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「インカローズ、器をさらってこい。

…させたくてたまらないことがある。」
「クリード様…?」



本来の体に戻ったクリード。
野望を果たすために着々と準備が進められる中、クリードはインカローズに向かっていきなりそんなことを言った。



対するインカローズはいきなり器…、シングをさらってこいなどと命令され、固まっていた。


「インカ、聞こえなかったのか?
私の器をさらってこいと命令したのだ。
さっさと行ってこい。」
「――…は、はっ!

かしこまりました!」
「ケガは負わせるな。
無傷のまま連れて来い。」
「は、はい。」




ろくに説明もされぬまま、インカローズはクリードの命令に従い、シングをさらうため、その場を後にした。
















***



「インカローズ…ッ!」
「何をしにきやがった!?」
「みんな、油断しないで!」






サンドリオンに乗り込むため、旅を続けるシングたちの前にいきなり姿を現したインカローズ。

シングたちはインカローズに対して強い警戒心を抱きながら対峙していた。



「器よ。
クリード様がお前をご所望だ。
私と共に…来い。」




戦闘体勢をを取るシングたちに向かってインカローズは用件を口にした。


思いもよらないインカローズの言葉にシングたちは1人の例外もなく固まった。



「……俺!?
なんで!?」
「シングを捕まえてどうするつもりだ!?」
「みんな!シングを守るよ!」
「了解」
「シングはボクたちの後ろにいてね!」
「行くわよ、みんな!」
「えッ!?
ちょ、みんな!俺も戦えるよ!」
「バカヤローッ!

インカローズの目的はお前を捕まえることなんだぞ!
リチアと一緒に下がってろ!」
「あ…っ!ヒスイ!」
「行くよ、みんな!」





インカローズに向かって攻撃をしかけるヒスイたち。

シングは仕方なくヒスイに言われた通り、リチアと一緒に後ろに下がっていた。



…背後に迫っている気配に気付かないまま。




「油断した…な。」
「え?

…ッ!
うっ…!」
「シング…!」






目の前で戦うヒスイたちに気を取られていたシングは背後に迫っていた気配に全く気付かなかった。


シングの背後を取ったのは、ヒスイたちと戦うインカローズとは違う、別のインカローズ。
背後を取ったインカローズはシングに手刀を食らわせ、気絶させた。




それに気付いたリチアがシングの名を呼ぶが、時すでに遅く…、気絶したシングを抱えたインカローズはニヤリと笑うと素早くリチアのそばから離れた。




「バカな…ッ!
インカローズが…2人!?」
「いつ、私が1人だと言った?
油断した、な。
器はいただいた。」
「待て…ッ!」








慌ててヒスイたちはシングを抱えるインカローズの方に駆け寄るが、その前にインカローズは姿を消した。

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