1





いつからだろう?



こんなに気になる存在が出来たのは…。






変わりたいと、頑張ろうと、必死に努力する背中を見ていた僕は手助けがしたい、支えになりたい、と柄にもないことを考えていた。
そんな自分がいることに驚きはしたが、嫌いだとは思わなかった。








僕は気付いてる。


頑張ろうと努力するあまり、自分で自分を追い詰めてる“アイツ”の苦しみ。




“頑張らなきゃ”と気を負いすぎて精神的に自分を追い詰めている“アイツ”のこと。



そして、そんな“アイツ”を支えてやりたいと思う自分に。




誰かのために何かをしたいなんて、考える日がくるなんて思ってもいなかった…―――。
















***





僕はアイツが…、ルークがある街に滞在していることを知り、すぐにその街に向かった。





あの目立つ髪色のおかげで特に苦労することもなく、シンクは捜し人を見つけることができた。



「こんなところにいたんだ。」
「シンク!?

どうしてここに!?」
「用があるからに決まってるでしょ。

それくらい言わなくても察してよね!」
「あ、ごめん…。」





自分の目の前に現れたシンクにひどく驚いた様子のルークにシンクは憎まれ口を返した。



(…また謝ってる。

ハァ…僕は別に謝ってほしくて言ったわけじゃないのに…。)



謝罪の言葉を述べるルークにシンクは人知れずため息をついた。

ついつい憎まれ口を返してしまうだけで、シンクは謝罪の言葉が欲しくて言っているわけではない。


こういう性分なのだが、ルークにそれを弁解するほど素直な性格でもない。




(仕方ないな…。)


シンクが怒っているのだと勘違いでもしてるのか、ルークは悲しそうに顔を歪め、俯いてしまった。



“そんな顔をさせに会いに来たわけじゃない。”





そう思ったシンクは気付いたらルークの手を掴み、その手を引きながらいきなり駆け出した。



いきなり手を掴まれ、引かれたルークは驚いた表情を浮かべながら俯いていた顔をあげた。



自分の手を引くシンクの顔は見えなかったが、ルークは抵抗することもなく、黙ってシンクについていくことにした。










―――いつもそう。


シンクはいきなり現れ、食事を一緒に食べるように誘ったり、強くなるために鍛練に付き合ってくれたり。






シンクが何を思って自分にそんなことをするのかは分からないが、ルークは嫌ではなかった。






『バカじゃないの?』なんてしょっちゅう言われるのに腹も立たないのだから不思議だ。




(なあ、シンク…。

お前は俺のことをどう思ってる?
なんでいつもいきなり現れて、いろんなことをしてくれるんだ?)




心の中にずっと沸き上がる疑問。

しかし、ルークはそれを声に出して問うことが出来なかった。




(聞きたい…けど、それを聞いて…シンクに呆れられたり、嫌われるのが怖い…。)




そんな思いに支配されて、声に出して伝えることが出来ずにいた。

[*←前] | [次→#]







「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -