01
「あれ?
なんか、祭りやってるのかな?」
サトシ、ピカチュウ、デント、アイリスは旅の途中、少し大きな街に到着した。
街の入り口に足を踏み入れると、なにやら賑やかで至るところに屋台が出ていた。
その雰囲気から察するに、どうやら祭りをしている最中らしい。
「あ、どうやらイッシュ以外のポケモンのことを知ってもらおうっていうイベントみたいだね。」
街の掲示板に貼られたポスターを見ながらデントがそう言った。
「え?
じゃあ、イッシュ地方以外に生息してるポケモンに会えるかもしれないってこと!?
ドラゴンポケモンとかいるかな?」
「分からないけど、知らないポケモンや雑誌とかでしか見たことないポケモンを生で見ることは出来ると思うよ。」
「きっと、懐かしいポケモンとかいるんだろうな…。
たのしみだな、ピカチュウ!」
「ピッカー♪」
「相変わらずだね、君は。」
嬉しそうに笑いあうサトシとピカチュウ。
それを見つめながらため息まじりに声をかけてきた者がいた。
「シューティー!」
「…カントーの人間は田舎臭まるだしで見てて恥ずかしくなるよ。」
「カントー地方のことを田舎田舎ってバカにするなよ!!」
「あ、サトシ!」
「また会ったな!」
呆れたと言わんばかりの表情を浮かべるシューティーに噛みつくように反論するサトシ。
そんなサトシの声にいつもの馴染みのメンバーたちが、近付いてきた。
ルーク、ケニヤン、ベル、カベルネ、ラングレーだ。
どうやら全員、街の祭りに興味があってやってきたようだ。
「ねえねえ!サトシくん!
サトシくんは知ってる?」
「なにを?」
「フロンティアブレーン!!
この言葉って有名なの?」
「…?有名なのかは知らないけど…それがどうかしたのか?」
「この祭りの目玉はね、フロンティアブレーンとバトル出来る大会なんだって!」
「そうなのか?」
「うん!
それでね、フロンティアブレーンってなに?」
瞳をキラキラさせながら問いかけてくるベルの迫力に若干圧されながらも、サトシは口を開いた。
「うーんと、簡単に言えば四天王に匹敵する強さをもつフロンティアブレーンとバトルして勝ったらフロンティアシンボルがゲットできて…」
「四天王に匹敵する強さ!?
それって本当!?」
「えっ?あ、うん…。」
説明するサトシの言葉を途中で遮ったベルは更に興奮した様子で声をあげた。
サトシはまたいつ川や噴水に落とされるのか分からず、ヒヤヒヤしながら辺りに水場がないか探していた。
近くには水場がなかったことを、確認するとサトシはホッと息を吐いた。
対するベルはそんなサトシの心情など知らないため、体をくねらせ、尚も興奮した状態で言葉を発した。
「やっぱりすごかったんだー♪
よーしっ!私、そのフロンティアブレーンとバトルしたいからバトル大会に参加しようっと♪」
「面白そうだから、私も参加するわ。」
「俺も参加するぜ!」
ベルの参加を希望するという声にラングレーとケニヤンも参加の意を示すと、他のメンバーも参加するつもりであると各々が手をあげ、参加するつもりであることを告げた。
「サトシは参加するのかい?」
「そうだなあ…」
「…サトシくん…?サトシくんじゃないか!!」
デントに参加するのかどうかを問われ、どうしようか思案しているサトシは背後から名前を呼ばれ、振り返った瞬間…思わず目を見開いた。
「えっ?」
「ああ…!もうなんという偶然…!
サトシくん!君がいてくれて本当に嬉しいよ!
さあ!サトシくん!一緒に来てくれ…!!」
「へっ?えっ?
あ、ちょ…えぇ!?」
サトシを呼んだ男は二の句も告げないほど、さきほどのベル以上に興奮した状態でサトシとの出会いを大喜びしていた。
それだけに止まらず、その男は強引に手を引き…、サトシはそのままその場から強引に退場することになってしまった。
「サトシ…、連れていかれちゃったぜ…。」
「えっと…これは…誘拐…になるのかな?」
「サトシも知ってる人だったみたいだし…大丈夫だとは思うけど…何だったんだろうね…。」
「さ、さあ…?」
取り残されたデントたちは少し呆然とした様子でサトシの消えた方角を見つめていた。
そして、デントたちはサトシが実は有名なトレーナーであることを後に知ることとなるのだが…、まだそれは少し後の話となる。
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