10/31
【今日のお題は『サイコロ』『ワイシャツ』『銃弾』です。 #twnv_3 http://shindanmaker.com/14509 】
制服の上着を脱ぐ沖田をうずうずと見守る。 「おいで、永井」 腕を広げたワイシャツの胸に銃弾の勢いで飛びこみ、道中我慢していたぶん力を籠めて抱きつくと「サイコロみたいだな」と笑われた。 「どうして?」 「動くたびに表情が変わるからさ」 それならずっと、沖田の掌で転がされていたかった。
職場直送バカップル。 土曜出勤してた沖田さんにお持ち帰られた永井。 そういうシチュエーションが実際有り得るかどうかはさておいて。笑。
にこにこしてる制服の沖田さんと、はしゃいでる私服の永井くんが連れだって道歩いてたらガン見するよね。
11/30 【わかりにくい萌え】 寒いな永井ー、って、永井くんの首を冷たい手で触ってみたら、 「ふあっ……!」 予想してたギャーとかヒャッ!じゃなくて、色っぽい声出されて動揺する残念な沖田さんと、えっなに今のちょっと気持ちよかった……!?とさらに動揺する永井くんください。
12/3
【そういう話がどっかにあった。】 【スコップくん独白。】
「おれね、人の感情が色になって見えるんですよ」
あれはいつだったか。 飲み会も終わりに近付いて、死屍累々の惨状の中、生き残り同士ぽつぽつと話しこんでいた沖田に打ち明けたことがある。 彼は温和な表情を崩さず「オーラの色ってやつか?」と、当たり前のように訊ねてきた。 「それはわかりませんけど。そういえば、同じように笑ってても人によっては色が違ってたりしますね」 「いつも見えてるのか?」 「意識しなきゃ見えませんって。……ご心配なさらなくても、アタマも目も正常ですよ。ガキの頃から見えてますが、検査に引っ掛かったことありませんから」 訓練と集団生活で神経をすり減らして妄言を吐いているわけじゃない。 誰彼の隔てなく面倒見の良い、いかにも曹らしい沖田の周囲に漂う、案じる色に笑う。 「俺だからいいけど、そういう話、他の奴にはするなよ」 「しませんよ。沖田さんは冷静だから話したんです」 頭がおかしい奴だと思われかねない。 「沖田さんはいっつも、色が薄いんですよ」 「喜怒哀楽は人並みにあるつもりなんだけどなあ」 「違いますよ。感情の起伏はちゃんとあるのに、真ん中は無色なまんまで染まらないんです。……元からそうなわけじゃない。意識して、平常心作ってますよね」 指摘に、沖田は小さく苦笑したらしかった。 「そりゃあ、職業病ってやつだ。俺の他にもいっぱいいるだろ、そんな奴」 「今でもそうですよ。俺の言うことにちょっと気を悪くしたけど、それを表に出さないようにすぐ押さえこんだ。……うわっつらで我慢したわけじゃなくて、感情ごと消すなんて人、滅多にいないです」 「三沢さんは?」 「……あんまり、見たくないです。っつか、見ないです、三沢さんは」 「別に怖くないだろ」 「俺と同じものが見えてたら、沖田さんも感想が変わりますよ」 三沢の感情はいつも真っ黒だ。あれはあらゆる感情が混濁した恐怖の色だ。何があったかは知らないが、あんなものを抱えて平然と生活していられるひとなんて、恐ろしくておいそれと近付けない。 深くは追及せず、沖田は「そうか」とだけ呟き、氷が溶けてずいぶんと薄くなった水割りのグラスを煽った。 「難儀なもんなんだな」 「べつに。見ようとしなきゃ見えないもんですし。ここでくたばってるような連中の感情なんて、顔見りゃだいたいわかるでしょう」 「永井なんか、一発だな」 ふふっと笑う沖田の纏う色が、揺らぐように変わる。 ―― 染まらないと思ってたのになあ。 ああ、やっぱりな。 口に出したくなったのを、酔い覚ましの烏龍茶ごと飲み込む。 いつも無色、滲むものも淡い色調の沖田の感情が、時折、鮮やかな色に変わるのには気付いていた。 永井を目で追っている時、永井と話している時、……真面目な顔で何やら考えこむそぶりをしていても、今と同じように、温かみのある橙や赤のグラデーションを立ち上らせているのだから、ご馳走さまですとしか言えない。 「いいなあ」 「何が?」 沖田の問いは笑ってごまかし、沖田の身体の向こう側、座布団を枕代わりに体を丸くして寝ている永井を指す。 「永井の感情の色って、すっごいハッキリしてんですよ。怒ってる時は真っ赤だし、落ち込んでる時は真っ青。で、切り替わりが早くて、話してる最中にもネオンサインみたいに変わるから、見てて飽きないです」 「ふーん……今は?」 「なんかイイ夢見てんじゃないですか、ひまわりみたいな黄色です」 沖田の腰に背中をくっつけてすやすや寝てるんだから、そりゃ、夢見はいいだろう。 へえ、と永井を見下ろす沖田の目は、とても優しい。胸焼けがしそうだ。 ……永井の感情を見てるのが楽しくて、だから、すぐにわかってしまった。 沖田を目で追っている時、沖田と話す時、沖田のことを話している時、永井の感情は幸せの黄色か……見てるほうが恥ずかしくなってくるぐらいの、きらきらしたピンク色とか、そんなの。 ―― 俺のほうが、永井の気持ちわかるのになぁ。 自分に向けてくる色は、友好の緑か、いいところで、話に盛りあがって楽しくなってる時のオレンジ色だ。 胸の底にじわじわ染み出す悲哀の色を、頭の中に掘った空想の穴に埋める。愛用の円匙でうんと深く深くつくった穴に埋めて、土をかぶせて、ならしてしまって、無色透明の気持ちで――いられたらいいが、なかなかそうもいかない。 「沖田さんって、完全犯罪できますよ、たぶん」 「はあ? なんだそりゃ」 階級が下の人間のとんでもない暴言にも、疑念と無色の心。 「冷静沈着でなんでもできるから、素質あります」 「買い被りだよ。いつでも冷静なわけじゃないぞ、俺だって」 知ってます、と言う代わりに、唇だけで笑う。 感情をきれいに殺してしまえるひとが、永井に向ける感情だけ抑えようとしていない状況は、深く考えるとなかなか怖い。
―― 沖田さんの感情が色を変えたら、俺は目を塞いでしまおう。
そんなわけで、彼が闇人として目覚めて沖田を見た時、最初にしたのは、自分の目を布で覆ってしまうことだった。
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スコップくんが生体オーラ(?)見えるひとだったら的な。
三沢さんどころじゃないものが見えたっぽいです。 闇沢さんは終始ハッピー色だと思うよ、たぶん……。
12/7
【ありかなしか。】
▼沖永。 1. 沖田さんちの洗面台に赤い歯ブラシ置いてあるのが当たり前になって、そんな些細なことで幸せを感じる永井くん。
2. ホラー映画を固唾を飲んで見守り、やっぱり最後まであきらめないやつがいちばん強いんですよね!!と、興奮してる永井が可愛いので、じゃあ俺は永井に守ってもらおうかなあと軽口叩いたら、沖田さんの背中は任せてください!と男らしく請け合ってくれたので、くっそ可愛いなこの子!!と、町中なのに抱き締めたいのを我慢する沖田さん。
3. 新人が永井の噂してるのを立ち聞きする沖田さん。 ちょっとウザいとか言われつつも評判いいので自慢したい気持ち。 「つーか、顔かわいいよな」 「やっぱり?ちっさくて可愛いから、センパイって感じしなくね」 「いやいや、足はえーし、腹筋すげえよ永井さん。チェストもけっこーあるし。……でもさあ、着替えの時なんとなく見てたら、首の後ろんとこキスマークついてやんの。彼女いるんだな」 「見てんのかよwww」 「可愛いから見ちゃうだろwww」 ……つけといてよかった!!とか、可愛いからって見るなよとか、いろいろ複雑な沖田さん。
4. ついったパロ。 テレビをぼーっと眺めてる永井くん。 『理想の彼ですかぁ?背が高くてー、イケメンでー』 (沖田さんだ) 『優しくてー、仕事ができてー』 (沖田さんだ) 『なんでも相談に乗ってくれて頼れる人なんで、わたしのこと守ってくれる安心感があって!』 (沖田さんだ!) 『それで、わたしに一直線!じゃないと駄目ですね、わたし束縛タイプなので(笑』 (……俺は束縛タイプじゃないけど、沖田さんに一直線されたら……って!) 「沖田さんを彼氏にしたいわけじゃねーっての!!」 うわああああ!と頭を抱える永井の奇行を、そっと逸らした視界の端に捉えるルームメイツ。 (なにも……聞かなかった……) (なにも……見てない……) (永井、自重しろ永井……!!) 沖田さんがいまの聞いてたら確実に食いつくだろシャレにならねえ!と悶々する彼らの苦悩を永井は知らない。
12/16
【まなざし/沖永】
やけに目が合うな、とは思っていた。 何の気なしに巡らせた視界、少し垂れ気味の大きな瞳がこちらを向いていることが多くて――あわてて逸らされるなんてことはなく、それが許される時と場合にはいつでも笑いかけてくる永井に、こちらも笑みをかえして目配せしたりして。 お気に入りの後輩に慕われるのは良い気分で、胸のなかに満たされるものがあった。 ……だのに。 いま、沖田の視線の先にいる永井は、仲間に囲まれて談笑の最中。 なにを話しているのか、とても楽しそうだ。 可愛いなぁと和む気持ちと裏腹に、ちりちりと胸を焼く火花がある。 その笑顔が、自分のためのものではないという、ただそれだけで。 ―― こっち向けよ、永井。 隣から話しかけてくる同僚には淀みなく相槌を打ってやりながら、ひたすら永井を見つめる。 と、沖田の心の声が届いたわけでもないだろうが、束の間さまよった永井の目線が、こちらに向けられた。 かっちりと絡んだ眼差し、しかし、期待通りの顔中で笑うような明るい笑顔ではなく――なにやら寂しげな、口元だけの笑みを向けられたことに焦燥がわく。 「……ちょっと行ってくる。またな」 「あぁ。なんだ、永井か」 お前も面倒見いいよなと、何か勘違いしているらしいが間違ってもいない同僚に頷いて席を立ち、若い集団に大股に近付いていく。 「ご苦労様です」 「はい、ご苦労様」 ばらばらに揃わない挨拶をしてくるのに如才なく笑みを返し、「永井借りるぞ」と返事も聞かずに腕を引く。 「えっ。どうしたんですか、沖田さん」 「どうもしないかな」 掴み所のない答えに不思議そうな顔をしながら、永井は素直についてきた。 「盛り上がってたけど、なに話してたんだ?」 「あぁ……桜井の彼女が可愛いとか……志方二尉の奥さんがものすごい美人だとか……見たことあります?」 「二尉の? 写真は見せられたよ。確かに美女だったな」 「いいですよね」 やはり、無理に笑ったような顔をつくるから、どうにも気になる。 人気のない廊下の角に辿り着き、沖田は向かい合った永井の目を真っ直ぐに見つめた。 「なにか、悩みでもあるのか?」 「へ?」 「元気がない顔してる」 「そんなこと」 「あるよ」 遮って断言すると、永井はうつむき加減に視線を逸らした。 「さっき、沖田さんには彼女いんのかなって話になったんです。誰も知らなくて……それで、永井が沖田さんに聞いてこいよって言われて、なんか……」 一拍、息を飲み込むような間をあけて、 「ちょっといろいろ、考えて……変な顔してたら、そのせいです。すみません」 「いろいろ、って?」 「たいしたことじゃないです」 「気になるだろ。怒らないから、言ってみな」 「……今は、沖田さんにすぐ会えますし、休みの日も一緒にメシ行ったりしてますけど、沖田さんが結婚してここ出てったら課業以外で会うことなくなんのかなとか……です」 言いづらそうに白状してから、永井は力なく笑った。 「ガキっぽいですよね、俺」 相変わらず目を合わせようとしない永井を、思い切り抱き締めてやりたい衝動が込み上げて、実行するかわりに手をのばし、ふわふわと手触りの良い頭を撫でてやった。 「お兄ちゃんがカノジョに取られたら寂しい、みたいなもんか? 可愛いなぁ、永井は」 ふふっと声を立てて笑うと、永井はますます肩を縮こまらせて小さく唸る。 「その心配は当分しなくていいよ。彼女はいないし、結婚の予定もないから」 「え!」 弾かれたように上がった顔、見開かれた目が沖田を凝視する。 「いないんですか!?」 「影も形も。なんで、いるのが当然って扱いなんだよ」 「だって、沖田さん優しいしかっこいいし仕事できるし、目があうといっつもにこってしてくれて、俺が女だったらとっくに告ってるのに」 身内の欲目はともかくとして、目が合うと笑ってしまうのは永井がにこにこしているからだ。 ―― こいつが女だったら? それはうまく想像できないが、永井のように素直で元気で感情も表情も豊か、鼻っ柱の強い負けん気も、瑕疵であり長所でもあり、愛すべき個性といえる存在が、恋人だったら。 さぞかし楽しいだろうな、と考えて、疼くような嫉妬がわく。 永井がきちんとお付き合いできるだろうどこかの誰か、それが自分ではないことが無性に悔しい。 ―― って、まじかよ。 沖田さん沖田さんと、客観的に見ても熱烈に慕ってくれるのがとても可愛くて、他の後輩よりも過剰なスキンシップを試みたりもしていたが、それは、弟に対するような好意だったはずだ。……だというのに、永井の愛情を容易く手に入れられる他者を妬ましく思うなど。 起因する感情は、ひとつしかない。 注意深く、直視を避けてきた情動の輪郭を正面から捉えてしまい、沖田は天を仰ぎたくなった。 ああ永井、俺はお前が好きみたいだよ。参ったな。 こんなこと、誰にも、特に無邪気に沖田に懐いてくれている本人には言えやしない。 「俺みたいなおっさんでいいなら、遠慮なく告白してくれよ。大喜びで彼氏になるからさ」 冗談にまぎらせて、やわらかな頬を軽くつねってから手を放す。永井はぱちぱちと瞬き――耳まで見事に赤くした。 「かっ……!!」 「永井?」 「えっ、ぅあ……な、なんでもないですごめんなさい、失礼します!」 どう見てもなんでもなくはない様子で頭を下げ、永井は全速力で廊下を駆け去っていってしまった。よほど混乱しているのか、うおおおともうわあああともつかない雄叫びが遠くから聞こえてきたのは、誰かに怒られなければいいが。 「永井……?」 ひとり取り残されたところで、もう一度、名前を呟く。 いまの反応はどういうことなのか。 後でじっくり聞き出してやろうと思いながら、ゆるゆると笑みがこみあげる。 次に目があったらどんな顔をされるか、楽しみだ。
(はたから見ればとっくの昔にバカップルなので、永井くんはお友達にカマをかけられたんですね。) (沖田さんに連行されてくのを見て、ああやっぱりね……て思われてるよ。)
▼拍手御礼
【それはちょっと】
誰もが浮き足立つ金曜日の夕刻。 黄金色の落ち葉が散り敷かれた道を二列縦隊で走りながら、銀杏拾いたいなぁなどとよそ事を考えていた十分前には、こんな悲劇は予想しなかった。 「永井、ちょっといいか」 小隊長に手招きされて何事かと思えば、土日は駐屯地に残留しろとのご命令である。 「えっ……俺、今月二回目ですよ。それに、今週はもう外出届け出してます」 沖田とデートするので!とはさすがに申し立てられないが、何も悪いことはしていないのに、実質、二日連続外出禁止は食い下がらずにいられない。 「忌引きで士長に欠員が出たもんでな。残留繰り上げだ。来月は休ませてやるから、よろしくやってくれ」 命令するほうはいたってお気楽なもので、恩着せがましい台詞とともに、永井の週末はあっさりと潰えてしまった。
「……ってわけで、土日、出られなくなりました……」 明日は何処に行って何をするかと楽しげな会話が飛び交う食堂で、沖田に事情を説明するのがつらい。 沖田だって、二人で出かけるのを楽しみにしてくれていた。 「じゃあ、俺も残るよ」 そうかぁ残念だな、という台詞を予期していたのに、沖田の口から出てきたのは自主的な引きこもり宣言。 「土日ですよ」 「うん」 「俺、こっから動けませんし、退屈ですよ」 「いいよ。一人でいたってつまらないだろ。欲しいものがあれば、代わりに買ってきてやるから遠慮なく言えよ」 「沖田さん……」 穏やかな微笑に、後光がさして見える。 「それにな、永井」 俺の恋人はなんて優しいんだろうと感激している永井に、沖田は表情をまったく崩さず追撃を放った。 「お前と一緒にいたら楽しくて、退屈なんかできないよ」 「あ、ありがとうございます沖田さん!」 優しい上に男前。 ますます好きになってしまう。 「ほら、早く食べないと冷めるぞ」 「はいっ」 わかりやすく喜びをあらわにして夕飯を平らげていく後輩を見守る沖田の 「たまには営内で、ってのも燃えるよなぁ」 不穏な呟きは幸か不幸か永井の耳には届かず、「退屈なんかできない」がつまり「いつ誰に見られるかわからない状況下でひたすらちょっかいかけてやるから退屈なんかさせない」であり、はらはらし通しの二日間になると永井が知るのは、おおよそ半日後のことだった。
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