『鮮血』の二つ名
俺の名はアッシュ。 近々六神将の名を頂くことが決まっている。
二つ名は『鮮血』のアッシュ。
・・・はっきり言おう。どこの悪役だ、と。
こんな名前名乗ってるからジモッティー(ダアト住民)からの受けが悪ぃんだよ。
俺は悪態をついた。
「老け顔のナッポーヘアーめ・・・センスねぇな。」
俺は知っている。こう言うのを●二病とかって言うんだろ?まったく、これだからナッポーは・・・。
「パイナップルがどうかしたのか、兄上?」
可愛い弟が小首をかしげて問う。疑問は疑問のまま抱えず、率直に聞けと言った俺の言葉を覚えていたんだな、ルーク。兄上は嬉しいぞ。
俺は老け顔を頭から追いやって、弟に問う。
「ルークはパイナップルは好きか?」
「パイナップルかぁ・・・うん、嫌いじゃないぜ。兄上は?」
「俺も嫌いじゃないな。」
そっか、と笑う弟の笑顔に全力で癒される・・・。癒しは大切だ。
弟と言う名の癒しをくれてありがとう、ナッポー。センス無さはともかく、今だけは感謝してやっても良い。
なにせ、弟を誕生させ、更には話題のネタにまでなる。果物の割には良い仕事をするじゃねぇか。
俺は、ちょびっとだけヤツへの評価を上げた。
「そう言えば兄上、今度階級が上がるんだろ?」
「ああ・・・特務師団長になるんだ。」
何が特務師団長だ・・・雑務師団長の間違いだろ。面倒くさいっつーの・・・。
面倒ごとを命じた胡散臭い髭の顔がよぎる。 折角追いやったのに、しつこいヤツだな、髭。
俺は知っている。
ヤツが何故、俺にそんな物を命じたのか。それは、ヤツが故郷に里帰りする時間を増やす為。
そう、すなわち・・・。
「(メシュティアリカメモリーの更新の為・・・。)」
ヤツは妹の成長記録を細々撮っている。俺に雑務を押し付けて、自分は妹成長記録を付けに行く・・・。
「(おのれ、ヴァンめ・・・!! 俺は貴様を許さねぇ・・・!!)」
そんな羨ましい・・・!!俺だって・・・俺だって、出来ることならルークメモリーを作りたい!!
それをあの男、我欲の為だけにこの俺に面倒ごとを押し付け、自分だけは妹記録に勤しむ・・・だと・・・!?
絶対に許さねぇ・・・!!俺はヤツへの報復を鋼鉄の意志で誓った。
悶々とヤツへの怨念を募らせていると、俺の癒しは癒しのオーラを撒きながら言った。
「凄いな、流石は俺の兄上だ!!特務師団なんて、カッコいい!!」
「そうか、カッコいいか!!」
癒しはキラキラした目で俺を見つめる。
ああ・・・癒される。いいよな、兄上って響き・・・!!
俺は、全力で癒しを満喫する。
「たしか、ダアトの六神将って名前あるよな。なんて言うのになったんだ?」
え・・・これは、ちょっと言うのに抵抗がある・・・。
だって、丸っきり悪役じゃないか・・・。しかも、よりにもよって『鮮血』。
良い印象、何も無い・・・。
「・・・・・・・・・。」
ああ、キラキラした目が痛い・・・。しかし。
この目に抗えようか? 否!!
「・・・鮮血の、アッシュ・・・だ。」
逆らえずに言ってしまった・・・。意志が弱い?
ふっ・・・。
何が悪い!!このキラキラした無垢な瞳に勝てると!?否!!
勝てる訳がねぇだろう!!
俺は悪くねぇ・・・!!
「カッコいい・・・!!」
「はい・・・?」
ん・・・?なんか、想像と違う反応が返ってきた。
ダアト住民は「悪の幹部が増えた・・・。」ってヒソヒソ言ってたし、ルークと同じくらいの子供(精神年齢だ)からは「悪の幹部だ!!」って言われたぞ。
しかし、今。カッコいいって・・・。
「カッコいいじゃん!!流石兄上!!二つ名もカッコいい・・・!!」
え、マジか?キランキランした目でこっち見てる。
「か、カッコいいか・・・?」
「カッコいいよ!!兄上は凄いんだな・・・!!」
・・・・・・・・・。カッコいい・・・。
そうか、カッコいい・・・カッコいいか!!
「カッコいいか!!」
「うん、カッコいい!!兄上、カッコいい!!」
ふはははは・・・!!カッコいいか!!ルーク、俺はカッコいいか!!
やはり、ルークは俺の癒しだ・・・!!
コレを機に、俺は名乗ることに抵抗が無くなった。 堂々と鮮血の二つ名を掲げた。
そして後日。烈風の二つ名の同僚から微妙な目で言われた。
「自重しなよ、アンタ・・・。」
と。良いじゃないか、俺の癒しはカッコいいって言ったんだ。コレはカッコいいんだよ。
だから、自重の必要無し!! 余裕の表情で俺は返す。
「なんか言ったか、烈風。」
「・・・それで呼ぶんじゃないよ・・・!!」
イライラ全開で怒鳴られた。怒りっぽいな、お前。鮮血よりまだ抵抗が無いだろうに。
鮮血の二つ名を口にする俺に、他の同僚が生暖かい目を向けていたが俺は気にしねぇ。弟の言葉のほうが何倍も価値があるからな・・・!!
俺は今日も元気に鮮血の二つ名を口にする。
※※※
むふふ!
黒鳥様が2周年祝いにリクエストしてもいいということだったので、黒鳥様宅の『焔の守護者』設定でブラコンなアッシュさんのお話をリクエストしたわけですが…。
普通にふきました(≡^ε^≡)
アッシュ兄さんは本当にブラコンですね!
ブラコン設定でのゲームもプレイしてみたいとか本気で思いました。
アッシュの気持ちもわかるよ!
ルークは確かに癒しだもの!!
可愛いもの!!
一家に一人だよね!!
アッシュ兄さんのキャラの崩壊ぶりが最高に笑えます(o≧▽゜)o
愛されルーク最高ですね♪
黒鳥様、本当に本当にありがとうございます!
最高のプレゼントです!
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