※とても短い。 ※宮田さんの扱いが本当にひどいです。 ※何があっても笑ってゆるせる方向け。
いつからだろう。 見られている、という感覚が私を襲うようになったのは。 所用で出かけ、村の中でゆきあった信徒と話している時、首筋に、ちりっと焦げるような感覚を得た。 礼拝堂で、庭で、村の集まりで、幾度となく感じた違和感。 振り向いた先―――そこには必ず、あの、冷たく無機質な眼差しがある。 『宮田の目』だ。 求導師という衣の下にある、卑小な人間でしかない私を見通し、怯惰を責める刃の如き視線。 すべての虚飾を剥ぎ取り、白日の元に晒してやろうというかのような……一片の慈悲もない、怜悧な眼差し。 私はあの目がおそろしい。
見ないでほしい。 私の運命を、思い出させないでほしい。 決して、逃れられないのだから……。
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往診の帰り道。 道端で、お喋り好きの老人どもにとっつかまって長話に付き合わされている黒ずくめの後ろ姿を発見した。 どうしてあの人はあんなに鈍くさいんだ? 年寄りの話なんかハイハイ言って聞き流して、適当に切りあげればいいだろうに、いつまでも付き合ってやっているお人よしっぷりには呆れるしかない。それともあれか、お年寄りは大事にしなきゃとか、冷たくするのは相手に悪く思われてそうで嫌だとか、そのあたりか。 その、少々小ずるい優しさが牧野さんのいいところでもあり悪いところでもあるが、それにしたって何をそんなに愛想を振りまいてるんだムカつく。 俺を見るたびに怯えた顔をするくせに。どうせ俺は宮田だ。求導の影であり、汚れた存在だ。 だからといって、何も感じないわけじゃない―――そう、後ろから見てもわかる細い腰の線、あれはいいものだ。 ストイックな衣装を剥ぎ取ったらその下にある身体は筋肉が碌についていない貧弱なものだと、診察で知っている。しかし、色気もそっけもない診察室ではなく……地下室の壁に両手を鎖で繋いで、あの服を少しずつメスで裂いていくとか。 あの人は恐怖に震え、泣いて許しを乞うだろう。 俺と同じ遺伝子でできているとは思えないほど手触りの良い肌を余すところなく晒してやって、俺はこう言ってやるのだ。 『許す? 何を言ってるんですか、兄さん……その体を俺に捧げて赦しをくれるのが、あなたの役目でしょう』 ……やばい。 みなぎってきた。 ああ、兄さんまじぶち犯したい。
でも今は、視姦で我慢だ。 俺にアニメやゲーム、娯楽の一切を禁じた母親に、今は感謝する。 両目とも1.5のこの宮田の眼に、牧野さんの姿を焼きつけることができるのだから……。
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