赤い髪を持つ貴族との出会い

まず、始めにこの小説ではルークinTOVで す。

ルークの設定。

名前 ルーク・フォン・ファブレ。

皇室とは深い関わりがある大貴族ファブレ家 の次男。

皇室の満月の子の力も強く、もう1つルーク にしかない力超振動があることと、王族に連 なる家が双子の兄弟など災いのもとだと、物 心着いたころから城の地下牢に軟禁され、 様々な人体実験を行われていた。

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その日ユーリ・ローウェルは機嫌が悪かっ た。

理由はいつものこと。

毎日を生きるのに精一杯な下町の人に本日も 貴族の騎士が税金の取り立てに来たのだ。

「明日までには!明日までには必ず払いま す!!」

そう言って地に頭を擦り付けて貴族騎士に頭 を下げる宿屋の名将さん。

『騎士っていうのは人々を守る為に存在する んだ』

名将さんの必死の頼みも貴族騎士は鼻で笑 い、あろうことか名将を蹴り飛ばしたのだ。

そんな姿を見てユーリは街の人々を守る為に 命を賭け、その命を散らした隊長の言葉を思 い出す。

棋士は市民を守る為に存在するもの。

少なくてもユーリは隊長からそう教わった。

だからこそユーリはさらに暴力を加えようと する騎士達の間に入り、名将を守る。

「…ユーリ……逃げなさい。貴方まで…」

「俺が逃げたら誰が名将さんを庇うんだ? なぁ…名門の貴族騎士様よ。騎士団には市民 に暴力を加えて良いっていう規律が新しく出 来たのか?」

ユーリの挑発のような言葉に当然貴族騎達は 噛みつく。

「貴様!言わせておけば!!良いか!そこの下民 は税金を滞納している!罰せられるのは当然 のことだ!!」

「それに俺たちは貴族だ!下民に何をしよう が知ったこったじゃない!!」

騎士の言葉に不快感を持ったのはユーリだけ でなく、下町に住む全ての人々だった。

そしてその下町の住人を代表するようにユー リは剣を構えて切っ先を騎士達に向ける。

向けられる切っ先に貴族騎士は「ひぃ!」と 情けない声を出して尻餅をつく。

「どうした?あんたも端くれとはいえ騎士な んだろ?なら一対一で勝負しようとは思わね えのか?」

ユーリの言葉に騎士はガタガタ震える。 そして。

「この野蛮人共が!良いか!今度来たときに は税金をちゃんと用意しとけ!良いな!!」

捨て台詞を吐きながら、逃げるように走って 行った。

「たくっ…貴族っていうのは口ばかりだな」

「ユーリ…大丈夫かい?今のであんたが目を つけられたんだ…」

「いつものことだよ。もう牢屋にも慣れっこ だよ。またフレンに口煩く説教されるな」

ユーリは頭をポリポリ書きながら、今は城で 騎士として働いている友を思いながらため息 をつくのだった。

そして翌日。 ある意味予想はしていたが、ユーリは公務執 行妨害と傷害罪の罪で騎士達に連行された。

本人いわく手じゃ数えぐれないぐらいので 『またか…』と思うのだった。

城に連行されてユーリはいつもの地下牢に入 れられた。

地下牢は慣れっこだが、このベッドの固さだ けはどうにもなれない。

しかしすることもないので、この固いベッド で横になろうとした時に、扉の開く音が聞こ え、フレンあたりが来たのかと思い上半身を あげる。

しかし自分の牢屋の前を騎士に連れられ通っ て行ったのは、予想にしている人物ではな かった。

赤い髪に翠の瞳…男のユーリからしても綺麗 な顔立ちなのだが、顔色は青白く、歩き方も フラフラとしている。

来ている服だって自分は持ち物は没収された が私服のままだ。

だけど今通りかかった人物は薄汚れた検査着 をきているだけ。

その少年がユーリの視界から消えるまでユー リは少年を見ていた。

初めて会うはずなのに…何故かほっとくこと が出来なかった。

そして赤い髪の少年を連れた騎士は地下牢を 出ていって入れ替わるように、いつも自分に 小言をいうのが仕事のようなフレンが入って きた。

フレンはユーリのいる牢屋の前に赴きため息 をつく。

「ユーリ…君はあと何回ここに入れば気が済 むんだい?」

フレンの表情は笑っていたが、声は怒ってい た。

「下町の為だろ?」

怒っていてはいてもフレンはユーリが独房に 入れられる訳を知っている。

知ってはいるが無理をしてほしくないという のがフレンの本音だ。

まぁ、そう説明して納得する友人なら、こん なに何回も独房には入らないだろう。

無駄だとは思うがフレンはユーリに「もう無 茶はしないように」と声をかける。

そんなフレンにユーリは「へいへい」と返事 を返すのだった。

ユーリは何もすることなくベッドに横になろ うとするが、ふと先ほどの赤い髪の少年が気 になり、独房を出て行こうとするフレンを呼 び止めて問いかける。

「なぁ、フレン。あの一番奥にある部屋にい るのは誰なんだ?罪人っていっとも俺たちと 何か違う感じだし…」

「…赤い髪…ルーク様に会ったのか!?」

ユーリの言葉にまさか友人とルークに接点が あると思わず、驚き声をあげる。

「何だ…様付けされてるってことはお貴族様 か?お貴族様がこんな所にいるんだ。よっぽ ど悪いことをしたんだろうな」

ユーリは自分が描く貴族像を皮肉めいて言 う。

しかしフレンはその言葉に同意せずに、悲し そうにルークのいる独房を見つめていた。

「フレン、どうしたんだ?」

突然に様子が変わったフレンにユーリは首を 傾げる。

そして重々しく口を開くのだった。

「彼は…ルーク様は罪と呼ばれることは何も していない。…彼は皇族に連なるファブレ公 爵家の次男なんだ。だけど生まれは双子で、 双子というのは災いの象徴だと、ルーク様の 存在は消され、しかもルーク様には皇族特有 の力が強いだけでなく、ルーク様にしか持ち 得ない超振動という力を持っている。…だか ら…ルーク様は殺される訳でもなく…」

「…ここで人体実験をされているって訳 か…」

その言葉を聞きユーリはすれ違った時のルー クの姿を思い出した。

薄汚れた検査着…実験実験の後だったんだろ う。

「ユーリ、ルーク様を閉じ込めている部屋の 扉は鍵をしてないんだ」

その言葉はユーリには驚くばかりだった。

だったら何故にげないのかと疑問に思う。

「ルーク様は決して逃げないんだ。いつか ルーク様が言っていた」

『自分が帝国の為に出来ることはこれだけし かないから…俺は自分に与えられた役割を しっかりやりたいんだ』

何度か逃げて下さいというフレンの言葉にも 首を縦にすることはなかった。

そんなルークの姿を聞きユーリは一瞬でも貴 族だからとルークを嫌った自分を恥じた。

確かに貴族の大半は横暴ばかりだから、こう やって普通なら逃げ出したくなることも国の 為と向き合う貴族もいる。

ユーリはフレンと違いルークと面識がある訳 ではないが、ルークと話がしたいと思った。

そしてルークにこの狭い地下牢だけではない 広い世界を見せてあげたいと思った。

自分は恐らくいつも通りに10日間もここに いれば、すぐに釈放されるだろう。

だけどその時はルークも連れていこう。

ルークに広い世界を見せてあげよう。とユー リは決意した。

ルークを連れ去ったことにより、罪状が増え るかもしれない。

だけどそんなこととっくの昔に覚悟は出来て いる。

ユーリは約1週間地下牢にいたが、釈放にな り、周りの監視の騎士を倒してルークがいる 部屋の扉をあける。

「迎えに来たぜ、ルーク」

そうやって手を指し伸ばすのだった。

END


※※※

ムーン様から誕生日のプレゼントにこんな素敵な小説を書いていただきました。

それに、なんとまあおいしい設定なんでしょう…!?
じっくり長編で読みたいと感じたのはきっと私だけではないはず…!!

このあと、ユーリとルークがどう絆を深めていくのかとても楽しみになりますね!!

あうぅ…続きが読みたいぜ…!!

とにもかくにも、ムーン様!!
このような素敵なお話をプレゼントしていただき、本当にありがとうございます!!

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