02
「ミル!?ミルホッ!?」
「そう!
そうなんだよ、ミルホッグ!!
おこがましいにも程があるんだけど、サトシさんとバトルなんだ!
サトシさんを前にどれだけ足掻けるか分からないけど頑張ろう!!」
「ミッホ!」
モンスターボールから出て、サトシを見るなり、ミルホッグは「嘘だろ!?」と言わんばかりの視線をキョウヘイに向けた。
すると、キョウヘイもミルホッグの言いたいことが何なのか理解してるようで、興奮を抑えきれない様子でミルホッグに言葉を返した。
「仲が良いんだな!」
「あ、…は、はいっ!!
せ、精一杯頑張りますので、よろしくお願いいたします…!!」
「なあ、キョウヘイ。
そういう敬語みたいなのなくていいぜ?」
「な、ななな…!そ、そそそそそそそ、そんなにょ、…ゴホン。
そんなの、恐れ多すぎてで、出来ません!
サトシさんは僕にとって尊敬してやまないお方なんですから!
このままで大丈夫です!!」
サトシの言葉にこれまたキョウヘイは激しく動揺しながも、敬語のままでいさせてくださいと丁重にお断りした。
「うーん、…友達に敬語とか、俺も抵抗あったんだけど…キョウヘイがイヤなら無理にとは言わないよ。」
「……………っ!!!??!?
ととととと、友達…!?
…ダメだ、僕…。
ありえない幻聴まで聴こえるようになっちゃった…。
サ、サトシさん!もうこれ以上は僕がバトルもままならなくなるのですぐにバトル開始してもらってもいいんですか!?」
「あ、うん。」
サトシの言葉の一つ一つにいちいち動揺するキョウヘイ。
キョウヘイもこれ以上、(キョウヘイからしたら)サトシの口から耳を疑うような発言を聞き続けたら身がもたないと感じたのか、バトル開始を申し出た。
そして、その会話を苦笑しながら見つめていたエニシダもようやく声をあげた。
『それでは、コータスVSミルホッグのバトル開始!!』
「ミルホッグ、“ダストシュート”!!」
「ミーホッ!」
「コータス!“ダストシュート”に向かって“ねっぷう”!!
押し返せ!!」
「コー!」
「ミルホッグ!“みきり”!!」
先手攻撃をしかけたキョウヘイ。
サトシは慌てることなく、“ねっぷう”でミルホッグの攻撃を押し返す。
ミルホッグに向かって、ではなく…攻撃技に当てるように指示するなんて、普通のトレーナーなら考えもつかないだろう。
“ねっぷう”を帯びた“ダストシュート”が迫り、キョウヘイは慌てて“みきり”を指示した。
「(さすがはサトシさん…。
こっちの攻撃を防ぐだけじゃなく、利用してくるなんて…。
オニゴーリの時もそうしてたけど…ここまで臨機応変に対応できるトレーナーなんてそうそういない…。
少しでも油断したら…あっという間に負けてしまう…!
サトシさん相手に少しくらいは足掻いて、サトシさんの心に1%くらいはとどめてもらいたい…!
そのためにも頑張らないと!)」
たった一度の攻撃でサトシの柔軟性を身をもって理解したキョウヘイは歓喜に震えた。
憧れてやまないサトシの素晴らしさを身をもって知ることが出来るのだ。
喜ぶなという方が無理だ。
「ミルホッグ!“アクアテール”!」
「コータス!“てっぺき”!!」
「……っ!!」
攻撃すれば、簡単に防がれる。
…なるほど。
サトシの実力を誤認してる人たちからすれば、それだけで動揺を誘われるだろう。
サトシの実力を全てではないだろうが知っているキョウヘイでさえも、攻撃しても効果などない状態にされ、どうしようかと困惑するほどだ。
「だったら、“しねんのずつき”!!」
「“かえんほうしゃ”!」
様々な攻撃をしかけるキョウヘイ。
しかし、今度は防ぐだけでなくダメージをも与える攻撃技で対応してきた。
もともと、ミルホッグとコータスではレベル差がある。
だからこそ、“しねんのずつき”も押し返され、更に“かえんほうしゃ”のダメージを負ったミルホッグはもうすでにフラフラだ。
「…コータス!“のしかかり”!」
「…ミルホッグ!!回転しながら“しねんのずつき”!!」
「ミーッホ!」
「コー…!!」
ダメージを負い、フラフラなミルホッグ。
コータスの“のしかかり”を、まともにくらったら絶対に戦闘不能になる。
レベル差があってパワーが足りないなら、それを補えばいい。
回転しながらの“しねんのずつき”はスピードを増した分、パワーも割り増しした。
だが、さすがはサトシのポケモンというべきか。
ミルホッグの“しねんのずつき”を、くらっても大したダメージにはなっていないようだった。
「ミルホッグ、悔しさをバネにするんだ!!
“いかりのまえば”!!」
「コータス、“まもる”!」
「ミッ!?」
「ミルホッグ!怯むな!
“アクアテール”!」
「ミホッ!」
「コオー!?」
“いかりのまえば”を“まもる”で防がれ、動揺したミルホッグだったが、キョウヘイに力強い指示をされ、すぐに気持ちを切り替え“アクアテール”を放った。
“まもる”を使ったばかりで無防備になっていたコータスに効果抜群の攻撃があたる。
だが、コータスとてやられっぱなしで終わるようなポケモンではない。
鼻からフンッと息を噴き出したあと、倒れることなくその攻撃に耐えてみせた。
「いいぞ、コータス!!
全力で“かえんほうしゃ”!!」
「コオーーーッ!」
至近距離から効果抜群の“アクアテール”をくらったのにも関わらず、コータスのパワーは衰えていなかった。
至近距離からの攻撃に至近距離の攻撃を返したコータス。
さすがにその攻撃に耐えられず、ミルホッグはバタリと倒れた。
『ミルホッグ、戦闘不能!!
コータスの勝ち!!』
ミルホッグの戦闘不能を確認し、エニシダが審判を下した。
「コオオオオオオオーーーッ!!」
先程は感動しすぎてバトルにさえならないまま戻ったコータスは、バトルで勝利をおさめることが出来てよほど嬉しかったのか、再び大号泣。
恐らくは『勝てて良かったーーー!』と叫んでいるのだろうとだれもが思った。
「…やっぱりサトシさん、スゴい…。
一筋縄じゃいかないな…。
でも僕だって負けません!
…次はウルガモス!頼んだよ!
サトシさん!僕も1試合ごとにポケモンチェンジでお願いします!」
「分かった!!
コータス、ありがとう。
ゆっくり休んでくれ。
…じゃあ、俺は…カビゴン!
君に決めた!!」
キョウヘイの希望で一戦ごとにポケモンチェンジとなり、キョウヘイはウルガモス、サトシはカビゴンを繰り出した。
- 52 -
[
*前
] | [
次#
]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -