どよんど鬱い三永つめつめ。
ビミョーなR-18要素を含んだり含まなかったりなので気をつけて。
コメントレスポンスに続いた話はレスも再録&加筆しています。
間違い探し禁止(>w<)。


10/27

【闇沢さん零式となーがいくん】

 迷彩の上に赤い布を纏う大柄な闇人を視界に捉え、嫌な鼓動が跳ねた。
 あの背中を知っている。
 彼の重みを知っている。
 命が失せた、瞬間の―――。
 凍りついた永井の気配に気付いた『彼』が振り返る。
 瞳孔の開いた真っ黒な目と視線が交わり、白く色の抜けた顔の、ひび割れに似た唇がきゅうっとつり上がるのを永井は自失のなかで見た。
「なぁーがい、くん」
 奇妙に浮かれた、歌うような調子で呼ばれる。
「こっち側に来てわかったよ、ここはとても良い所だってな。今は最高の気分だ……お前も来いよ。殻の中にいるから苦しいんだ。そこから出れば、楽になれる……なにも、恐くなくなる」
 夢から覚めた、と笑う三沢は今や悪夢の化身だ。
「あ……おああああ!」
 呪縛を解くように叫び、遮蔽物に向けて駆け出す。先ほどまで永井がいた空間を、銃弾が灼いた。
 弾け飛びそうな心臓と、震える指を叱咤して小銃を構え、コンテナの壁に背を押しあてて深呼吸を繰り返す。あれは化け物だ。三沢じゃない。
「逃げんなよ、なあ!」
 軸の狂った含み笑いと、近付く足音に喉元まで込み上げた悲鳴を奥歯で噛み殺し、飛び出してめくら滅法に銃弾を浴びせかけた。



(死体を前に崩折れて嗚咽→寄ってくる闇霊も撃ちまくってるうちに弾切れで闇人に捕獲されてやめろおしりはいやだ展開、クソッくたばりやがれ!の早くも逆ギレ、闇沢さんの死体をげっしげし蹴って後も見ずに走り去る。)
(さあどっちだ!)
(なんかもうひどい)


10/30

>死体を蹴ることに夢中になって、いつの間にか復活した闇沢さんに足首掴まれて引き摺り倒されてアッーってなる3つ目の選択肢を希望したいです。

殺伐ロマンシングですね!
理不尽さへの逆ギレやら罪悪感の棚上げやらでテンションあがって我を忘れてるうちに形勢逆転おいしいです…。

>闇人になった瞬間幻覚とか色々全部許容しちゃった三佐は何の躊躇もなく永井に迫ってきそうですよね。『(殻を)脱げ!』とか言ってますし。

(殻は)いらない=マッパで来い、というわけですね(真顔。
最高の気分で遊んじゃうなんて……三佐ったら!
↓↓↓↓

 軸足を思い切り引かれ、受け身を取ることもできずに地面に背を叩きつけられた衝撃で、肺の中にあった空気が一気に押し出された。
「がっ……ひ……!」
 息をしようにも掠れた呼気が僅かに喉を通るだけだ。背を反らし、空気を求めてもがく永井の腹を、三沢の膝がぐいと押さえつけた。
「だからさぁ、こんなもん後生大事にしてたって良いことないんだって。なぁんでわかんねえかなあ」
 こんなもの、と、永井の胸郭を撫で回す三沢の口元は歪んだ笑みを浮かべている。
 どうにか取り戻した呼吸を荒くしながら、永井は男を睨み付けた。
「み、さ……わぁ……っ!」
「うん。お前が殺した三沢さんだ。感動の再会だろ?」
「ふざけてんじゃねえよ、化け物が!」
「ふざけるってのは、こういうことか?」
「ぁぐっ!」
 膝に体重をかけられ、耐えきれず苦鳴を吐き出した口に、革手袋の指を突っ込まれた。土臭い、ざらりとした感触を押し出そうと動く舌を摘ままれ、好き勝手に動かされる。
「っ、ぐ、んん……!」
 嘔吐感に喉を喘がせ、首を振って逃れようにも、三沢の指は容赦なく軟らかな粘膜を苛み、苦しさに涙が溢れる。押しピンを挿された昆虫のようにびくびくと痙攣する永井の苦悶を楽しむ風情で、三沢は膝を地面に下ろし、永井の腰を跨ぐ馬乗りになった。
 ようやく指を抜かれ、涙と唾液で汚れた顔を拭う余裕もなく喘ぐ喉元を、濡れた指先が撫でた。外気に触れ、ひやりと乾く跡を追うように、覆い被ってきた三沢の舌が肌を這う。
 冷たく湿った感触に、ぞわりと怯気が走った。
「なあ、永井」
 ぬるりと、冷たく柔らかい軟体が耳殻を這い、低い声を吹き込まれる。乱された隊服の下、Tシャツをたくしあげた素肌を撫で上げる手つきは奇妙に優しげなもので、状況にはまるでそぐわない。
「お前も早く、こっち側に来い。ここには何の不安も、恐怖もない。仲間もたくさんいるぞ」
「やめろ……やめろよ」
 込み上げる寒気が治まらない。倒れる間際、三沢は一度だけ、永井を抱き締めた。あの重みが忘れられない。
―― 三沢だけは死ぬことなどないと、自分を一人にはせず、先を示してくれるのだとどこかで期待していた――その期待を裏切られたと思い込んで逆上した永井の浅はかさを許すように、軽い言葉を残して逝った。
 混乱と後悔を圧し殺して、三沢の最後の言葉からも逃げて、ここまで来た……見ないふりをしていた感情が、引きずり出される。
「永井。もう認めろ。お前の味方は、この島には誰もいない……みんないなくなっちまったんだよ。お前が殺した、お前が拒んだ、だからお前は一人きりだ」
「うるせえ……!」
 押し退けようと掴んだ三沢の肩を被う赤い布が永井が撃った弾痕のかたちに焼け焦げ、その下の隊服にも穴が穿たれていることに気付き、永井の手から力が抜けた。
 身を起こし、こちらを見下ろす三沢の鳩尾の右側にも、黒い染みが広がっている。
 判っている――三沢を化け物に変えたのは自分だ。永井の犯した罪が永井を捕らえ、苛むためにやって来たのだ。
「苦しいか? つらいか? 一人で寂しいんだよな? でもなあ、永井」
 三沢の愉しげな嗤笑を、永井はなかば茫然と見上げた。
「助けは来ない。救いは無い……逃げる道はひとつだけだ。わかるか、士長」
「……っ」
 指先で押し潰し、転がされる胸の尖りから、恐怖や嫌悪とは違う震えが生まれる。
「は……化け物の理屈なんか、知ったこっちゃねーよ」
 虚勢にすがってでも抗わなければ、底無しの淵に引きずりこまれて二度と立ち上がれない――永井の直感を嘲るように、三沢は声をあげて笑った。
「こうじゃねえとなあ、永井くんは!」
 ぐいと引き起こされ、無理矢理に反転し、地面に捩じ伏せた首筋を強く噛まれる。痛みに悲鳴を上げた視界に、地面に投げ出された小銃が映った。
 反射的に伸ばした手は届かず――抱きすくめられた身体が軋むのに耐えきれず、悪戯に土を掻く。腕が緩み、息をつく間に下衣のベルトを外される。無理やりに暴かれ、快楽と苦痛、緊縮と解放を交互に与えられ、意識がぼやけ始めた身体を弄り回されることに抵抗感が薄れていく。
 続く責め苦を思い知らせるためだけに指を突きこまれて掻き回され、瀕死の獣じみた喘ぎを零す永井の内側に捩じこまれた生々しく猛ったものは、熱をもたないまま、得体の知れない粘液に塗れて、蹂躙を知らなかった場所を好き勝手に押し広げる。
 体のなかから荒らされる苦しさから逃れる術はなく、僅かに芽生えた快感にしがみつくほか、永井にできることはなかった。
「っあ゛……う、く」
 征服された獣のように伏して、冷たい息を荒くする男に激しく揺さぶられ、身体ばかりを熱く昂らせながら、永井は屈辱より酷い寂寥感に胸を食い荒らされていた。
 もうなにも、残っていない。自分の中が、虚ろになっていく。
「泣いてたって、どうにもなんねえだろ」
 のし掛かる男が、面白そうに揶揄するのに首を振る。そうではない。
「三、佐……三佐、ぁ……」
「……仕方ない奴だな」
 堰を切ったように泣きじゃくる身を抱き起こされると、もう駄目だった。酷い姿のまま、広い肩にすがり、しゃくりあげる。目を固く瞑り、自分よりも大きな身体に包まれる安心感を得ることだけを求める。
「もう、いいか?」
 何を、と聞き返すことはしなかった。
―― 首に巻き付き力を籠める手が、もう一度抱き締めてくれるなら、それだけで良い。
「…ぃ……さわ、さ……」
 ほんとうは、いっしょに、いてほしかったんです。
 伝え損ねた言葉は、目が覚めたら言えるだろうか。


11/17

【悪趣味な永井くん】

 日頃の無愛想な強面はどこへやら、視線の定まらない目を見開いて切迫した呼気に厚い胸を喘がせ、必死に拘束を解こうとしている三沢は、滑稽な芋虫のようだ。
「永井……薬を、はやく」
「これは、悪い薬なんです。三佐はこんなものに頼ってたら駄目なんです」
 震える身体を胸に抱いて、ざらつきのある頭に唇を落とす。上から見下ろされると胸の底が煮えるほど苛立つ相手でも、こうなってしまえばとても可愛らしい。
 この大きな男の生殺与奪を己が握っているのだと実感した時に沸き上がったのは、求めていた小気味の良さではなく、酩酊を伴う興奮だった。
 何が見えているのか、合わない歯の根から、あ、ああ、と断続的な苦鳴をこぼす三沢を、さらに強く抱き締める。
「俺がついてますから、ね?」
 俺のことちゃんと見てくれたら、お薬あげますよ。



******

などと意味不明の供述をしており(ry




12/1

【どんより三永ちょいメモ】
【ブライトウィン号の怪】

 きつく掴まれた手首が痛い。背中に当たる鉄扉のつめたさと、口内を荒らす舌の柔らかさと熱さがちぐはぐで、飲み込みきれず口の端から伝い落ちる唾液を拭いたいと意識の隅で思いながら、押し退けようと三沢の胸に突いていた片手はもう上衣を掴むだけの役立たずだ。
 息継ぎの間を惜しんで幾度も重ねられる唇、扉一枚隔てた向こう側は化け物の徘徊する地獄だというのに、三沢は容赦せず永井を追い上げる。
 力が抜け立っていられなくなる。扉を背に滑り落ち、床に座り込んで息を吐く、追って屈みこんだ三沢は片膝をついて永井の顎を掴み、顔を上向かせた。
 感情の窺えない冷たい目、逆光を背負い影になった巨躯はおそろしく――生を希求する本能は、狂った興奮に永井をわななかせた。
「三佐、……もっと」
 伸ばした腕の手首には赤い鬱血が鮮やかに咲いている。生きている証を相手にも刻み返したいと思い乍ら、剥き出しの首に触れ、後頭部をぐっと押さえて引き寄せる。
 ひきずりこんで、この船ごとどこかに沈んでしまいたい。

―― そうすれば、あんたに先を越されることはなくなる。



(バグって世界線を越えて繰り返してるうちにヤンデレてきた永井くんかもしんないしそうじゃないかもしんないし。)



13/01/27

【その手をのばして】

「三沢さん、暇ですか」
「暇に見えるか」
「遊園地に行きましょう」
「他をあたれ」
「三沢さんとデートするから、二人きりがいいっす」
「……」
「決まりですね」
「決めるな」
「俺とデートしたくないんすか」
「しねえよ」
「……そりゃ自分だって男二人で遊園地なんて寒いと思いますよ、でも行きたいんですもん」

 ね、いいでしょと俺の腕に絡み付いて引っ張ってくる永井、いや、永井だったものは白い顔に瞳孔の開いた笑みを張り付けて頻りに哀れっぽく訴えてくる。
 その隣ではぽかりと空いた眼窩から真っ赤な血をだらだらと垂れ流すお下げの少女がゆうえんちゆうえんちゆうえんちゆうえんち、囃して甲高く笑う。
 風船を持った沢山の白い手がパレードに誘うので俺は永井だった重石が引っ張る方向に歩き出す、地面はぬかるんだ泥沼のように俺の足を重く捉えるのだが永井の力はつよい。俺に向けるだろうと思っていた小銃を時折たんたんと鳴らしては黒い影を撃ち倒す、時には走っていって銀の刃を閃かせて影たちの喉を切り裂き揚々と駆け戻り俺をエスコートする、お下げの少女がけんけんぱをしながら先を跳ね飛ぶ、狂っているのは俺でありこいつでありこの島だ。


 別行動をしていた永井と再会したのは別れた船の中。笑い声と物音、嫌な予感に開いた扉のなかで永井はちょうどセーラー服姿の少女にナイフで深々と胸を刺されているところだった。咄嗟に撃った少女の胸からは白濁した半透明の液体が飛び散り歪んだ微笑のまま仰向けに倒れていった。
 膝をついた永井を支える、ああこれは助からないとお互いにわかっていた、永井は少しだけわらって『帳消し……に、ならない、かな』よくわからないことを言って事切れた。
 少女が起き上がる前にと移動した船室で機銃を構え永井が目を覚ますのを待つ。頭を吹き飛ばしてやればきっと二度とは巣にされない。
 湧いて出た顔のない化け物は俺を無視して永井に群がり傷口に頭を擦り付けぞぶりと沈み永井の身体がびくんと跳ね上がって起き上がり首がゆっくりこちらを向いてそして。
「三沢さん……?」
 不思議そうな言葉と一緒に白い口元から黒い血をごぽっと溢れたのに顔をしかめて手で口をおさえ立ち上がって部屋の隅に血を吐き捨てて、振り向き
「すみません、肺にちょっと溜まってて」
 いったん断りをいれてから咳き込んでまた血を吐いて、びたびたと床に落ちた黒い血溜まりを「うわグロいな」他人事のようにひとりごちてからだごと振り返って、俺の機銃を見て両手をあげた。
 白い顔、死んでいる永井、永井のかたちをしたそいつは、生きている時には決して向けてこなかった屈託のない笑顔を俺に見せて
「この殻、あんたに生きててほしいんだって……三沢さん、自分はあなたの味方ですよ」



 あるわけがないことばかり降りかかり俺はまだ生きているが死人が遊ぶ赤と灰色の世界で生きているといえるのか俺も半分は引きずりこまれているのか、錆ついた観覧車を覗きこむ永井はとても機嫌が良い。
「三沢さん、ジェットコースター平気ですか」
「……楽しいか」
「うれしいです、三沢さんがいてくれて」
 ふふと笑って俺の腕をとる永井、おまえのうしろには白い腕が這い出す真っ暗な淵がくちをあけている。しかし振り払えない、最初に撃てなかったときに諦めた。
 諦めてしまえば楽になって軽くなる。
「楽しいか、永井」
「しあわせです」
「何をして遊ぶ」
 機銃を構え撃つさきで人間だったなにかが倒れるしかたがないあれは敵だ。永井は味方ならほかは敵だ。
「殲滅ごっこですかねぇ」
「遊園地にきた意味あるのか」
「気分っすよ、わかんねえかな」
 だってデートなんだから場所はだいじでしょ?
 言いながら小銃を撃つ永井はもしかしたら生きていたときより俺の近くにいる……喋ってわらって動く永井なんだからもう生きているということにしようか。
「俺も楽しくなってきたよ」
「遊園地いいっすよね」
 ベンチに座って足をぶらぶらさせていたお下げが手を叩いてわらう、俺もとうとうわらいだした。



*******
並行世界のどこかでハッピー。

リーディングシュタイナー発揮した闇永くんは永井くんの意識が強すぎてバグってもええんちゃう?思ったのと遊園地デートが混ざったのが敗因です。

2013/02/08 17:40
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