【テーマ:ずらし挿入】 130603

 営舎の屋上、人目を避けて給水塔の影に隠れるなんて、学生時代に仲間とジュースを賭けたゲームをやっていた時を思い出す。
 もちろん、その時の永井はこんな風に壁にもたれてはいなかったし、男と抱き合ってもいなかった。
 興奮を煽る水音を立てて絡む舌はほんのりと苦い。沖田の吸っていた煙草の味だろう。
 鼻が良いぶん、煙草の臭いは苦手な永井だが、清涼感のある沖田の香りは嫌悪を抱かせない。それに、日常に繋がる匂いは彼が最前までは当たり前の顔で同僚と談笑していたことを思い起こさせる――それが今はこうして熱心に永井の肌を探り、深い口付けを交わしていることに、些かならず優越感を抱いた。
 こうして沖田を独占できるのは、世界に自分ひとりだけだ。
「沖田さん……」
 上がった息の間に名を囁き、シャツの裾からさしいれた手で沖田の背中にきれいに浮かぶ筋肉の隆起を探る。仕返しとばかりに胸筋を揉むように捏ねられ、親指の腹で乳首を撫でられると快感が腰の奥を電流のように叩き、細い声が漏れた。
「固くなってる」
 そんなわかりきったことをいちいち報告しなくていいのに、低く囁く沖田はひどく愉しそうだ。すっきりと整った顔に浮かぶ悪そうな笑みと、浅く乱れた吐息が色っぽい、と思う。
 はやく、手酷く犯されたいなんて、沸き上がった気持ちを声には出さないが。
「もう、やらしい顔になってんなぁ、永井」
 唾液に濡れた永井の唇を指でつつき、笑い含みに告げる沖田にはきっと見透かされている。
「やらしいことしてるからですよ」
 何が悪いのか、と尖った目で告げると、沖田は「そうだな」と涼しさの底に熱を潜めた声音ごと、永井の首筋に顔を埋めた。
 自分で触れてもなんとも思わないのに、柔らかく湿った沖田の舌に擽られると、皮膚が粟立つほど感じてしまう。沖田の背を強く抱いて、脚のあいだに入り込んだ腿に熱を帯びた腰を擦り付け、先を急かす。かたく尖った乳首を指先で摘まれ押し潰されて苛められるのも嫌いではない。それでも、今はもっと強い刺激が欲しい。
―― それだけじゃなくて。
 消灯までの時間は、もう、あまり残っていない。
 焦れる永井をからかうように、ジャージの腰から下着の中に滑り込んできた手に臀部を撫でられ、尻たぶを掴まれてじんと痺れが走った。胸の次は尻、男の体なんか揉んだってたいして気持ちよくもないだろうに、沖田は弾力を楽しむ風情で執拗に五指を蠢かす。
 見えはしないが、骨張ってかたく節の立った、大人の男らしい手に自分のからだを好きにされている姿を客観的に思い描いて、密着している腿に固い違和感……存在を主張しはじめた沖田の雄を感じ、永井は唇を緩め、甘い息を吐いた。
「これ、気持ちいいのか」
 尻を揉まれて感じているのではなく、永井に触れて興奮している沖田に対して期待をし、結果として高ぶっているのだと、ややこしい機微をうまく説明できそうもない。
 だから永井は首を横に振り、沖田の下腹部に手を伸ばした。布の上から質量を確かめ、包んだ手で沖田を真似ていやらしく上下に揺する。
「今は、こっちがいいです」
 ぐっと固さを増した感触に、息だけで笑う。
「時間ないだろ」
「大丈夫ですよ。準備して、きましたし」
 自涜に近い行為を報告するのはさすがに気恥ずかしくてぼそぼそと告げると、沖田の指が尻肉のあわいを辿り、窄みを押した。
「ん……」
 力を抜こうと意識するまでもなく、一本がつぷんと入り込んでくる。異物感は、ぞくぞくする高揚を連れてきた。内壁の滑らかさを確かめるように探る指にもどかしさが込み上げ、中がうねるのが自分でもわかった。
「あぁ、熱いな。絡んでくる」
 沖田の独り言に沸き上がるのは、羞恥よりも喜びだ。
「……ぁ、は……っ」
 増えた指に悦い部分を刺激され、腰をびくつかせながら沖田の肩を掴んで嬌声を堪える。三指で孔を拡げられる頃には、屹立の先端から滲む先走りが下着を重く濡らしていた。
「も、平気ですから……はやく」
 後ろから引き抜かれる感触にも身が震え、声が零れる。荒い息を唾液と共に飲み込み、ジャージを引き下ろして片足を抜いたところで、沖田に肩を掴まれ、くるりと後ろを向かされた。
「え?」
 給水塔の冷たいパネルに胸を押し付け、尻を浮かせた格好ですることといえばひとつだろうが、わいた疑念は脚の付け根から下着の中に入り込んだ沖田の手がそのまま下着の裾をずらして、露出した穴に夜気の冷たさを感じて氷解する――わかりたくなかった。
「待って……っあ!」
 制止は、窄まりを掻き分けて入り込んでくる硬い屹立にほどかれた。雁首の括れも浮いた血管が走るかたちもわかりそうなくらい、みっしりと永井の肉壁と擦れあって侵入する熱さに、涙が滲む。
「はやく、って急かしたくせに待てはないよな」
 意地の悪い指摘にもぞくぞくする艶が含まれていて、思わず締め付けた肉孔がきつかったのか、く、と小さく呻いた声にまた際限なく欲情してしまう。永井はパネルに指を立てて下肢の力を抜き、全てを受け入れようとした。ゆっくりと充たされる感覚に集中したくても、下着を浮かせて膨らんだ前がきつく、気が散じる。
「沖田さん……前、きついです」
 細い喘ぎまじりの吐息で訴えると、沖田は「うん」と生返事をして、永井の腹から胸を撫であげ、熟れた尖りを捏ね出した。
「ふぁ……っ」
 一瞬、体が浮き上がるような快感に気をとられた間に、沖田の腰が下着越しにひたりと密着する……穿いたまま、入れられてしまったのだと、改めて自覚した。
 性交のそれとはまた違う熱さが頬に上り、目眩がする。みずから望んだこととはいえ、階下では同僚達が思い思いに過ごしていて、いつ誰に見つかるかもわからないような時間に、ほぼ野外といって差し支えない夜空の下で立ったまま、下着をずらしただけの尻に男の陰茎をくわえこんで、快感を得ているなんて。沖田と出会う前の自分なら盛りすぎだと引いている。
「お、きたさん!」
 今度こそ批難を籠めて呼ぶと、ごめんごめんとさっぱり反省していない声で言われて、前に回された手でボクサーの窓から息子を救出された。
「これでもう苦しくないな、良かったなぁ永井くん」
 ……何かが違う。
 違うが、沖田のものを突き上げるように動かされながら、性器を弄られると抗議の声などあげられなくなった。下着の中で蒸れている玉ごと荒っぽく揉まれ、かと思えば竿をきつく掴まれ、涎を垂らす鈴口を指先で抉じられて感じ入るたびに後ろを締め付けてしまう。
「ふ……永井のここ、すっかりエロ穴だなぁ」
 悦に入った呟きに異議を申し立てたくとも、沖田の屹立の太さにぴんと張りつめ、引き抜く動きで内部の肉色を覗かせる粘膜を指で辿られるだけで、ざわめく性感に腰が揺れるのだから、否定なんかできっこない。
 汗とカウパー液と、ぐちぐちとあられもない音を立てて接合部から溢れる液体……沖田の先走りだけではなく、永井が塗り込んできたローションや腸液が交ざっているのかもしれない。
 閉じることができない唇からも、蕩けた喘ぎと唾液だけが滴り落ちた。そうなれば、沖田ももう永井を昂らせる軽口は叩かない。
 浅い場所まで引き抜いたものをぐっと押し込まれるたび、沖田の精液を搾り取ろうと熱をもってしきりにひくつく挟隘を幾度も穿たれ、快楽を生む坩堝を刺激されて甘く崩れかけた体を、給水塔の梯子を掴んだ片手でどうにか支える。
 首筋も、胸も、粘膜の入り口も前立腺も、もっと奥も、気持ち良いのはぜんぶ、沖田に教えられた場所だ。どれも沖田に求められて与えた証拠だと思えば、意思の外に流されていく自分のからださえ愛しい。
「おきっ……さん」
 首を無理に捻って口付けを強請れば、待ちかねたように唇を塞がれた。
 靴の中で爪先を丸め、沖田の手と脈打つ屹立に導かれた絶頂に身を浸して己の先端から熱を吹きこぼし、きつく搾りあげる後孔から無理矢理に引き抜かれる感覚に、一度では出しきれなかった飛沫がまた溢れる。
 背中と腰のあいだに粘る熱を感じて、永井は背を震わせた。



 並んで壁にもたれ、足を投げ出して座った姿勢で、星がきれいに浮かぶ夜空を見上げる。明日も晴れそうだ。
 ……洗濯物が、よく乾くだろう。
「……で、どうすんすか、これ」
 これ、と永井が指したのは、ぐちゃぐちゃに濡れよじれて、もはや着用に耐えかねたボクサーパンツである。
 自分の出したものだけならまだいいが、とどめに沖田がぶっかけてくださったせいで酷い有り様である。
 ジャージの下はフリー状態。非常に心もとない。
「俺が責任を持って保管、いや、洗濯しよう」
 しごく真面目な顔で不穏な単語を口走りながら伸ばしてきた沖田の腕をかわし、手の中に握りこむ。ぐじゃっ、と、耳を塞ぎたくなる音が響いたのはとりあえず無視だ。
「沖田さん、変なことばっかりするんだから」
「穏便に済ませようとしてた先輩の気持ちを無下にして、本番誘った後輩には言われたくないなー」
「……その悪い後輩に乗っかったのは、沖田さんでしょ」
「大喜びでね」
 にっこり笑われてしまっては、返す言葉がない。
「俺はもう大歓迎だけど、今日はどうした? いつもならイヤとかダメとか言うのに」
 永井の肩を抱き寄せ、自分に寄りかからせながら最初に聞くべきだったことを今さら尋ねてくる沖田のこめかみに、わざと頭をぶつけてやる。
「沖田さん、喫煙所にいたじゃないっすか」
「さっき、永井が呼びにきた時?」
「……じゃなくて、昼間。煙草吸ってる沖田さんて、えろいんですよ」
 二秒ほどの間をあけて、ぶつけ返された。
「そういうのは、色気があるとか惚れ直しちゃうとか、めちゃくちゃに抱かれたくなるとか言いなさい」
「そこまで言いませんよ!」
「違わないだろ」
「……っすけど」
 結果的には正解なので口を尖らせて肯定すると、ふふふ、と沖田の肩が揺れた。
「なんすか、変な笑いかたして」
「永井が俺のこと、そういう風に見ることもあるんだなって思うと嬉しくてさ」
 俺は果報者だ。そんなことを言いながら手を握られて、胸がきゅんと鳴る。
 ……反対側の手には下着があるとしてもだ。
「あるに決まってるじゃないですか。好き、なんですから……」
 つい数十分前の大胆さなどどこかにかき消えて、小声で付け足す告白に、また沖田の肩が揺れた。
 ちょっと笑いすぎだと横目で睨むと、くすぐったそうに笑う沖田の横顔がほんのりと赤くなっているのが薄暗いなかでも見てとれて、なんとも言えなくなる。
 凝視に気づいた沖田は、照れ笑いの表情のまま、こら、と永井の目を手のひらで覆った。
「そんな熱い目で見てたら、悪いおじさんに襲われるぞ」
「なに言ってんですか」
 沖田の肩に頭を預けて、はあ、と息をつく。
「そろそろ戻らないと」
「離れたくねえなぁ。もう、ここで夜明かしするか?」
「なに言ってんですか」
「二回目」
「沖田さんがばかなこと言うからっす」
「恋人との時間は人の頭のねじをユルくするんだよ。こんなに可愛くて俺に夢中な永井のせいで、ユルくなりっぱなしだ」
「……突っ込みませんからね」
「うん。永井は突っ」
「言わせません」
 横腹を肘でつくと、沖田は大袈裟に痛がりながら笑ってのけた。
「じゃ、行くかぁ」
 膝を押さえて立ち上がった沖田が差し出す手に掴まって身を起こす。ぐいと手を引かれ、よろけた永井を受け止めるついでに唇を合わせてきたのは敢えて抗議せず、ただ触れるだけの幸せを享受した。
 さらなるついでに左手から奪われた下着はなにがなんでも取り返さなくてはいけないが、この戦いは、どうも分が悪い。


 後日、調子に乗ったお詫びにと、新しい下着を三枚ほど沖田にプレゼントされた永井は、それがごく普通のものだったことに安堵しつつも、持っていかれたままの下着を沖田が捨ててくれたのかどうか、確認する勇気は持てなかったという。



(裏テーマ:「加糖さんの描く喫煙沖田さんが艶っぽいので永井くんも興奮すべき。」)



【マンドラゴラ永井くん、ちょっとフライング。】130601


 鉢植えの『本体』に水をやり、ハタキをかけている永井の後ろ姿、特にふりふりと動く尻のあたりをぼんやりと眺めながら、沖田はひとつの疑問を胸中に育てていた。
 永井がドライアドに進化して二週間。等身大の彼をようやく見慣れてきたが、まだ試していないことがある。
「なあ、永井」
「なんすか」
 身体をひねり、振り向く永井は正体が植物だとは思えないほど人間らしい姿をしている。小さかったときはほとんど下半身裸で過ごしていたせいで、締め付けを嫌う彼が妥協点として穿いているハーフ丈のスウェットからすんなり伸びたふくらはぎ、白い足首の先には以前のようなヒゲ根もない……はだしの足の甲の前半分、足指のあたりが茶色い木肌の色で節が立っているので、これは根っこだと得心がいく程度だ。
「お前、いま焼酎飲んだらどうなるんだ?」
 ぱちくり、と音が聞こえそうな瞬きを繰り返し、永井は先週買ったばかりのTシャツの裾を掴んでうつむいた。
「……試さないとわかんないっす、ね?」
 気恥ずかしげな上目遣い、本人にはそんな気はないのだろうが誘う風情に沖田の胸はひどくざわついた。



 下心はそうそう叶わない。
「んー……ぐじゅぐじゅは、しないれすねぇ」
 案に相違して、行儀悪く片膝立てたあぐら姿の永井は、ごく健全に酔っぱらっている。
「そうか……」
「そーれすよぉ、俺、お酒つよくなったんれすね!」
「いや、それはない」
 真っ赤な顔でふらふらと上半身を揺らしている永井は、いまにも寝てしまいそうだ。沖田が否定すると、永井はむぅ、と口角を下げてもたれかかってきた。
「そーいえば、おったさんもねっこのねっこ、ありますよねぇ」
「は?」
 当然のように沖田の股間に手を置いた永井の暴挙に、思考が止まる。
「お風呂で見ましたもん。俺のとかたち違いますけろぉ……人間だかられすかぁ」
「そりゃ個人差ってやつで、あ、こら! やめなさい」
 さわさわと撫で回し、形を確かめようとしてくる永井の手を掴んで制止すると、ますます拗ねた顔をされた。
「おったさんは俺のさわってたくせに」
「人を変態みたいに言うんじゃありません」
 我ながら、間違いなく変態だったと思うが。
 人間の恋愛に憧れるテレビっ子のわりには人間の性知識に疎いという、その筋の人間に歓迎されそうな永井は、じっと沖田の股間を見つめ、呟いた。
「人間は、ここで交配するんですよね」
「そうね……」
 沖田自身が説明したことだが、酔っぱらいとはいえ完全に成人男子の体格(それにしたって沖田よりはだいぶ小さい)をしている永井に言われると、妙に照れる。
「俺、沖田さんの恋人ですよね」
「もちろん」
「だったら、沖田さんと交配したいです」
 取り落としたコップが、床に転がった。永井は目を潤ませ、沖田にしがみついてくる。
「いっぱい交配して、沖田さんの種つくりたいですぅぅ」
 涙ながらに訴えられる内容は非常にシュールだが、ようするに『いっぱいえっちしてなかだししてほしい』と言われてるわけだなーと変換すると、テンションがあがる。
「ごめん永井、いまの録音していいかな。いやむしろ録画させてくれるかな」
「俺まじめに話してんのに、ごまかすんですか!」
「俺も真剣だよ永井……じゃあ、人間のやりかたで交配しても、いいんだな?」
―― 前言撤回、俺はやっぱり変態だ。
 そもそもオス同士じゃ子供はできないというのをいつ教えるべきか、いや、花を咲かせるくらいだからもしかすると本体の方にマンドラゴラの実がなるのか……想像に軽い目眩を覚えつつ質問した。
「したいっていってるじゃないれすかぁ」
「うんうん、しらふの時にしような」
 本当は今すぐにでも押し倒したいが、永井はもう半分、目を閉じている。
 さすがに最初から寝られてしまうのは悲しい。
「約束ですよぉ。ちゃんと、交配してくんなきゃだめなんです……から……ね」
 ふふ、と笑って寝てしまった永井は、さて、起きた時にも自分の発言を覚えてくれているのかどうか。
「……気長にいけばいいか」
 おでこにキスをすると、むにゅむにゅと口元を動かして笑うのが可愛い。
 次は酒量を永井任せにはせず、適度にエロくなるあたりで楽しもうと不埒な計画を立てながら、沖田は幸せの予感に浸った。



(ごめん私が眠い。おやすみ!)



でも媚薬効果ちゃんとあるよ!のほうがファンタジー的に正しい気がしてきた(真剣。



【突然の学パロ】 13/06/18
 眠い。
 永井は何度めかのあくびを噛み殺し、ちっとも頭に入ってこない教科書を睨み付けた。
 いくら目を見開こうと瞼に力をいれても、文字がふやけてぶれてくる。
 大好きな沖田の授業だというのに、カーテンを揺らす微かな風とうららかな日差し、静かな教室に流れる心地好い声の相乗効果で余計に眠気を誘われてしまう。
 その声が、携帯越しにではあったが、熱っぽい色を含んで耳元に響いたのはつい昨夜のことである。
『永井が自分でシてる声、聞かせてくれよ』
 俗に言うテレフォンセックス。いや、沖田の指示通りに手を動かす永井ひとりが昂っていただけだから、強制自慰か。
 沖田は永井の喘ぐ声を聞きながら処理していたのか、常と変わらない調子からは判断がつかなかった。
 胸を弄って、下着の上からアレを捏ねて。
『タマごと、だ。もっと押し付けて、大きく手を動かして』
 まるでこちらの姿が見えているかのように命じる沖田の声にぞくぞくと震えるほど興奮して、永井はとうに就寝中の親の寝室にまで声が聞こえないことを祈りながら、ばかみたいに喘いでいた。
『ちゃんと立ったか?』
『はい、たちました……』
『じゃあもう、そっちに触るのはなし。後ろに指いれて』
 言われるがまま、たっぷり濡らした自分の指を後孔に這わせる。窄まりの縁、柔らかく盛り上がった肉を軽く押すだけで疼く快感が込み上げる。
 力を込めてさしいれると、沖田に快楽を教え込まれた穴はさしたる抵抗もなく人差し指を飲み込んでいく。
『二本、入れられるか?』
『は、い』
 励ます声に頷き、か細い喘ぎの混ざる息を吐きながら中指もいれて、指で届くぎりぎり、すべらかな壁に盛り上がる痼を探り当てたとたん、腰がびくびくと跳ねた。
 声で伝わったのだろう、沖田が笑う気配がする。
『上手に見つけたな。ゆっくり、撫でて』
『あ、ぁ、……んっ』
『前は触るなよ』
 夢中で頷いて、穴を慰めながら押し開き……空洞を満たしてくれるものがない切なさと虚しさを、電話越しの恋人に訴える。
『せんせぇの入れたい、ほしい…っ』
『俺のなにを入れたいんだ?』
 変態っぽい質問だなと思いながら、言わされることに余計に高揚していたのだから、我ながら大概だとおもう。
『お…おちんぽ……っ、せんせぇのおちんぽハメたいですっ』
 仰向けに寝そべって大きく脚を開いた体勢で、友人の家で見たAVの女優みたいなあけすけでわざとらしい言葉を口走ると、触ることを禁じられた前ががちがちに固くなるのがわかった。
『どこに?』
『俺の、ケツ穴……です』
『言葉は正しく使え、永井。そこはただの穴じゃないだろ? 今、どうなってる?』
『ぐちょぐちょで……あつくて、せんせぇの固いおちんぽでかき回されたくって、あ、ぴくぴく動いてて……』
 同級生の前では死んでも口にできない卑猥な実況を並べたて、沖田に満たされ、泣き所を穿たれる感覚を思い出しながら人差し指と中指で擦りたてる肉穴が、全身を浮かすような快楽の源になる。
『指をぎゅぎゅっ、て、しめつけてる、きもちいい、メス穴ですっ!』
 快美感に鳥肌をたてながら言い切ると同時に、限界まで色づいて脈打つ陰茎が精液を吐き出す。
『ぅあっ、あ……』
 はい、よくできました。
 遠くきこえた沖田の優しい声に、びゅくりと、新しい白濁があふれた。


 なにかを叩きつける音と軽い衝撃がきて、永井ははっと瞬いた。視界が暗い。いつの間にか、ノートに額がくっつきそうな前傾姿勢で眠っていたらしい。
「なーがい、起きろ」
「はいっ!?」
 跳ね起きると、教室中に笑いが起きる。
 真横には呆れ顔の沖田教諭。片手に持った教科書が永井の机に叩きつけられた可哀想な被害者らしいが、それにしても見事に音を立てられるものだ。
「寝る子は育つって言うけどな。夜間の睡眠じゃないと効果ないらしいぞ」
「すみません……」
 あんたのせいだろ!と恨みがましい気持ちを堪えて肩を縮める。
 沖田の目が笑っているのがまた、むかつく。
「育ち盛りの元気な永井くんには、先生の仕事を手伝ってもらおうか。放課後、学年室に来いよ」
「……はい」
 つまりは、二人きりになれる。
 苛立ちから一気に浮き立った気持ちを押し殺し、居眠りの罰に用事を言いつけられた間抜けな生徒らしく、しおらしく頷く。
「それじゃ続き。124ページから……」
 遠ざかる沖田の声は、もう聞き逃さない。



(ちゃんと資料運んだり、リソグラフで刷ったプリントの手動ソートしつつ、いちゃつきますよ。)
(むしろ先生の膝に座って作業する勢いで。)
(作業にならん。)
(永井くんが沖田先生大好きなのはだだもれなので、「あっ(察し」になってる同級生いる。絶対いる。)



以下、ツイログっぽかった。

【ツイログ×3】130518

【ビジホでお泊まりする両片思い】

ツイン部屋でキメるしかないよ沖田さん!
ビジホにもお洒落っすね!とはしゃぐピュア永井くん。
永井くんの残り香(気のせい)に包まれつつのシャワーあがり、窓から見える夜景に見とれてる永井くんに声をかける沖田さん。
「たいして珍しくないだろ」
「珍しいっすよ。シュトコー、っすか?車ぜんぜん途切れねーし」
「どれどれ」
永井くんの背後にくっついて夜景を見る沖田さん。
『顔近い…!てか、沖田さん湯上がりヤバいイケメンすぎる…』
ぼーっと見蕩れてる永井くん、ガラスに丸映りです。
その場では何もなく、気をまぎらわそうとベッド仰向けに転がってガイドブック眺めてたら沖田さんが
「明日、どこから回りたい?」
ベッドのへりに座って聞いてくるので、ガイドブック引っくり返して見せて
「お台場とか…」
「定番だな」
くすっと笑って覗きこんでくるからなんだか押し倒され態勢ぽくて猛然と照れてきてガイドブックを顔の上に置いて表情隠したりして。
「なんだ、もう眠いのか」
子供体質だなあ、と沖田さんにくしゃくしゃ頭撫でられ、ガイドブックをひょいと退けられて、見えた笑顔がああやっぱり男前。
ぼんやりしてたら、
「添い寝してやろうか」
冗談飛ばされて。
「はい」
え、と目を見開いた沖田さんに、永井くんもしまったぁぁ!と赤くなるやら青くなるやら。
いやっ違うんです今のは変な意味じゃなくて!沖田さんとなら寝たいっていうか!あっ、そうじゃなくて!
涙目であわあわされたら、ここまでの心の声が「永井可愛い」と「キスしたい」と「押し倒して犯したい」で構成されてきた沖田さんの理性、さようなら…。
「それって、こういう意味か?」
優しくキスされてとびきりいい声で訊かれたら、永井くん爆発しちゃいますね!



【たこかん】
※海で遊んでたら、タコさんが穴にもぐりこもうとしてきたんですぅ、ふええ、ぬるぬるするよぉ、ひっぱると中が吸盤にすいつかれてぇ…へんになっちゃうっ…やぁっ!そんな太いの無理やりいれちゃらめぇぇ/////
というような状況の永井くんがお尻アクメで潮噴射寸前に沖田さんに助けられたよ!というのが前提ですね(冷静



ずらし美学を理解している蛸さん!偉い!
永井くん天然由来成分で準備万端だからいれてあげて沖田さん!

救出してバスタオルに包む沖田さんの腕の中でカタカタ震える永井くん……

それだけショックが大きかったのだと胸を塞がれる気持ちで抱き締める沖田を、永井は潤んだ目で見上げる。
粘液にぬらぬらと濡れ光る肌、薄く開いた唇が扇情的で、先ほど目の当たりにした異形に犯され咽び身悶える永井に抱いた獣欲が、再び身をもたげようと腹の底で蠢く――恋人が酷く傷ついているというのに、俺は、何を。
理性を保とうと目を逸らした沖田は、局部にそろりと這う指の感触に目を見開いた。
苦しげに目を伏せた永井が、沖田の股間を探りながら、熱い息で呟く。
「ごめんなさい、沖田さん…俺、さっき…沖田さんとしてる時のこと思い出して…今も、中が疼いてて…止まらないんです」
ごめんなさい、と泣きそうな囁きを繰り返し、永井は沖田の足元に膝をついた。
「沖田さんは、何もしなくていいですから」
緩く反応を見せた沖田のものを海パンから引き出し、永井は興奮とも罪悪感ともつかぬ感情で震える唇をそこに寄せて(以下略


【おとこのろまん!】
快美感を伴う夢の名残を引きずったまま、幾度か瞬く。
夢の中で沖田に甘えていた永井は、もう隣にはいない……が、下半身を包む奇妙な心地よさは消えていない。目線を己の下方に向け、状況を把握するまで数秒を要した。
「永井……?」
年下の恋人が四つん這いの態勢で沖田の足元に蹲り、昨夜、腹の奥までくわえこまされていたものを、今度は口の中に招き入れている。
……だけでなく、片手を使って自分自身を慰めているらしい。名前を呼ぶと、ほんのりと紅潮した頬と潤んだ目の、本能に訴えかけてくるいやらしさと幼げな無邪気さが同居する表情を向けられた。
唾液と粘液の混ざった滴を唇から顎に伝わせ、「おはようございます、沖田さん」当たり前の挨拶をした永井が、口元を拭いながら這い上がり、沖田の腹にあたりで膝立ちになる。
「沖田さんなかなか起きてくれないから……こっち、先に起こしちゃいました」
言いながら握ったモノをきゅっと扱いてくる指に、息が詰まる。
「……俺も、準備できましたから」
沖田が貸したTシャツの裾から伸びる、瑞々しく健康的な張りのある太腿を伝いおちる液体の現実離れした淫らな光景に相変わらず思考は停止したまま、下腹が痛いほど疼いた。
「今日も、指導してくださいね」
焦れったいほどゆっくりと腰を落とす後輩の、熱く絡み付いてくる肉孔にいきりたつ陰茎を飲み込まれながら、沖田は、永井の淫蕩に笑む恍惚の表情から目が離せなかった――。

//

「……っていうやり方なら、休日もすっきり起きられると思うなぁ」
「沖田さんって意外と馬鹿で可愛いとこありますよね(くそっ怒れねぇ!イケメンずるい!好き!)」


※沖田さんがなかなか起きてくれないので、「もうちょっとー」などといいつつお布団に引っ張りこもうとするのを、どーやったら起きてくれんですか!とぷんぷんしながら押し返してたら、「おめざめえっち」って爽やかに言われました、という話。



【まなつのよるのいんむっぽいなにか】130501


『沖田は元気一杯の後輩、永井への好意がいつしか恋愛感情へと変わり、性的な対象として見てしまうことに苦悩していた。
そんな時、沖田は信じがたい噂を聞く。
繁華街の風俗店……いわゆるイメクラと呼ばれる店に永井が足しげく出入りしているという。
それも客としてではなく、従業員として働いているのではないか……と。

真偽を確かめるために向かった繁華街。
問題の店のキャッチに、何気ない風を装って質問を投げ掛ける。
「この店さ、男の子がいるって聞いたんだけど」
「あっれ、お客さんソッチですかぁ。ラッキーでしたね……内緒だけど現役自A官の男の子がいるんですよ!」
見せられた写真は、顔の大半が隠れていて、永井とは言い切れない。
……いや、永井だと、直感はあった。
信じきれないだけだ。

そして、店に入った沖田はついに永井と対面してしまう。
動揺し、言葉を失う永井。
沈黙のなか、深い息を吐いた沖田は、蒼白な永井に微笑みかける。
「それで? どんなプレイができるんだ、“らいと”くん」

永井もまた沖田を想い、吹っ切ろうと思い詰めた果ての行動だったのだが……。
そうとは知らない沖田は、罪悪感を持ちつつも永井を『買う』ことにした。

「え、と……沖田さんが選んだのは、『先輩と後輩』コース……ですよね」
「フロントで説明はされたけど、適当に選んでちゃんと聞いてなかったから。実地で教えてくれよ」

客として振る舞う沖田に傷つきながらも、擬似的にでも想いを遂げられるという誘惑に抗えず、禁断の領域に踏み込む永井。

そして次第に現実と虚構の境を失っていくふたりは、店ではご法度の本番行為にまで及んでしまう。
永井が初めてだと知らない沖田は、永井の反応を演技と思い込み、顔も知らない男たちに嫉妬し、純粋だと信じていた後輩に対する屈折を抱きつつも行為にのめりこんでいく。
店では源氏名の「らいと」としか呼ばず、週末の会瀬を重ねる沖田。それが日常と非日常を切り離す掟だった。


※ここに、さまざまな特殊シチュエーションやイメクラプレイが挟まりますが割愛。※

普段は当たり前の先輩後輩として『今まで通り』に過ごすふたり。
本当は元に戻れないとわかっているからこそ、表面上の絆に縋りつく。

―― あの夜、黙って店を後にした沖田が、何事もなかったかのように声をかけてきてくれてどれだけ嬉しかったか。

―― あの夜、泣きながら腕の中で乱れていた永井が、昼の光の下で屈託なく笑いかけてくる。

やっぱり好きで、諦められない。
それが苦しい、でも手放せない。

週末ごとに、『嬢』と客として、偽りの恋人と抱き合いながら、虚しさと想いを募らせるふたり。


一方、永井の『副業』には波乱がつきまとう。

執拗に本番行為を要求する客の無体。
すんでのところで黒服介入、出禁になった客のストーカー化。
刃物を出されて危機を感じたものの、店に迷惑かかんなきゃいいんだよな!と自力で痛め付けた永井。
男は逃げ去り、これで解決かと思いきや、一部始終を同僚が目撃していた……。
いろいろと探られ、脅される永井。
嘘でも沖田と恋人同士になれる時間を失いたくない思いから、口止め料として金を払おうとするが、性的な奉仕をも要求されてしまう。
行為はエスカレートし続け、いつしか人数も増えていたが、沖田にはとても言えず、独り苦しむ永井。(c)UMEさん天才やで……。

そんな生活のなか、ついに倒れる永井。
朦朧とし、泣きながら沖田に謝罪を続ける永井の手を握り、沖田は真相を知る。

永井が回復した頃には、モブ達は再起不能で島流しにでもされたんじゃないでしょうか(適当)

誤解が解け、気持ちを確認しあった、プレイではない恋人同士の夜。
「頼人」と呼ばれた時に泣きながら沖田さん沖田さんってしがみつく永井くんがクライマックスですね。

そして幸せなキスで終了。』



残念な沖田さん「……っていうシチュエーションはどうかな」
供「かな、じゃねえよ。20分かけてエグい妄想聞かされた俺の身にもなれ。なんなんだよアンタ、もう友達とか関係ねーよ」
沖田「混線してるなー」
供「疲れたんだよ精神的に!!!」
沖田「一藤さんとお前で使ってもいいよ」
供「使わない!!」
沖田「……一藤係長と供のいけないオフィスラブ 〜深夜のプレゼンは密室で〜」
供「そっ、そういうのいらないから!」
沖田「ちょっとイイって思っただろ」
供「俺を変態の森に案内するのはやめろ」


永井「沖田さんと供さん、今日もくっついて話してる……仲良いなあ」
スコップ「俺たちも語り合えばいいだろ? く、くっついてさ!」
沖田「(あ、永井発見)おーい永井、こっちの席あいてるぞー」
永井「はいっ!」
スコップ「・゜・(つД`)・゜・」


なにもかもひどい!






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -