守れる強さ
「デント…。
あのさ…そろそろ離してくれないか?」
「いやだ。」
フシデの大量発生でバタバタしていたものの、何とか事なきを得たあと、サトシたちはアララギが到着するまでの間、ポケモンセンターで休んでいた。
それぞれが休息をとる中、サトシは困っていた。
「デント。
頼むから離してくれよ。」
「いやだって言ってるじゃないか。」
サトシが困る理由…、それはデントがサトシを抱き締めたまま離そうとしないからだった。
「どうしたんだよ、デント。」
「サトシ、君は本当に分からないのか?」
「分からないから聞いてるんじゃないか。」
抱き締めたまま離そうとしないデントに、何故離してくれないのかを問いかけたサトシ。
その理由をまるで分かっていないサトシにデントは心中でため息をついたあと、口を開いた。
「サトシ。
僕はサトシが好きだ。」
「おれも好きだぜ?」
「好きな人が目の前で無茶をして、そのあとに毒のせいで苦しそうにしていたら、心配するのは当たり前のことじゃないか?」
「でも、フシデを誘導する時は何も言わなかっただろ?」
「あの時は、フシデを何とかしないと、フシデや街の人たちに危害が及ぶ、切羽つまった状況だった。
だけど今はアーティさんやジュンサーさんたちのおかげでその心配もない。
だからこそ、今まで抑えていた気持ちが抑えきれなくなったんだ。」
「心配…かけてごめん…。
でも、あの時はフシデを助けたくて…。」
眉尻をさげて謝るサトシにデントはそっとサトシの頬に手をあてながら口を開いた。
「確かにサトシのいいところはポケモンたちを大切にするところだ。
それが自分のポケモンじゃなくても、体を張れるサトシをスゴイと僕は思うし、サトシのそんなところに惹かれたのも事実だ。
だけど、サトシが無茶をする度に心配でたまらないんだってことを理解してほしいんだ。」
「デント…。」
心の底から心配そうな表情を浮かべるデントにサトシは、強く心配させてしまったのだと、ようやく気付いた。
「デント、本当にごめん…。」
デントに心配をかけたことが申し訳なくて、サトシはデントにギュッと抱きついた。
「サ、サトシ…?」
「おれ、デントのこと好きだ。
だから、好きな人に心配をかけてたんだって気付かなくて本当に悪かったって思ってる。
でも…、体が勝手に動くから無茶をしないって約束をしても破ることになると思うんだ。」
「…サトシの無茶はもう反射的なものだろうからね。
でも、サトシ。
僕はサトシのことを精一杯守るから。
それだけは覚えておいてくれないか?」
「…無茶をするな、とか言わないのか?」
「さっきも言っただろう?
サトシの無茶は反射的なものだ。
無茶をするなと言ったところで絶対にまた無茶をするに決まってる。
それなら僕はサトシを守れるように強くなるだけのことだ。」
「デント…。
ありがとう…。
おれ、デントのそういうところが本当に好きだ!!」
「僕はサトシの全てが好きだけどね。」
「なッ…////
デントって、そういう恥ずかしいセリフを何の躊躇いもなく言うよな…。
聞いてるこっちが恥ずかしいぜ…。」
デントの言葉にサトシは顔を真っ赤に染めた。
そんなサトシを見て、デントはくすりと笑ったあと、またサトシを抱き締めた。
結局、アララギが到着したことを知らせにアイリスが2人の元に向かうまで、デントとサトシはずっとそばに寄り添いあっていた。
※※※
えー…、今回は2人ともくっついてる設定でした。
サトシはポケモンが大好きだから無茶ばかりして、それを見ているしかできないデントは悔しい思いをずっと抱えていて、サトシも申し訳ないと思いつつも性分なのでどうしようもないと言えばそれまでですが…。
サトシが無茶をするならデントはそんなサトシを守れるように強くなるのだと決めた、というお話です。
初めて両思いな話を書いたものの、なんか不完全燃焼な気分…。
こんな駄文の閲覧、ありがとうございました!!
[
*←前
] | [
次→#
]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -