」
「バギ!」
互いに距離のある状態で互いが、互いを見据えるゴウカザルとバンギラス。
その表情はどこか楽しそうだ。
「そのバンギラス、強いな!」
「サトシさんとサトシさんのポケモンたちの話をいつもしてたら、バンギラスもいつか戦ってみたいって思ってくれたみたいで…。
バンギラスは強い相手と戦うのが大好きなんです。」
「そっか。
俺のリザードンみたいだな。
でも、ゴウカザルも強くなるために今までずっと頑張ってきたんだ。
俺はゴウカザルの力を引き出せるように、ゴウカザルの想いに応えるだけだ。
な!ゴウカザル!!」
「ウッキャ!」
「僕だって、サトシさんに憧れて、いろんなポケモンと出会って強くなるために頑張ってきたんです。
それを僕はサトシさんに認めてもらうために頑張ります!!
バンギラス!力一杯頑張ろう!!」
「バンギラー!」
互いに闘志を高めあうサトシとキョウヘイ。
そしてゴウカザルとバンギラス。
キョウヘイの言葉や表情からは強くなりたいという強い意志が伝わってきて、サトシは胸を踊らせた。
そう、バトルはこれだから楽しいんだ。
面白いんだ。
いろんなトレーナーやポケモンと出会える。
いろんなバトルを知ることが出来る。
自分がこれまで築いてきたものをムダにせず、更にもっと高みを目指すためにどんなバトルも、気を抜かず、全力で挑むのみだ。
「バンギラス!“あくのはどう”!!」
「“かえんほうしゃ”で打ち消せ!」
「…だったら、“かみなりパンチ”!!」
「“マッハパンチ”!!」
技と技のぶつかりあい。
どちらも一歩も引かない真っ向勝負。
そのバトルはいつしか観客や参加者たちも手に汗を握りながらバトルを見逃さないように、食い入るように見守っていた。
「(…さすがは、サトシさんのゴウカザル様…。
隙をつくしかないのに、隙がない…。
それに…シンジさんとのバトルの時よりも強くなってる…。)」
それはオーキド研究所にいながらも、強さに磨きをかけることをやめようとしなかったからだ。
サトシと離れても、サトシがマサラタウンに戻ってきた時に強くなった自分を見てもらいたいから。
だからゴウカザルは研究所にいるサトシのポケモンたちと日々、互いに鍛えあってきた。
“もうか”を使わなくても、どんなポケモン相手でも倒せるくらいに、強く、強く。
それがゴウカザルの目標だから。
「…ゴウカザル、本当にお前、どんどん強くなるな。
…俺もゴウカザルに恥ずかしいと思われないような…もっと強いトレーナーになる。
お前たちと一緒にポケモンマスターになるんだ!」
「ウッキャア!」
「…っ、バンギラス!“じしん”!!」
「…ゴウカザル!“マッハパンチ”!」
少しずつではあるが、確実に強くなるサトシとゴウカザルの闘志にキョウヘイは思わず呑まれた。
隙をついてから攻撃しようとしていたのに、“じしん”を指示してしまったのだ。
効果抜群の攻撃。
だが、ゴウカザルは“マッハパンチ”でバンギラスの懐に入り込み、拳をバンギラスのボディに沈めた。
「バンギラス!!」
「バン…、ギ!」
効果抜群の攻撃をボディにもろにくらい、バンギラスは倒れた。
しかし、バンギラスはふらつきながらも立ち上がった。
まだ戦える。
バンギラスの闘志は燃え尽きていなかった。
「…バンギラス…。
…そうだね、最後まで諦めちゃダメだよね!
全力で“ストーンエッジ”!!」
「ゴウカザル!
お前も全力で“フレアドライブ”!!」
バンギラスの強い意思にサトシも応えるために、全力で迎え撃った。
ゴウカザルとバンギラスの攻撃が、ぶつかりあい…フィールドは爆発した。
そして…煙がはれたあと、立っていたのは…ゴウカザルだった。
右腕を押さえてはいるが、フィールドに立っている…勝者はゴウカザルだ。
『…バンギラス、戦闘不能!!
ゴウカザルの勝ち!!』
エニシダがコールする。
だが、しばらく会場は沈黙に包まれていた。
サトシとキョウヘイのバトルの雰囲気に呑まれていたのだ。
「バンギラス、ありがとう。」
そう言いながら、キョウヘイはモンスターボールにバンギラスを戻した。
「…さすがはゴウカザル様…。
まだまだ、修行が足りませんでした。」
「いや、バンギラスも強かったよ。
もっと強くなれると思う。
もちろん、俺もゴウカザルたちも、もっともっと強くなるけどな!!」
そう言って笑うサトシ。
強い。
本当に強い人だ。
尊敬して、憧れてやまない人とバトルできて、キョウヘイはまだまだ、自分には力が足りないと思い知った。
けれど、最後まで諦めない強さはサトシから学んだのだ。
だから、諦めない。
「……………。
…サ、サザンドラ!!頼んだ!」
「サザー!!」
「ゴウカザル、お疲れ様。
ゆっくり休んでくれ、ありがとう。
…マグマラシ!君に決めた!!」
キョウヘイはサザンドラ、サトシはマグマラシを繰り出した。
そして、サトシはキョウヘイのある変化に気付いた。
そしてそれはサザンドラを出す少し前…バンギラスとのバトルの途中から表れていること、そしてそれが何なのかも分かるからこそ、サトシはキョウヘイをじっと見つめた。
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