ふとした時は要注意!



青い空、白い雲、斜めに走る緑の草原、その下に流れる穏やかな透明な川。そしてそれらを見上げる(見下げる)赤い目のひと。なんだかその光景がやけに綺麗で、ひとつの絵画を見ているようだった。けれど見ているのは自分だけで、周りには誰もいない。この世で自分とあの人だけしかいないようにも感じた。

「サトシ」

名前を呼ばれて俺の世界は弾き飛んだ。もう少し、二人だけっていう世界を味わいたかったけれど、すぐ横をポケモンが走っていった。

「なんでしょう?」

少しだけ首を捻れば、レッドさんはにこりと微笑んだ。
それからすべすべした(山にこもっていたせいか)真っ白な手で俺の腕を引き寄せた。レッドさんの見た目からは考えられないような力に驚くけれど俺は簡単に体制を崩してしまった。
このままではレッドさんに迷惑がかかってしまう。その前になんとかしなくてはと体を動かすのだけれど、レッドさんの腕によって阻止されてしまった。
それでも体制をなんとかしようと努力をした結果、レッドさんの手は離れ、俺は川まで転げ落ちた。

「うわあっ」
「サトシ!」

ざっばーんと、勢い良く水しぶきが上がった。背中や首が痛い。
すぐ後ろで、レッドさんの声が聞こえた。ごめん、ごめんと謝っている。
俺はレッドさんを安心させたくて、痺れる足を立たせて今の自分が作れるありったけの笑顔をぶつけてやった。そうしたら、レッドさんはますます顔を歪めて(川の水に足を濡らして)俺に抱き付いた。

「ごめんサトシ…!本当にごめん。俺、なにも考えてなくて…っ」
「大丈夫ですよ!いっぱい旅をして強くなったんですから。この程度はしょっちゅうです」
「しょっちゅうて…とにかくサトシ、一回川から上がろう」
「あ、はい」

レッドさんも俺もびしょぬれなのを見て苦笑すると、急な坂の草原を登り始めた。それからもといたところに座り、バックをガサゴソとあさった。それから濡れた髪をたまたまバックの中に入っていたタオルでふいて、ふとレッドさんを見た。なんだか、暗い。
俺は口を開こうとして、やめた。レッドさんが何かを言ったからだ。

「サトシはさ…少しは俺を頼ってよ」

微かに聞こえた声に、俺は目を見開く。レッドさんを頼らない日などあっただろうか。

「…?十分頼ってますよ?」

宿題とかも一緒にやってくれるじゃないですかと言うとレッドさんは違う違うと首を振った。

「さっきの時とか、俺に迷惑だから…とか思っただろう」

俺は一瞬ギクリとするが、慌て顔を引き締めて首を横に振った。

「…、思ってません」
「思った」
「思ってません!」
「思った!」

ああもう。レッドさんの目が本気だ(本気と書いてマジとよむ。)俺は少し怖じ気づいた。

「いい?サトシ」
「はい」
「まだ何も言ってないよ。さっきのはね、わざとなんだ」
「は…」
「だーかーらー!サトシが体を俺に預けてくれると思って、手を引いたの」

その後俺がサトシを押し倒したり、いろんなことをしようと思ったの。
そう言うレッドさんに俺は目を丸くすると同時に、体中の熱が顔に集まっていくのがわかった。

「レッドさん…」

公衆の面前でそんなことをしようとしていたのか、この人は。俺は顔を真っ赤にさせながら溜め息をついた。

「ね、だからさ」
「は…?」

レッドさんの顔がやけに近い。

「いいよな…?」
「ちょ、レッドさ…うわぁっ」

押し倒され、俺は悲鳴を上げる。この体制は色々とやばいんじゃないの?
上を見上げると、そこにはこちらをじっと見つめてる子供がいた(これは教育に悪いんじゃない?)
立ち上がろうとしてお腹に力を入れたけれど、レッドさんに肩を抑えられてしまって、虚しくも草に頭をぶつけてしまった。
レッドさんに抵抗しようとして視線を上げればそこにはニコニコ笑っているレッドさんの顔があった(あれさっきまで暗く沈んでなかった?)

「じゃ…いただきます」

レッドさんは最後に上唇をぺろりと舐めると、俺の耳でなにかを囁いた。
行動に移されないようにと気をつけていたのに、俺が顔を真っ赤にさせている間にやすやすと唇を奪われてしまった。




ああもう…。
どうとでもなってしまえ!
目を閉じたサトシに、レッドはにやりと笑った。
ふとした時は要注意!

(や…)
(や?)
(やっぱり無理!)
(どげふっ)

ばっしゃーんっ…

(わあっレッドさん大丈夫ですかっ!?)
(大丈夫じゃなーいー!)




※※※

天武さまこと、天ちゃんから相互記念に素敵なレサトをいただきました…!

レッドさんはサトシをおいしくいただきたかったのね…
(*´V`*)

わかるわ…!!だってあの可愛さは犯罪並だもの…!!!!

天たん!素敵な相互小説、本当にありがとうですの!

これから先、もっと仲良くしてもらえたら嬉しいです♪

- 3 -


[*前] | [次#]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -