奴はいつもそうなのだ。私が電話を掛ければ言われることはいつもひとつ。「今忙しいからまた今度」。じゃあいつ会えるのと聞けば「日曜の夜」。これだ。最初こそ「そっかー」と納得していた私もそろそろ我慢の限界なのだ。しかも、この間会ったカスミに「え?あいつならこの間見たわよ、ハナダの岬で」と言われればもう怒るのもバカらしくなってくる。どうせデートだ。カスミにはそれ以上聞かなかったけど、絶対そうだから聞くまでもないだろう。
そして今日。電話を掛けたら奴は案の定「悪い、今忙しいから」とそれを切った。僅か数秒の通話の間、切れる寸前にポケギアの向こうで「電話、誰?」という女の子の声が聞こえたりして、私は堪らずため息を吐く。今日は誰と過ごしたのかな。アロマなお姉さん、大人のお姉さん、エリートトレーナー、もしかしてミニスカートの女の子だろうか。 何にせよ私ではないことは確かで、私はその正体の見えない女の子に嫉妬してみたりした。
というか日曜夜とか完全におまけじゃないか。次の日は週明けで、遅くまでは過ごせない。デートとしては最悪な時間設定。
「・・・バカだなあ」
男なんていくらでもいるのに。数限りなく、日替わりで何年でも付き合えるくらいいるのに。 それでも私が好きだと思うのは週にたったの一回しか会ってくれない非情なあの男だけなのだから手に負えない。
結局は私もバカなのね 20111202
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