不気味な光景



旅を続けるルークたちは、とある街に滞在していた。


日頃の疲れを癒すために数日の間…その街で過ごすことになり、朝食を取っていたルークたちだったが、ジェイドとガイが姿を現し、2人が放った言葉により、状況は一変してしまった。










***



「…は?
何の冗談だよ…?」
「冗談だったらどんなにいいか…。」
「私も予想外の出来事に驚いているんですよ。」
「いや、だから冗談ならもっとマシなものにしろって!」
「ルークの言う通りだわ。
大佐もガイもそんな話をしてどうするつもりなのかは知らないけれど…。」
「ええ、冗談もほどほどにしていただきたいですわ!」
「また二人とも変な遊びを思いついたよねー☆」

「だから!
冗談なんかじゃないんだ!

本当に…、
旦那と俺の心というか、魂というか…。

とにかく!中身が入れ代わってるんだ!
なんで信じてくれないんだ!」
「いや、ジェイドにそう言われてもうさん臭いっつーか…。」
「俺は旦那じゃない!
ガイだ!そりゃ…見た目はジェイドだろうが…、中身は俺なんだよルーク!信じてくれ!頼む!」
「き、気持ち悪いっての!
いつまでふざけてる気だよ!?」
「そうか…。
ルークがどうしても信じてないって言うならお前が何歳まで俺と一緒じゃないと寝れないと言って泣いていたかとか、何歳までおねしょしてたかとか、みんなに喋…」
「わーッ!わーわーわー!!

わか、分かった!信じる!信じるから余計なことを言うなッ!」


自分の言葉をまるで信じようとしてくれないルークたちにジェイドは仕方ないと言わんばかりにルークの小さい頃の話を暴露しようとした。
それはガイしか知らないネタ(それも知られたら恥ずかしい話)で、ジェイドの言葉をルークは否が応でも信じざるをえなくなった。


信じた上で話を詳しく聞けば、ジェイドの実験の失敗が原因でガイとジェイドの魂が入れ代わってしまったらしい。



「…まさか…、本当…なの?」
「本当だと思う。

だって俺の子供の頃の話をジェイドが知ってるはずないし…。」
「うそー…。

…ってことは…。」



冗談だと思っていたルークたちは、ようやく冗談ではないことに気付いたようで呆気にとられた。

しかし、アニスはニヤリと笑みを浮かべたあとジェイドに近付いていった。



「たーいさ♪」
「アニス…?

だから俺は旦那じゃなくて…。
Σ…ヒィイィィィイーーッ!
アニス…た、頼む…!
抱き着かないでくれー!」

清々しいほどにいい笑顔を浮かべていたアニスはいきなりジェイドに抱き着いた。
しかし、中身はガイなのでアニスに抱き着かれた途端、悲鳴をあげた。
それを見たガイは深いため息をつき、眼鏡のブリッジをあげる仕種をしながら口を開いた。


「ガイ、私の姿でみっともない声を出さないでください。
そんな情けない声を聞くのは耐えがたい。」
「あ、あの…。
ガイ…じゃなくて大佐…。
今はガイなので眼鏡はかけていないと思います。」
「おや、これは失礼。
癖というものは怖いですねぇ。」
「…お、俺はガイとジェイドが入れ代わってるって分かってても、この状況が怖ぇよ…。」
「わたくしもですわ…。
頭では分かっていても、心がついていけませんわ…。」
「不気味だわ…。」





異様すぎる光景にルーク、ナタリア、ティアは顔を引き攣らせた。



ただ一人…アニスだけはこの状況を楽しんでいるようで、ジェイドに抱き着いて「大佐ー、どうしたんですかぁ〜?」と言いながら笑っている。



完全に今の状況を楽しんでいる。





「だけど…、戻れるのか?」



そんな中、ルークは自然と頭に浮かんだ疑問を口にした。
ルークの言葉にその場にいるガイを除く(中身はジェイド)全員がハッとした表情を浮かべた。




「そ、そうだ。
そうだよな…。どうなんだ、ジェイド!!
俺は元に戻れるのか!?」
「そのうち戻ると思いますよ。」
「そのうちってずいぶんアバウトじゃないか!
責任取って俺を元に戻せ!頼む!」
「別に戻らなかったとしても私は特に支障はありませんが?」
「旦那にはなくても、俺にはあるんだ!
旦那になったまま一生を終えるなんて、まっぴらごめんだ!」
「大変傷つきますねー。」
「笑顔を浮かべながら言ってても、全く説得力がない!」
「ははは。」
「ははは、じゃない!
頼む!何とかしてくれ!」





ガイとジェイドのやり取りにルークたちは顔を引き攣らせながらその不気味な光景に無意識のうちに後ずさりした。



中身が入れ代わっていると知ってはいるが、外見だけで見るとジェイドが必死にガイに頼み込んでいるようにしか見えない。
あのジェイド(中身はガイ)が必死に頼み込むその姿はもう、不気味としか言いようがない。
更にガイ(中身はジェイド)はそのあまりに必死な姿を楽しんでいる。





「…俺…、このままだとすごいストレスたまりそうなんだけど…。」
「ルーク…、それは貴方だけじゃないわ。
私だって…体が拒否反応を起こしているのよ。」
「あまり見ていられるような光景ではありませんわね…。」
「アニスちゃん、大佐(中身はガイ)で遊ぶの飽きちゃったー。」










結局翌日には元に戻ったのだが…、元に戻ったあとガイのテンションが異常なほどに高かったのは言うまでもない。



END


※※※


いつもいろいろとプレゼントしてくださる雄愛様に感謝の気持ちを込めて書きました。


ガイとジェイドが入れ代わる話、というリクエストを承りましたが、情景を想像しながら書くのが楽しかったです♪


実は実験に失敗したというのはジェイドの嘘でガイをからかうためにやらかしたなんて裏話があったりします。


雄愛様、こんな駄作でよろしければお受け取りください!
ありがとうございました
(^O^)

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