01
『フロンティア・ブレーンとのバトル大会も残りあと2人となりました。
最後まで楽しんでいただけたら幸いです!』
エニシダが観客に向かって声をあげる。
そんな中、シューティーはサトシに向かって口を開いた。
「君みたいな基本も出来てないトレーナーが実力のあるトレーナーだと認識されるなら、僕もそうだということをここで、知らしめて見せる。」
「シューティー。
基本が全てじゃない。
俺はこのバトルでお前に見せるつもりだ。」
「その余裕が、どこまで続くか見物だね。」
サトシの言葉にシューティーは相変わらずバカにしたような発言を控えようとはしなかった。
サトシも今までポケモンたちと共に歩んできた道が間違ってはいなかったのだということ、そしてその旅の中で学んだことをムダにしないためにも絶対に負けられないとギュッと拳を握り締めて、気合いを入れた。
「君のポケモンも出尽くしたようだし、君に向いている流れもここまでだ。
ブルンゲル、行ってくれ!」
途中から同じようなポケモンたちが出てきていたのを見ていたシューティーは今まで出たポケモンしか出てこないだろうとふんでのことか、余裕の笑みを浮かべながらブルンゲルを繰り出した。
「俺のポケモンは全部出たなんて、一言も言ってないぜ?」
「…なに?」
サトシはシューティーの言葉を否定した。
その言葉にシューティーは眉を寄せた。
「俺の仲間はまだいるぜ!
ゼニガメ!君に決めた!」
「ゼニー!」
サトシが最初に繰り出したのは最初の旅で仲間になったゼニガメ。
ゼニガメの姿にシューティーは少し動揺したようだが、すぐにポケモン図鑑を向け、ゼニガメがみずタイプのポケモンだと理解するとバカにしたように笑った。
「…ブルンゲルに、みずタイプのポケモンをぶつけるなんて…本当に基本じゃないね。
ブルンゲルには、みずタイプの攻撃では大したダメージは与えられない。
だけどブルンゲルは違う。ゴーストタイプの技も使えるんだ。
そんな基本さえも忘れたのか?
しかも進化させてないポケモンなんて…。」
呆れてものが言えないよというシューティー。
しかしサトシは余裕の笑みを浮かべながら口を開いた。
「俺のゼニガメをそんな基本で決めつけられたらあとで驚くのは、シューティー。
お前だぜ!!
な、ゼニガメ!」
「ゼニゼニ!!」
「よく分かったよ。君には言葉でいっても伝わらないってことがね。
ちなみに、僕は6対6のフルバトルを希望するよ。
ポケモンはどちらかが戦闘不能になった時点で交代。
どちらのポケモンが多く残っていたかで勝敗は決定してもらうつもりだ。」
「わかった!それでいいぜ!」
シューティーにフルバトルを申し込まれ、サトシはそれを二つ返事で了承。
そんな2人のやり取りを見つめていたキョウヘイは「サトシさんを見下すなんて…!なんてヒドイ人なんだ!」とシューティーを恨めしそうに見つめていた。
だが、サトシのバトルを見られるのも、あとわずかとあって、キョウヘイは身を乗り出すようにそのバトルを見つめていた。
それは目に焼き付けておかなくては!と言わんばかりだ。
そしてシューティーがルーレットを回した結果、みずのフィールドで止まり、フィールドはほとんどが水で満たされたフィールドへと姿を変えた。
『それでは、バトル開始!!』
サトシ対シューティーのバトルの火蓋は切って落とされた。
「ブルンゲル、まずは“みずのはどう”で相手の力量をはかるんだ。」
「ブルー!」
進化していないポケモンとはいえ、相手の力量が分からないまま突っ込むことはするつもりがないのか、シューティーはそれを量るための技を指示した。
みずタイプの攻撃は大きなダメージを与えられないとはいえ、威力の高い技を覚えていたら話は別だ。
そう考えてのことだったのだが、サトシはそんなシューティーの考えをあっさりと打ち破った。
「ゼニガメ!“みずでっぽう”で相殺するんだ!!」
「ゼニー!」
「…本当に君は基本を学び直した方がいいと思うよ。
たかだか“みずでっぽう”で僕のブルンゲルの“みずのはどう”を相殺できるはずが…」
みずタイプの技の中でも威力が相当低く、レベルの低い時に覚えるような攻撃で相殺なんて、そんなことする前からムリだと察することも出来ないのかとシューティーが深いため息と共に言葉にするが、それは間違っていたのだとイヤでも理解するハメになる。
「ブルゥ…!!」
ゼニガメの攻撃はブルンゲルの攻撃を消し去った。
否、それだけではない。
ブルンゲルの攻撃を消し去っただけでなく、ゼニガメの“みずでっぽう”はブルンゲルにまで届いたのだ。
さすがにブルンゲルの攻撃を消し去ったあとだったため、大したダメージは与えていないようだが、予想もしていなかった展開にシューティーは驚いた。
「バカな…。
たかが“みずでっぽう”がブルンゲルの攻撃を消し去っただけでなく…、それを当ててくるなんて…“みずでっぽう”にそんなに高い攻撃力があるはずがない!!」
「だから言っただろ?
俺のゼニガメを基本で決めつけてたら驚くことになるって。」
「ガメー!!」
サトシの言葉に賛同するようにゼニガメは腰に手をあて、胸を張り、どうだ!!と言わんばかりに自信満々だ。
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