小ネタ | ナノ

 
 
 12月とは、こんなにも寒いものだったかしら。首に巻いたマフラーをきつく巻き直しながら思う。温暖化とは怖いものだ。暑いだけでなく、寒くもするのか。
冷たい風は、マフラーの隙間を狙って容赦なく吹き付ける。

・・・寒さはいけない。寒いと指先や頬だけじゃなくて、心もなんとなく寒くなってしまうから。だから、寒くなると彼氏が欲しくなる、という女の子もいるらしいが、その彼氏が私を寒くする原因の場合はどうしたらいいんだろう。




 「寒いんだけど」
 「そりゃあよかったねィ」


 隣を歩く男、沖田総悟は私の訴えをいとも軽く流した。興味ない、という風だ。ポケットに手を入れてマイペースに歩いている。

・・・よかったねィってあんた、おい。私はこれでも一応あんたの彼女なんですがね。


 「俺は下にヒート○ック来てるからあったかだけどねィ」
 「えー・・・ズルイ」
 「夏はサラファ○ン」
 「・・・あんたはユ○クロの回し者ですか」
 「はは、冗談でさァ」


突っ込んであげれば少し笑う。私には訳がわからないけれど。

今のは、何に対しての"冗談"なんだ。わかんない。もう、マイペースにもほどがあるだろ!



 しかし寒い。吐く息も真っ白だ。


 「・・・こんなに寒いなら、雪のひとつでも降ればいいのに」
 「バカは寝てから言ってくだせェ。これ以上寒くしてどうすんだよ」
 「うるさいな!・・・どうせなら綺麗な方がいいじゃない」
 「綺麗、ねェ・・・」


言いつつ、彼は拳を顎にあてる。首を傾げて何かを考えているみたいだ。


 「・・・雪なんか大したことねェや」
 「はーっ?!綺麗じゃん!相当綺麗じゃん!!総悟の目は節穴でーすーかー」
 「語尾を伸ばすなキモチワルイ」
 「あんたねー!!」

真剣に考えてると思ったら!私を否定するのが楽しいか!楽しいだろうよ!Sだもんねまがりなりにも!



 「アンタの方が、よっぽどいいや」



 だから、それは何に対しての"いい"なのよ。


マイペースも大概にしなさいよね。


・・・こっ恥ずかしい。


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