視力1.0の私
高尾君は目がいい。
視野が広いのはそうなのだけど、視力だって良い。
だけど時に彼は見えていて、知らないふりをする。
「(見えてるんだろうなぁ)」
「見えてるよ」
「!?」
そして、心を見透かす。
ぜんぶ、ぜんぶ、知らないふりをするの。
私のこころを見ようとしないの。
ねぇ、なんで私には見えないの。同じ人間なのに。
買って1年経ったスマホの電池みたいに、どんどん簡単に、確実に失われてく。もっとゆっくり、せめて今日一日終わるまで失くならないで。彼の心よ、消えないで。隠れないで。途切れないで、私達の心。
あなたが繋ぎ止めなくちゃ、ダメなのに。私にはその術が無いのに。
靄であなたの心が見えないの。
「見ないふりをするんなら、見えるなんて言わないでよ」
捨て台詞のように吐いた言葉に、彼は苦笑いを浮かべた。
苦い想いをしているのはこっちだっていうのに。
「人間じゃないからさ」
鷹だから、仕方ないんだよ。
そんなの、例えの話でしょ。例えの話でしょ。例えの、。
そう何度も繰り返して、逆に虚しくなった。
だから本心や武器を見せないのか。私の心が見えてても答えない意図がそこにはあるのか。じゃあ高尾君は脳のある鷹の方なんだね。人間は脳が発達してるもんね。人間+鷹なんて卑怯だよ。
目が赤くならない程度に泣いてる事も、本当は真剣な事も、あえて空気読んでない事も知ってるよ。きっとそうなんだろうなぁって、勘で。
だからね、吐くほど練習をして、倒れるほど走って、絶対勝とうって思った人と相棒になって、先輩と優勝できる最後の試合で負けてしまった時のあなたの涙を見た時は、あなたを分かった気にでもなって、思いっきり抱き締めてあげようと思った。
視力1.0
(それでもそこに映る君は輝いて見えた)
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うおおおおあああわからん!!!わからん!!
でも好きだよ高尾君
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