温かい手
「ツタージャ、改めてよろしくな!
俺はサトシ。で、こっちはピカチュウ。
アイリスとデントだ。」
「ツタジャ。」
モンスターボールからツタージャを出して、自己紹介をするサトシ。
ツタージャが頷いたのを確認するとサトシは他のポケモンたちを出した。
「ミジュマルにポカブ、それとマメパトだ。」
「ミジュマー。」
「ポカブー!」
「クルックー!!」
次いでミジュマル、ポカブ、マメパトもサトシに紹介され、ミジュマルたちは元気よく挨拶をした。
ツタージャはミジュマルたちの表情を見たあとにサトシを見た。
ミジュマルたちは、そう…とても幸せそうに笑っていたのだ。
自分のマスターとなったサトシに心を許しているのが分かる。
「ミジュマー♪」
「ポカ、ポカブー!!」
「あはは!なんだよ、ミジュマル、ポカブ。
くすぐったいだろ?」
自己紹介も終えたミジュマルとポカブはすぐにサトシのそばに近付き、すりより、更にはミジュマルとポカブはサトシの取り合いでケンカまでしている。
「ミジュマルもポカブも何、ケンカしてるんだよ?
ほら、仲良くしないとダメだろ?」
「ミジュー…」
「ポカブー…」
サトシの取り合いでケンカしているというのに、サトシはそれに全く気付いていないようでケンカを止めている。
しゅんとしているミジュマルとポカブにサトシは優しく微笑みながら2匹の頭を優しく撫でた。
撫でられた2匹は気持ち良さそうに目を細めている。
よほど、サトシが好きらしい。
それを見ていたツタージャは嫌でもそう感じた。
『あの人とあの子たちは、どのくらい一緒にいるの?』
あれだけ懐いているのなら、きっと長い間一緒に旅をしていたのだろう。
そう感じたツタージャはじゃれあうサトシたちを見守っていたピカチュウに問いかけた。
『僕はサトシが旅をした時から一緒にいたけど、ミジュマルたちは数日前から一緒に旅をしはじめたばかりだよ。』
『え…?』
ピカチュウから返ってきた言葉は予想もしていない答えだった。
たった数日であんなに信頼できるものなのかと、ツタージャは信じられずにサトシたちを見た。
そんなツタージャの思いを感じたのか、ピカチュウは静かに口を開いた。
『サトシはね、僕達ポケモンを守るためにいくらでも無茶をする人なんだ。
それに、サトシはとても優しくて温かい人なんだ。
だから、僕達はサトシの気持ちに応えたくて、笑ってほしくて頑張るんだよ。』
にっこり笑って言ったピカチュウの言葉にツタージャはサトシを見つめた。
「どうした、ツタージャ?」
ツタージャの視線に気付いたサトシはミジュマルとポカブを抱き上げながらツタージャの元に近付いてきた。
「タジャ…。」
何となくサトシの顔を間近に見られなくなったツタージャは咄嗟に素っ気ない素振りで顔を背けた。
「ツタージャ。」
顔を背けたツタージャを見たサトシは名前を呼んだあと、そっと頭を撫でた。
それを見たミジュマルやポカブが不満そうに鳴くが、ツタージャは目を丸くして不満そうに鳴くミジュマルとポカブをなだめるサトシを見た。
ミジュマルとポカブが短期間でサトシを好きになった理由が少し分かった。
サトシの手はとても温かい。
サトシの手の温もりは不思議と心地よかった。
このトレーナーなら、信じてもいいのではないか?
そう思わせた。
『ピカチュウ、大丈夫か?』
『ピカチュウ、俺に捕まれ!』
『頭に乗るんだ、ピカチュウ!』
…あの時も自分の身よりピカチュウのことを心配し、案じていたように、サトシはきっと他のトレーナーよりもきっと自分たちポケモンのことを考えてくれる人だから。
だから、信じてみたいと思えた。
そしてもっとサトシのことを知りたいと思った。
(…これからよろしくね、サトシ…。)
END
※※※
ツタージャをゲットした話を見た時にパッと浮かんだ妄想ネタでございます。
きっとツタージャの前のトレーナーはポケモソたちの身より自分の身を優先したかなんかで、ツタージャはそのトレーナーに愛想が尽きたから野生になったんじゃないかな、なんて思ったので書いてみました。
ツタージャがベイリーフみたいにべたべたに懐いた姿は正直、想像できないんですけどね(笑)
書いてて楽しかったです
(^^)/
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