13
「マッギョ!“でんきショック!”」
先手必勝と、デントがマッギョに指示をとばす。
マッギョはケンタロスとのバトルですでに大ダメージを受けているため、長期戦となれば圧倒的にこちらが不利だ。
そのための指示だった。
しかし、サトシもベトベトンも特に慌てる様子も避ける様子もなく、マッギョの攻撃をまともに受けた。
さすがに真っ向から受けてたったことに驚くも、ベトベトンはマッギョの攻撃を受けたすぐあとにそれを、振り払った。
「なっ!?どうして…!!」
「ベトベトンは元々、発電所に住み着いてたから、でんきタイプの攻撃には強いんだ。
今度はこっちから行くぜ!
ベトベトン!“どくガス”攻撃!!」
「ベトー!」
「くっ!
“どろばくだん”で飛んで避けるんだ!」
「ギョギョ!」
ベトベトンの口から吐かれた毒ガスにデントはマッギョに“どろばくだん”を地面に向かって放つことで上空へ逃げるように指示した。
その指示が仇となることをデントはすぐに気づく。
「そうくると思ったぜ!
ベトベトン!“ヘドロばくだん”!!」
「ベトベートー!」
「ギョギョ!?」
上空へ逃げたマッギョ。
空中で無防備なマッギョに向かって放たれたベトベトンの“ヘドロばくだん”。
なす術もなく、マッギョはベトベトンの攻撃をくらった。
「マッギョ!!」
ベトベトンの“ヘドロばくだん”により、爆発した攻撃にどしゃっという音をたて、泥沼の中に墜落したマッギョ。
そしてそれを見たエニシダは手をあげながら言葉を発した。
『マッギョ、戦闘不能!
ベトベトンの勝ち!!』
『ワアアアアアーーーーッ!!』
さすがにダメージの残った状態で“ヘドロばくだん”に耐えるほどの体力は残されていなかったようだ。
観客たちは、エニシダの判定を聞くなり、歓声をあげた。
その歓声を背にデントはマッギョをモンスターボールに戻した。
「マッギョ、ありがとう。
…まさか、攻撃を避けずに受けてたつとは…予想もしてなかったファンタスティックなテイストだったよ。」
「ありがとう、デント。」
「僕もまだまだ負けるつもりはないよ!
次は君の出番だ!マイ・ヴィンテージ、ヤナップ!!」
「ヤナヤナ!!」
デントの三体目は言わずもがな、ヤナップ。
ヤナップも気合い十分な様子でフィールドに立った。
「さあ、行くよ!サトシ!!」
「ちょっと待ってくれ!
エニシダさん!フィールドを変えてもらうことは出来ますか?」
「えっ?サトシ?」
第3試合を始めようとしたまさにその時、サトシの口から出たのはフィールドチェンジを要求するものだった。
何故、今ごろ?と疑問に思う中、サトシがデントを見て笑ったあとエニシダに向かって次の言葉を発した。
「デントにとってヤナップは、びんてーじ?ってのらしくて、それは俺とピカチュウみたいなものらしいんです。
だったら、俺はヤナップのやりやすいフィールドで全力のヤナップと戦いたいんです。」
「今のままのフィールドなら、ベトベトンにとっては動きやすい状態なのに、それを要求するのかい?」
「はい。
おれ、もっともっとバトルを楽しみたいんです!
…ダメですか?」
「デントくんはどうだい?」
「え?」
「本来なら挑戦者の動きやすいフィールドに変えてくれなんて要求、しないと思うし、それは逆に自分のことを下に見てるんじゃないかって思われるような要求にも感じ取れてしまうと思うんだ。
こちらとしてはフィールドを変えることに異論はないけど、バトルをするのは君だからね。
…どうだい?」
「…フィールドチェンジでお願いします。」
「わかった。
でも、いいんだね?」
「サトシが、僕のことを下に見てるかもしれないってことですか?
…それは有り得ないことだって分かってますから。
サトシは、単純にバトルを楽しむことしか考えてないと思います。
それはサトシの魅力の1つだと僕は思ってますから。」
「な、なんだよ…それ…。」
デントの言葉にサトシは恥ずかしそうに頬を赤らめた。
確かにサトシはデントを下になんて見ていないし、バトルをもっともっと楽しみたいという感情のままに口走ったのだが、あんな風に言われると恥ずかしくて顔をあげられなくなる。
「サトシ。
僕も君とのバトルをもっと楽しみたい。
今まで、バトルを観戦してきたけど、見れば見るほどサトシとポケモンたちとの間にある深い絆を知っていって、そしてこうしてバトルできることがたまらなく嬉しいんだ。
サトシ!バトルをもっともっと楽しもう!!」
「ああ!!」
デントの言葉にサトシは満面の笑顔を浮かべながら頷いた。
…そして、その笑顔を見てふらついて、崩れ落ちたキョウヘイがいたのは…また別のお話。
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