10
「イワパレス、“シザークロス”!」
「イワーッ!」
「オオスバメ、避けろ!」
「スバーッ!」
デントの先制攻撃。
しかし、それはオオスバメのスピードある回避で呆気なく避けられた。
だが、デントもジムリーダー。
サトシがそう指示してくることは、ある程度予測していた。
「イワパレス!今だ!“いわなだれ”!」
「イワッ!」
「ス、バァァアッ!」
回避したその一瞬の隙をついて、デントは更なる攻撃を指示した。
オオスバメの周りにいくつもの岩が現れ、そしてオオスバメはその攻撃をくらった。
ひこうタイプのオオスバメに、いわタイプの攻撃は効果抜群だった。
オオスバメは、そのままフィールドに墜落した。
その時の衝撃は相当なもので、砂ぼこりが舞い…、それがオオスバメに大ダメージを与えた証明のようにもくもくと舞っていた。
「サトシ。
確かに君は強い。
だけど、僕もジムリーダーとしていろんなトレーナーとバトルをしてきたんだ。
そう簡単には倒されないよ。
さあ、サトシ。
次のポケモンは誰かな?」
「デント。
…確かに、避けたあとの一瞬の隙をつかれたのは事実だ。
でも、俺の仲間を…オオスバメのことを甘く見るなよ?」
「何を言ってるんだい?
イワパレスの“いわなだれ”をまともにくらったんだ。
もう戦えるような気力は…」
「スバーッ!」
「なっ!?」
オオスバメは戦闘不能になったと信じて疑わなかったデント。
無数にオオスバメの周りを降り注いだ岩は容赦なく襲いかかってきた。
そして、その攻撃が当たっている瞬間もデントはしっかり見ていた。
あれだけの攻撃を受けながら立てるはずがない。
効果抜群の攻撃を受けたのだから。
だが、そんなデントの予想に反して、オオスバメは再び空へと舞い上がった。
そして、それはデントだけでなく、その場にいる誰もが驚いた。
「オオスバメの根性を俺は信じてる。
コイツはスバメだった時から他の誰よりも根性のある姿を何度も見せてくれた。」
「それにしたって、あの攻撃をうけて、まだ飛べる力があるなんて…。」
「オオスバメだからな!」
「スーバーッ!」
“オオスバメだから”。
そんな理屈を当たり前のように言葉にしたサトシに応えるようにオオスバメも気合いを入れるように鳴いた。
それはまるで、自分の根性を認めて、信じてくれるサトシに応えようとしているかのようだった。
「本当に君には驚かされるばかりだよ。
たくさんポケモンと出会って、そしてそれぞれのポケモンに合った付き合い方をサトシ…、君は自然にやってのけるんだから。
キョウヘイがサトシのことをあんなに強く尊敬する理由も納得できるよ。」
「俺はポケモンたちを信じてる。
そしてポケモンたちも俺を信じてくれる。
だから、俺はそんなみんなに恥ずかしいと思われるようなトレーナーでいたくはないんだ。
みんなのこと、大好きだからさ!」
そう言って笑ったサトシ。
その笑顔を見ているだけでポケモンたちも頑張ろうと思うのだろう。
きっと、サトシとサトシのポケモンたちのような関係が理想なんだろうなと思えた。
自然に信頼しあうそんな関係。
それがサトシとサトシのポケモンたちの持ち味だ。
「僕も全力でいかせてもらうよ、サトシ!」
「もちろん!俺だっていつも全力だぜ!!」
「行くよ!イワパレス!“からをやぶる”から“いわなだれ”!!」
「オオスバメ!“でんこうせっか”でかわしたあと、“つばめがえし”!!」
イワパレスの“からをやぶる”で威力をあげ、“いわなだれ”の指示に、サトシは攻撃を避けながら、攻撃できる技をチョイスした。
“でんこうせっか”でスピードをあげながら、イワパレスの攻撃を避けたオオスバメの“つばめがえし”を受けたイワパレス。
“からをやぶる”が裏目に出てしまったのか、イワパレスはオオスバメの“つばめがえし”を受け、戦闘不能になった。
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