01
「…あっ、昨日会った…。」
「昨日は名前も名乗らず、失礼しました!
僕、キョウヘイっていいます!
バトル、見てました!本当にすごいです!すごかったです!感動しました!
リザードンに生で会えるなんて感激です!
サトシさん、フロンティアブレーンだったんですね!
サトシさん、素敵なトレーナーですから、登場された時はなんで気付かなかったんだって本気で思いました!
サトシさんがフロンティアブレーンだったことを知らなかったなんて、僕もまだまだ修行が足りませんでした!
すいません!!」
「え、あ…うん。
って、別に謝らなくても…。
そっか!キョウヘイって言うんだな!」
「サッ、サトシさんが僕の名前を呼んでくれた…!
…ど、どうしよう!ルカリオ!?」
両手を顔で覆い、きゃー♪幸せ!!と声をあげながらクネクネするキョウヘイ。
まるでアイドルに会ったファンのような反応だ。
「ルカリオか。
珍しいポケモンをもっているんだね、君は。」
そう言いながらカメラを構え、パシャパシャと撮影するシューティー。
その様子にキョウヘイはぴくりと眉を寄せ、遮るようにシューティーとルカリオの間に立った。
「………邪魔なんだよ、君。
僕が撮りたいのはルカリオであって、君じゃない。」
「ルカリオは僕のパートナーだ。
その僕に一言も断りなく、勝手に撮影するなんて非常識なんですね?」
にーっこり♪そんな効果音がつきそうな、作り笑いを浮かべるキョウヘイにデントたちは言葉を挟む勇気を持つことができなかった。
触らぬ神に祟りなしとはこのことだ。
「僕が何を撮影しようと僕の勝手だろう?」
「僕がどこに立とうと僕の勝手だろう?」
シューティーの言葉をばっさり切り捨てるキョウヘイ。
サトシのことをバカにするような発言をするシューティーは、もうキョウヘイの中で極悪非道な悪魔でしかなかった。
「(許せない!許せない!!絶対に許せない!!
こんなに素敵なサトシさんのことをバカにするなんて許せない!
僕なんてサトシさんを生で見れただけでも死ねるとさえ思えるほど感動してるのに…!
サトシさんをバカにするなんて…!
それ以前にサトシさんと普通に話ができるなんて、憎らし…、…怨めし…、………羨ましい…!!)」
シューティーの顔をギッと睨み付けるその姿は呪いでもかけかねないほどの力をもっている。
「えっと、キョウヘイ?何でそんなに怒ってるんだ?」
「サトシさんは悔しくないんですか!?
こんな格下なだけじゃなくて、常識なんて言葉、あったのか?なんて平然と言ってのけそうなシュー…クリーム?あれ?なんて名前だったかな?
えっと、とにかく!こんなキャストでいえば脇役Aなんて表記されそうな人にバカにされて悔しくないんですか!?
僕はもう悔しくて!
だいたい、フカマルはスズラン大会でヨノワール相手に相手のトレーナーを驚かせるようなバトルで勝ちましたし、あのダークライ相手にして…あんなに頑張ってたじゃないですか!!あのダークライを相手にですよ!?
他のトレーナーは、サトシさんのポケモンたちほど素晴らしいバトルなんて見せられずに終わったのに!!
それを進化してないからなんて意味不明な理由で否定されて…!」
「と、とりあえず落ち着こう!な?」
キョウヘイはサトシに向けて言っているが、ずいぶんボロクソに貶されているシューティーは不機嫌そうに眉を寄せた。
シュークリーム呼ばわりだけに飽きたらず、脇役Aとまで言われ、更に格下呼ばわりだ。
間接的にではあるが、あんな言い方をされて腹を立てない人間がいるなら会ってみたいものだ。
キョウヘイからすれば、大好きなサトシ以外はそれこそカボチャとかジャガイモ程度にしか思っていないので、自分の発言でシューティーが怒りに震えているとは微塵も気付いていない。
ただ、大好きな人を貶されて怒っているだけだ。
「キョウヘイ。
シューティーにそう言われても仕方ないんだよ。
それは俺がまだトレーナーとして未熟だってことなんだから。」
「サトシさん…、さすがですね!
本当にカッコイイ…!」
「…えっと、カッコイイ…のかどうかは分からないけどさ、…直接言ってないにしろ、今のは言い過ぎだぜ?」
「はい!そうですね!
えっと…シュー………、…………。
…シューさん!
言い過ぎました、ごめんなさい!」
サトシにたしなめられ、あっさりシューティーに謝罪するキョウヘイ。
キョウヘイの世界はサトシを中心に回っているといっても過言ではないだろう。
…シューティーの名前を覚える気がないのは変わらないようだが。
そんなに長時間、キョウヘイといたわけではないのに、彼がどんな人間なのかよく理解できるある意味濃い時間をデントたちは目の当たりにしたのだった。
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