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秋に片想いな女の子と桜庭さん

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 あいつのことはもう止めた方がいい。
何度も言われた台詞を、今度は彼の友人に言われた。人のやりたいことに口出しするタイプではないし、こんなことを言われるとは思っていなかったから驚いた。もしかしたら誰かに頼まれたのかもしれない。私が彼に、あまりに熱を入れすぎているから。


 「あいつ、すごい適当な奴だからさ」
 「・・・知ってます」

適当で、気まぐれで、心を許してなんかくれない冷たい人。笑顔を向けてくれるけど、その実ちっとも笑っていない人。


 「俺も、すごい苦労してるから」
 「あはは、桜庭さん友達なのに」
 「友達じゃないって」


 きっと、あの人にはただならぬ魅力があるのだ。私はそれにハマっただけ。顔とか性格とか、そんな単純なものではない何かに私は惹かれてしまったのだ。
それは必然的な出来事だった。

あの人を悪く言う彼が、そう言いながらもあの人の友達をしているように(桜庭さんは否定するが)、私もまた彼のいいところを探すよりもまず先に好きだという気持ちが出てくる。
そういう意味で、私たちはどこか似ているのかもしれなかった。ただ彼はあの人からも好かれていて、私は好かれていないだけのこと。

 分かっているのだ。いつまで待ったとしても、あの人は私を見てくれないということくらい。

だけど。


 「・・・諦められないって顔だな」
 「ふふ、ですね。私、まだ未練があるみたいですよ」

笑ってやってください。
いくら言われたって、もう私は引き返せないんです。


 「・・・別に、笑わない」


 自嘲して微笑む私に、彼は小さく苦い声で答えた。そうだ、彼はそういう人なんだ。優しくて優しい、私の無謀な恋をそっと見守ってくれる唯一の人。あの人なんかよりいいところが沢山、すぐに見つかるのに。


 「私、桜庭さんみたいな人を好きになればよかったって。最近よく、思います」
 「はは、どーも。・・・でも、あいつが好きなんだろ?」
 「・・・はい」


それでも私はどう足掻いても、どうしても、あの人でなきゃダメなんです。
だからごめんなさい、あなたの気持ちを見て見ぬふりすることしかできないんです。



よく出来た三角形



(似た者同士のふたり)




秋は仕事関係なくて興味もない女の子には愛想よく冷たいだろうという妄想


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