01
「そういえばキョウヘイは?」
「あそこ。」
カベルネとの会話を打ち切るようにデントはキョウヘイの居場所をアイリスに問いかけた。
勝手に会話を打ち切られ、「まだ話は終わってないわよ!?聞いてるの!?」とカベルネが地団駄を踏みながら声をあげるが、デントは苦笑を返すだけだ。
そして、それを止めようとカベルネに声をかけたケニヤンが、カベルネの八つ当たりの的にされてしまった。
ごめん、ケニヤン。と心の中で謝りつつ、デントはカベルネのことはケニヤンに任せた。
…押し付けたと言った方が正しいのかもしれないが、興奮したカベルネに付き合っていては、長い時間を拘束されることになる。
デントは戻ってくるなり、カベルネと共にキョウヘイも何かしらの言葉をかけてくるのではと思っていた。
だが、予想に反して何もないことを不思議に思い、アイリスに彼の所在を問いかければ、アイリスは苦笑しつつもある方向を指差した。
「カメラの構え方はこうだよ。
ゴビット、ルカリオに器具の使い方の説明を頼んだよ。」
「ゴビッ!」
「このボタンは何ですか?」
「あ、これは録画した映像を消すボタンだから、絶対に押さないでほしいんだ。」
「消すボタン!?
サトシさんとサトシさんのポケモンたちの勇姿を消去してしまうなんて…恐ろしい…!
そんな恐ろしいボタン、絶対に押しません!命をかけて死守します!」
「えっ?
あ、うん。
と、とりあえず撮影はよろしくね?」
「了解ですっ!」
アイリスの指差した方へ視線を向けると、そこにいたのはルークから撮影方法の説明を聞き、熱心にメモするキョウヘイとゴビットから器具の使い方を教わるルカリオの姿があった。
その様子を見てデントは、そういえば次のサトシの対戦相手はルークだったなと思い出した。
サトシと対戦できたことで満足感に満たされて失念していたようだ。
キョウヘイ、頼んだからね!と言いながら、ルークはバトルフィールドに向かった。
「ルカリオ、サトシさんの素敵で華麗なバトルをしっかり映像におさめよう!
もちろん、映像におさまるはずもないほど素敵なサトシさんだけど…とにかく、サトシさんの魅力を全力でおさめよう!
協力、頼んだからね!ルカリオ!!」
「ワフッ!」
おおおおお!!と意味の分からない声をあげるキョウヘイは今までになく緊張した面持ちだ。
まるで重大任務でも受けたかのような反応だ。
しかも、キョウヘイはその映像をDVDとブルーレイにしてもらうことになっているから、余計に撮影に力を入れているようだ。
「そういえば、キョウヘイはいつサトシとバトルするんだっけ?」
「えっと、確か…シューティーのあとだったと思うよ。」
「キョウヘイがどんなポケモンをもってるか気になるのよね。」
「確かに…。」
ルカリオ!照明をもう少しこっちに寄せて!と言いながら真剣に撮影に取り組むキョウヘイを見つめながらデントとアイリスはそんな言葉を交わした。
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