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「――っ、アッシュ!」









駆け出したルークは雪景色の中、一層映える紅に向かって声を張り上げた。




ルークの声に歩みを進めていたアッシュは足を止め、ゆっくり振り返った。





「レプリカか…。

…何の用だ?」
「あ、いや…。

その、アッシュの姿を見かけてつい…。」
「用がないなら声をかけるな。

じゃあな」
「あ、…。」





すぐに背を向け、歩いていってしまったアッシュにルークは言葉を失い、立ち尽くした。


アッシュを見かけて、つい嬉しくなって思わず声をかけたが、満足に会話も出来ないまま背を向けられ、ルークは悲しそうに眉を寄せた。





『次にアッシュに会った時に聞いてみればいいのよ。』





アッシュの背中を見つめるだけだったルークの頭にさきほどティアに言われた言葉が浮かんだ。



(そうだ…。

アッシュに会えて嬉しいとか考えてる場合じゃないんだ!

アッシュに…無事なのかどうか聞かないと…!)









そう考えたルークは再び、アッシュを追って駆け出した。







「アッシュ!!」
「…チッ…。

用がないなら声をかけるなと言ったはずだ。」
「アッシュは…無事か!?」
「あ?」





ついさっき、声をかけるなと言ったばかりだと言うのに、懲りもせず声をかけてきたルークにアッシュは苛立ちを感じずにはいられなかった。



しかし、そんなアッシュの気も知らず、ルークはアッシュが無事なのかどうかを問いかけた。

対するアッシュは意味が分からず、眉を寄せた。




「アッシュは…瘴気中和の影響を…受けてない、よな?」
「…チッ。

そんなくだらんことで声をかけたのか?」
「くだらないことじゃないだろ!?」




くだらない、と吐き捨てたアッシュにルークはそれを強く否定した。





「どっちにしろ、貴様には関係のないことだ。」






ルークの問いかけに答えることなく、アッシュは再びルークに背を向けた。






(…チッ…。

誰のせいで俺が…。



……待てよ…アッシュ“は”…?

何だ、あの言い回しは…。
まるで誰かが無事じゃねぇような言い回しだ。
だが…一体誰が…?)







ルークの言い方が少し引っかかったアッシュはちらりとルークの方を振り返った。




ルークがまだいるだろう、と予想して。
だが、アッシュはルークの方を見た瞬間、大きく目を見開いた。

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