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事の始まりはルークの一言からだった。
「キャンプってなんだ?」
キャンプが特集された雑誌をキャイキャイ騒ぎながら見ていた女性陣にルークはそんな言葉を投げかけた。
「えぇッ!?
キャンプを知らないの!?」
「え…?
あ、うん…。」
「キャンプって言うのは、自然の中でテントを張って、バーベキューとかすることよ。」
簡単にキャンプの説明をしたティア。
しかし、ルークは少し考えるようなしぐさをした後、首を傾げながら口を開いた。
「…それって野宿と変わらないだろ?」
何が違うんだ?と心底不思議そうな表情を浮かべるルークに女性陣たちはある決意をした。
***
「……何でいきなりキャンプなんてしようと思ったんだい?」
数時間後、ルークたちはキャンプ場にいた。
ガイとジェイドは女性陣に特に説明もされないまま、
『キャンプをしよう!』
と言われ、とりあえずルークたちと共にキャンプ場にやってきた。
ここまで来たら、いい加減に説明をしてほしいと考えたガイは何の気無しにその理由を問いかけた。
その問いかけに女性陣は眉を寄せ、ガイを睨みながら口を開いた。
「そもそも、ガイがルークにキャンプが何かをきちんと説明しなかったから、こうなったんだからねっ!」
「そうですわ!
キャンプを…野宿と同じだなんて…!」
「本当ね。
信じられないわ。」
女性陣から冷たい言葉を返され、ガイはたじろいだ。
「…ルーク、そんなことを言ったのか?」
「え?
だって…一緒じゃないのか?」
「……なるほどな…。
身をもって、キャンプを体験してもらおうってことなんだな。」
「そうよ!
分かったら協力して。
大佐もです!」
「やれやれ。
ここは蚊が1年中出る、と言われている場所ですよ?」
「大佐ー!
キャンプに来たら蚊に刺されるくらい当たり前のことですよー!」
「そうね。
だけど、それでも楽しめるのがキャンプだもの。
今日は戦いや旅のことは忘れて楽しみましょう。」
「そうですわね!
まずはテントを立てますわよ!
ルーク、手伝ってくださいまし!」
「お、おう!」
気合い充分のティアたちに少しおされつつも、ルークはナタリアと共にテントを立てることにした。
しかし、キャンプどころかテントも組み立てことがないルークは悪戦苦闘した。
しかし、それはナタリアにも同じことが言える。
王族である2人にテントを組み立てる、なんて作業が出来るはずもない。
組み立て方の説明書を見ても意味が分からないのか2人でああだ、こうだと言い合いをしていた。
「…仕方ないわね…。
2人とも、手伝うわ。」
「ティア!助かりますわ!
これはどう組み立てるものですの?」
「これは何に使う部品なんだ?」
「これはね…、」
見兼ねたティアがルークとナタリアを手伝うために、2人の元に向かった。
「じゃあ、テントの組み立てはティアたちに任せて、私はご飯の準備をしようっと!
大佐ー、ガイー!手伝って〜!」
「分かった!」
「私は遠慮します♪
老体にキャンプはキツイものです。
若いあなたたちだけで楽しんでください。
私は私で適当にくつろいでますから。」
「大佐ってば冷たーい。」
「頑張ってください♪」
「まあ、アニス。
俺も手伝うから、そう口を尖らせないでくれ。」
「はーい。」
ジェイドを除く全員が役割分担をし、着々とキャンプの準備が進められていった。
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