強くなる意味


「ポカブ。今日バトル惜しかったな。またいっぱい特訓して強くなろうな」
「ポカッ!」
 サトシは、今日道端で急に挑まれたバトルに、あとちょっとのところで負けてしまった。
「でも、どうしてサトシは相性悪いポケモンあてるのよ。オタマロならピカチュウでいいじゃない」
「まあ、いい特訓になるし。ピカチュウは前の地方でレベルあがってるしな」
「そうか。サトシはいろんな地方で旅してきたっていってたよね。どんなポケモン持ってたの?」
「どーせ、そんな育てかたじゃ、たいしたのいないわよ」
「いや……」
「ベイー!!」
「ん?」
 ベイーっという声のほうを見ると、見たことのないポケモンが、こっちに猛ダッシュしてきていた。いや、正確には、デントとアイリスだけが見たことないんだが。
「ちょ、やばいんじゃない!?」
「とっ、とりあえず逃げよう! って、サトシ!?」
 あたふたする二人とは裏腹に、なぜかサトシだけが落ち着いていた。
「ちょ、ベイリーフ! ストープ!」
「ベイー!!」
 ぶつかる! 二人がそう思った時だった。
「カビ!」
 大きななにかが、上からずしんと降ってきた。それにより、ベイリーフとサトシの衝突は免れた。
「ヘラー!」
「グライオーン!」
 デントとアイリスにとっては見たことのないポケモン達が、続々と集まってくる。それは、全てサトシのほうに向かう。
「ええっと……。ベイリーフ、カビゴン、ヘラクロス、グライオン……。ん? それにジュカイン!? なんでいるんですか」
 サトシが困ったようにポケモン達に尋ねる。ピカチュウが、久しぶりっ、と挨拶をする。
「サトシ。もしかしてこれ、全部君のポケモン?」
「ああ」
 デントとアイリスは唖然とする。みんな、強そうなポケモン達だ。
「ガオーッ!」
 そんな中、空から一体なにかが降りてくる。
「……リザードン。どうしてこんな素晴らしいタイミングでくるんだ? 特訓は?」
 リザードンは、サトシに炎を吹き掛ける。デントとアイリスは慌てたが、サトシはなにもなかったように、リザードンの頭を撫でる。長距離飛行の実践特訓だとか。
「みんな! ポケモンセンターに行くぜ!」
「えっ?」
「アララギ博士に連絡とるの!」
 デントとアイリスは、とりあえずサトシについていくしかなかった。
 
「おお! サトシ! 久しぶりじゃな!」
 サトシの予想通り。アララギ博士のところに、オーキド博士が来ていた。
「ん? どうしたんじゃ? サトシ?」
「あのさ……。俺のポケモン、こっちに来てるんですけど……」
「なんじゃと!?」
 どうやら、オーキド博士の鞄にモンスターボールで紛れ込んでいたようで。いや、紛れこまされたというのが正しい。事実、数匹のポケモンが、フシギダネに頼み込み、つるのむちで鞄にモンスターボールを入れてもらっていた。
「すまんが、用事が終わるまで、預かってくれんかの? 終わったらとりにむかおう」
 そういうことで、結局、オーキド博士の用事が終わるまで、サトシが預かることになった。
 サトシ達は、イッシュのポケモンの交流をはかることにした。
「みんな! 出てこい!」
「出ておいで!」
「出てきなさい!」
 そして、みんなそろって仲良く交流……、するわけもなく、
「みんな、大丈夫だって!」
「そうよ! みんなサトシのポケモンなんだから!」
「うーん、参ったな……」
 完全に怖がってしまったようだ。
「ピカピ……」
 ピカチュウは、それを見て肩をすくめた。仕方がない。レベルが違いすぎる。
 と、突然、
「ピカッ!?」
「なんだ!?」
「なんだかんだと聞かれたら」
「答えてあげよう明日のため」
「以下略にゃ!」
「ロケット団! ……今はやめといたほうが、いいと思うぜ」
 ロケット団は、首を傾げる。が、すぐに調子を戻して、言った。
「へっ、へーん! 今回は秘策があるもんねー!」
「名付けて、人質大作戦!」
「ポチッとにゃ」
 と、突然、後ろにあった機械から伸びた手が、サトシを掴む。ピカチュウも同様に捕まえられていた。
「なっ、なにすんだ!」
「ふーん! これであんたたちも攻撃できないでしょ! って、なんで昔のポケモンがいるのよ!」
「聞いてないぞ!」
 ロケット団は慌てだす。
「いっ、急いで退散するのにゃ! にゃっ!?」
「ガルルル……」
 立ち塞がるリザードン。かなり怒ってるようで。
「こうなったら……。いくのよ! コロモリ!」
「いけ! デスマス!」
「……」
 戦闘モードに入る、昔組のポケモン達。あっ、みんな怖い。サトシとピカチュウは、顔を見合わせて苦笑いする。
「ジュカッ」
「ベイッ」
 ジュカインのはたくと、ベイリーフのつるのムチにより、コロモリ、デスマス、一発戦闘不能。
「カビッ」
 カビゴンののしかかりにて、機械ぺしゃんこ、サトシとピカチュウ救出。
「ヘラッ」
「グラッ」
「ガオッ」
 ヘラクロスのつのでつく、グライオンのはがねのつばさ、リザードンのふきとばしにより、
「いやな感じー!!」
 ロケット団は、空にきえた。
 
「それにしても、どうしてサトシは、昔のポケモン使わないのかしら」
「すごく強いのにね」
 デントとアイリスは、一瞬で救出されたサトシを見つめる。
「みんな、ありがとな」
 サトシが笑顔を向けた、その時だった。
「ベイー!」
「カビッ!」
「ヘラッ!」
「グラー!」
「ガオッ!」
 一斉にサトシに向かって飛びつく。サトシの上には、大きな黒い影。
「ジュカッ!!」
 万事休す。ジュカインが、サトシを抱き上げ、なんとか助け出した。その後には、とびつこうとしてぶつかった衝撃による、大きな穴。
「前言撤回。あれじゃあ、サトシの命がいくつあっても足りないわ」
「同感だね」
 彼らは、無事カントーにかえされた。
 イッシュ組ポケモンは、強くなりたいと願うと共に、強くなる意味と、進化後の甘え方も考えたとか。




※※※

コエナキコ様宅のフリリクに図々しくもリクエストさせていただいたのですが、サトシがみんなから愛されてるカンジが最高に素敵でした!

もう嬉しくてニヤニヤが止まらないです
(*´∀`*)

コエナキコ様ーっ!本当にありがとうございましたっ!

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