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「…さすがだね、サトシ。
たくさんポケモンがいるというのに、どのポケモンとも深い信頼関係を結んでいる。
これは誰にも出来ることじゃないよ。
だけど、ジムリーダーとしても、ポケモンソムリエとしても、一矢報いるつもりでいることは変わらないよ。」
「もちろん、分かってる!
それがデントだもんな!!」
「次の僕のポケモンは、マッギョ!!頼んだよ!!」
「ギョギョッ!」
「サトシ。
交換はなしでこのままバトル続行で行くよ。」
「OK!分かった!オオスバメ、頼んだぜ!!」
「スバーッ!!」
デントが2体目のポケモン…マッギョを繰り出した。
そして今までバトルした他の面々とは違い、交換希望を申し出ることはなかった。
オオスバメのまま、サトシはバトルを続行することになったが、サトシもオオスバメも気合い十分だった。
「マッギョ!地面に向かって、連続で“どろばくだん”!!」
「ギョギョッ!」
バトルが始まり、デントはマッギョに指示をとばした。
だが、オオスバメに攻撃するわけではなく、フィールドに技を放つように言った。
デントの考えが読めないサトシはきょとんとした表情を浮かべた。
マッギョの“どろばくだん”でフィールドはたちまち、泥沼と化した。
そこでようやくサトシはデントの狙いが何なのかを理解した。
「これで、マッギョにとって動きやすいフィールドに変わった。
バトルフィールドを変化させる。
これは君から教えられたことだ。」
「…確かに、今のフィールドはマッギョにとっては動きやすい状態だ。
やっぱり、デントはスゴいぜ!!」
「だてに、サトシと一緒に旅をしてるわけじゃないよ。」
デントの戦法にサトシは嬉しそうに笑った。
純粋にデントとのバトルを楽しんでることはその表情から明らかなことだ。
「マッギョ!泥沼の中に潜って!」
「ギョッ!」
「オオスバメ、マッギョの攻撃がどこから来るか分からない。
神経を集中するんだ。」
「スバッ!」
泥沼の中に潜り、姿を消したマッギョ。
マッギョはでんきタイプの技も使える以上、オオスバメには辛い連戦となる。
だからこそ、サトシはオオスバメに警戒するように言った。
「マッギョ!泥沼の中から地面に向かってまた連続で“どろばくだん”!!」
デントがマッギョに、再び“どろばくだん”の指示をとばす。
すると、泥沼が波紋を生み…マッギョがその中から勢いよく飛び出してきた。
“どろばくだん”で飛び出してきたマッギョは空高く舞い、ひこうタイプのオオスバメの上をとった。
「今だ、マッギョ!!“でんきショック”!!」
「ギョーッ!」
「スバァッ!!」
「オオスバメ!!」
上からの効果抜群の攻撃にオオスバメは泥沼の中に沈んだ。
脱出しようともがくが、泥で羽が汚れ、思うように動けずにいた。
「…今の攻撃でも戦闘不能にならないなんて…。
本当にそのオオスバメはよく育てられてるね。
だけど、このチャンスを逃すつもりはないよ!
マッギョ!連続で“でんきショック”!!」
「スバ…ッ!」
容赦のない追撃、それも連続での効果抜群攻撃を前にさすがにオオスバメも戦闘不能になってしまった。
「…ああっ!?サトシさんのオオスバメが!!
くっ!!あの人…ジムリーダーなだけのことはある。
…だけど…、サトシさんのオオスバメを泥まみれにするなんて!ヒドすぎる!!
なんでこんな極悪非道なことをするんだっ!!」
ここにきて、サトシのポケモンが初めて戦闘不能になり、会場は歓声をあげた。
無敵のフロンティアブレーンのポケモンがようやく戦闘不能になるまで追い込まれたのだ。
観客が興奮しないはずはない。
そんな中、キョウヘイだけは呆然としていた。
まるで自分がバトルで負けてしまったかのようなそんな反応だ。
だが、ここまで無敗だっただけでも十分スゴいこと。
休憩をはさんだとはいえ、サトシはずっとバトルを続けている。
あれだけ続いたバトルの中でよくここまで負けなしでいられたものだと思えるほどだ。
そして戦闘不能になったものの、サトシはどこか嬉しそうだった。
集中力が途切れてもおかしくないのに、サトシはまだまだバトルを楽しむ気のようだ。
ありがとうと労いの言葉をかけたあと、サトシはオオスバメを、モンスターボールに戻した。
「でも、本当にオオスバメ…スゴかった…。」
「確かにそうだよな。
“いわなだれ”に“でんきショック”なんて効果抜群の技を連続でくらっても、泥沼から抜け出そうとする体力が残ってたってことだもんな。」
「最初の“いわなだれ”で戦闘不能になってもおかしくないのに…。」
「負けはしたけど、オオスバメの強さは十分に伝わってきたね。
ああ!こんな迫力満点のバトルの撮影ができたってだけで、この街に来て良かったって心から思えるよ!」
戦闘不能に陥っても、オオスバメの強さはアイリスたちには十分すぎるほど伝わった。
「…デント!次は負けないぜ!」
「何とか一矢報いたってところだけど、僕も負けるつもりはないよ。」
「それはこっちのセリフだぜ!
…俺の2番手は…、君に決めた!!」
サトシとデントが互いに強い視線を向けあう。
一緒に旅をしているからこそ、お互いにバトルスタイルも把握している。
サトシは笑みを浮かべたまま腰に手を伸ばし、次なるポケモンをくりだした。
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